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アトリエを検討したきっかけ、半年過ごした今

昨年2022年の夏、撮影拠点である千葉県九十九里にアトリエ拠点を借りました。写真家として活動する上でアトリエを検討するに至ったキッカケや、夏>秋>冬と約半年過ごした気付きなど、自分観点ですがまとめました。

アトリエを検討したキッカケ

シンプルに制作した作品数が多くなり家の居住スペースを圧迫し始めたことがキッカケです。

活動してきた約3年間で約15回ほどのグループ展や個展、パネル展などを開催して、その度に作品を制作していたので作品数も細かい額装を含めると300点弱ほど、膨大な数になっていました。

SAYONARA WAVES 19-21より

SAYONARA WAVES 19-21より
SAYONARA WAVES 19-21より
SAYONARA WAVES 19-21より
SAYONARA WAVES 19-21より
SAYONARA WAVES 19-21より

作品は販売してないの?

もちろん展示した作品を購入していただくこともあったので、数も減っていくのでは?と思われるかもしれませんが、活動する流れで作品のエディションを当時は3として、展示現物ではなく再製作してお渡ししていた為、手元から作品が減りませんでした。
(現在はエディション1の1点ものとしてます)

活動初期は展示の依頼も多く、お声かかった際にすぐに展示準備ができるようにと手元に作品を置いていました。ただ過去の作品に囚われている自分に嫌気を感じるようになったり、物量を気にして作品制作に億劫になったりとネガティブなマインドに陥る原因にもなってしまっていました。

作家として成長したい

とにかく作品を邪魔ものにしたくない。作家として成長するために新しい環境にチャレンジすべきなのでは。そんな想いが日に日に膨らみ、アクションを起こさない自分へ、プレッシャーをかけるようになっていました。

そんな流れから本格的にアトリエを検討し始めました。当時はアトリエがあれば全てが変わる。そんな思考に追い詰められて頭は一杯でした笑

肝心のアトリエの場所は?

僕は東京に住んでいます。ではどこに拠点を構えるか。
次の大きな課題であり悩みでした。

毎日のように不動産サイトを見て、都内のマンション物件から事務所物件、自然に囲まれた地方物件、もちろん海沿いの物件も。

あるあるかもしれませんが、調べる度に条件の優先が入れ替わってしまって、場所すら絞り込めない日々が続きました。

  1. 「通わなくなるからもったいない、近場かな」
    > 近場のマンションを探し始める
    > が、都内なので費用が高い(40㎡-70㎡、10万 - 20万)
    > 倉庫だけの利用になったら勿体無い
    > 雰囲気もかっこよくしたい、普通の家だと自由度が低い

  2. 「作品を飾ったり、搬入しやすかったり、少し雑に使いたい」
    > 工場物件とか雰囲気あっていいなぁ
    > けど初期費用が高い、、(賃料20万前後、初期費用3-6ヶ月など)
    > そしていい物件がそもそも少ない

  3. 「やっぱりチャレンジだし固定費を下げたい、あと作品制作に集中したい」
    > 少しくらい遠くても環境を優先したい
    > 自然豊かな山梨、長野など山深い場所を探し始める
    > 少しでも駅が近かったりすると、それなりに賃料も高い(8万 - 15万)
    > そんなに出すなら海の方行けばいい物件が

  4. 「写真の拠点にもなるし海沿いの物件かなぁ」
    > 費用は最低限(40㎡-100㎡超え、3万 - 10万)、いろいろある
    > でも展示した作品を見てもらったり人にも来てもらいたいなぁ
    > 雰囲気良さそうな物件は10万近くする
    > だったりアクセスいい都内でも…

  5. 1へ戻る

ずっと1 - 5を繰り返し探してましたw(5周くらい)
迷う理由として恐らく自分の奥底に「オシャレな空間」だったり「人がワンサカ集まる場」だったり「一流の作家のような生活スタイル」だったり、憧れが強い場所のイメージが先行してたんだと今は思います。

