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HSPの私が仕事を辞めるに至るまで⑨

新卒3年目の5月。
体制が変わって1ヶ月。業務はうまく回らず、体の調子はおかしくなり、日に日にため息が多くなっていた。

ただでさえ、いっぱいいっぱいな状態だったのに、更なる苦難が。
利用者Aさん(詳しくはHSPの私が仕事を辞めるに至るまで④を読んでください)の周辺症状が強く現れ出したのだ。

Aさんは物取られや外出の訴えがある利用者さんである。
施設では、利用者が1人でフロアから出ることは出来ない。必ずスタッフが付いていなければならない。
もし、Aさんが1人で施設から出て行ってしまうと離設事故になってしまう。
スタッフの人手があり、なおかつ時間がある時は、そのままスタッフと一緒に散歩に出かけるのだが、時間もスタッフも足りない。でも業務は山ほどあった。

Aさんの気を逸らしつつ、昼食作りなどに誘導し、集中してもらう。
こういった対応で毎日乗り切っていたけれど。
ここに来て、周辺症状の特大の波が来たようだった。

日に日に物取られや外出の訴えが多くなり、顔を真っ赤にして怒ることが日常になった。
散歩に行った直後には「散歩に連れて行ってよ!!なんで私は連れて行かないんだ!!!」と怒り出すのだ。

スタッフがフロア内にもう1人いる時はまだ良い。
スタッフ2人で対応できるし、こういった訴えが強く現れた時は他スタッフに散歩をお願いすることもできる。

だが、実際は難しい。

通常、AMは 昼食作り/ 散歩
   PMは 夕食作り/ 入浴
となっている。
それぞれの業務にスタッフ1人が配置されている。
基本的に昼食作り、夕食作りを担当するスタッフが「1人で」フロアの見守りをする。

周辺症状が強く現れた際に、他利用者の散歩や入浴を行なっている場合、フロアにいるスタッフが1人で対応するしかないのだ。

Aさんは怒鳴り声をあげ、「1人で外に行くって言ってんだろ!!!!ほっとけよ!!!!」と言い、スタッフの身体を叩きフロアから出て行こうとする。
こうなると、もう何を言っても止まらない。

Aさんの周辺症状が始まると食事作りや他利用者の介助もストップし、業務がどんどん押していく。
でも認知症の症状が強く出るのはAさんに限ったことではないのだ。

あらゆるところに気を配らなければならない。
Aさんの対応をして、他利用者にも目を配り、業務は滞りなく遂行する。
休憩時間を削ってでも遅れた分は取り戻さないと夜勤スタッフに申し訳ない。


自分自身の体調の悪さに加え、Aさんの症状や施設の体制の改善の可能性が見出せず、ただ仕事に終われる日々。

ある日私は仕事中、涙が溢れて溢れてどうしようもなくなってしまった。
「私、もう無理だ。」と思った瞬間だった。

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