「ダサくていい、泥臭くていい、自分らしい拠点」

コンセプトを自分なりに改め、"人がなかなかチャレンジしない環境"、"海というブランドから離れない場所"、"身の丈に合わせてコストをかけない!"となるといつもの海だなと、千葉九十九里に決めました。(長かったです)

他の人からしたら海で活動してるんだから、当たり前でしょ。と言われそうですが、僕なりにたくさん悩みました。

アトリエをどう使いたいか

肝心のアトリエ。どんな風に使っていきたいか。自分なりに考えていました。

倉庫として

まず第一に作品をしっかりと保管できるスペース。大きな作品だとアクリル加工で1m x 1.5mの大物とかもあるので、その辺りもイメージして広さや搬入経路などが需要に。

ギャラリーとして

ギャラリーというとカッコイイ感じですが、単純に作品が飾れそうな壁、面があること。過去の作品自体を物撮りしたり、いつか人が来てくれるようになった場合に作品を楽しめるようにと。

作業場所として

アトリエを借りたい理由の1つに、木工作業を始めてみたいと考えてました。木パネだったり、額、作品に関することを基本的に外注して制作してましたが、ある程度自分の手を動かして作品にしたいと考えてました。

写真活動の拠点として

意外となんですが、こちらは優先度は高くなかったです。少し海から離れてても車や自転車などですぐに行けるし、歩いていければ最高くらいでした。

事務所として

そしてもちろんPC作業ができる場所としても。インターネットを使わないと行けないので光ファイバーがひかれているかなどもチェックしてました。

そして内見の日々

運用イメージを明確にしつつ、内見を進めていきました。

夏に内見してたこともあって、家に入ったときの風が抜ける感覚は大切にしました。実際場所も賃料も悪くなかったけど、全然風が抜けない家があってやめました。あと当然クーラーは必須条件、導入する予算はありません。また作品や荷物の搬入で階段があったりエレベーターなんて厳しいので一軒家がいいな、と少しづつ条件を加えていきました。

季節的なこともあり、海近の物件はサーファーの方から人気ですぐになくなってしまいます。なので毎日不動産情報と睨めっこ。

この頃は内見日に合わせて海の写真を撮りに行ったり、途中から家族と一緒に内見してそのまま海で少し遊んで帰るなど小旅行気分で楽しんでました。

少し外れて"出会いは突然に"

夜にネットサーフしてると海近くのいい感じの物件を見つけました。この頃には内見の予約を入れるのは小慣れた作業だったのですぐに連絡。
すると不動産会社から直に電話をもらいました。

「まだ今の人が入ってて内見できないけど、2週間後くらいに見てやってください」と。

「はい、お願い致します」と口約束だけで電話を切って、改めてネット情報を見ると情報が削除されてました。どういうことかわからないまま、約束の2週間後まで他の内見もしつつ過ごしてました。

内見日前日にまた連絡あり、明日はよろしくお願い致します。とのこと。
結構サラッとしてるやりとりで困惑してましたが、見にいくとびっくり。広さはそんなにないですが、築40年の平家。なんといっても庭が広い(150㎡くらい、車は6台くらい止まると思う)。めでたくその場で決めました。

決めたポイントは?

あげるとキリがないですが、やっぱりずっと気にしてた風通し広い庭、あとは賃料も最安ではないですが、抑えられたこと。あと家族が満場一致で喜んでたことですかね。

実際にアトリエはどう使っている?

まずは荷物搬入の2ヶ月

本当ならば内装をやってから搬入するのが筋かもしれませんが、内装に費用もかけたくないですし、できれば既存の建物に傷をつけないで仕上げたいので、住みながら少しづつ仕上げる方針にしました。

とにかく車に積む、運ぶの繰り返し。
「そんなに通っていたら交通費だけで賃料を超え….」
それは事実でもう仕方ないと割り切るしかありません。並行して内装に使いたい柱の材を買ったり、床材を買ったり、壁用の石膏ボード買ったり、塗装関連、機材などいろいろ、アトリエに行くたびに必要なものをリストアップして次回揃えて来る。そんな最初の2ヶ月でした。

ちなみに床材に関しても無知だったので、一通り使ってみることに。

見栄えだけのフロアタイル

無垢材も憧れがあったのでこちらを

あとは2x4の材を使って床材にしてみました。普通の床材は厚みが15mm前後ですが、こちらはただの木材で厚み89mmくらいあって踏み心地良くかなり好みでした。

写真は今とレイアウト変わってますが、部屋の一部に敷いてます。

2 x 4材を床に

どの床材も接着などはせず、ただ乗せているだけです。
こうやって床を作る人がいなくてネットで調べてもヒットしなかったのですが、特に固定しなくても気にならないですね。毎日住むわけではないので多少のズレなどは不問として気軽に床材を楽めそうです。

個人的には2 x 4材が結構好きですが、床材としてのコスパは悪く高いので、ホームセンターのセールなどで安いタイミングでまとめて集めようかなぁと考えています。少しやすってステインなどで塗装しても良いかもです。

DIY作業

アトリエに来ると撮影以外は結構木材を加工している時間が多いです。この場所でしかできない作業と思って取り組んでいます。

PC作業のメインテーブルはホームセンターで大きい1枚板を買ってきて塗装。最近奥行きが深すぎて使いづらかったので20cmほどカット。簡単な作業は電動丸鋸を使ってやってしまいます。

工具まわりをどうやって揃えるかも結構悩みのポイントでした。夜な夜なamazonと口コミブログ、youtubeを見ながら揃える機材を選定。中途半端な機材を増やしても仕方ないので、僕は思い切っていいやつを揃える方針で。

自分はマキタで揃えました。とにかく機材が高い。なんだかんだ出費がかさむのが辛いですが、機材がないと何も進まないのでここは投資。

作品制作

まだ木パネやフレーム制作には取り組めてないですが、木材を加工して制作した作品制作に取り組んでいます。

触って感じれる波の作品

丸鋸やグラインダーなど、電動工具は駆動音がかなり大きいです。騒音のことを考えると都内では難しいだろうなぁと。アトリエの周辺に民家はありますが、雑木林で遮られてたり単純に距離があるので気にせず作業できるのも良かったと今思います。

もちろん木屑が処理が大変なので庭で作業してます。

PC作業について

当初、写真に関する作業は全てアトリエ環境で集中してやろう意気込んでいましたが、内装に関することが頭から離れずまだ集中して作業は出来ていません。

またWIFIを検討する際に、NTT光の端子が壁にあったので工事不要で契約できると思いきや、問い合わせると使えるかどうか確認しに訪れるだけで工事費用2万ほどかかる。と意味のわからないことを言い始めたのと、一軒家プランが高い(6000円くらいかかる)のでWIFI方面に切り替えました。

とはいえ海近なので携帯の電波が弱い。強ければ携帯のテザリングで賄えたけど、ダメもとでauのhomeWIFIにしました。めちゃ早くないけど、持ち運べるしスタイルにマッチしているかなと。

ただ最近、テスラのイーロンマスク氏が展開するSTARLINKがとても気になっています。固定回線並みの速度、どこでも持ち運べるタイプもあるらしく、先日端末費、月額費用が安くなってた。

どこかのタイミングで切り替える可能性大です。

アトリエの住環境について

湿度との戦い

ある程度荷物も運び終わった頃「ここを棚に」「ここは作業机」「寝るスペースはここ」などイメージに合わせてレイアウトを考え荷物整理を始めました。

ただここで気になったのが"湿気"。
室内は少し綺麗に直されているけど、築40年の古い構造なので断熱や除湿対策が不十分。滞在しているときはクーラーを使えばちょうどいい感じに湿度も抑えられるけど、不在時。

作品が湿気まみれになるのも嫌なので、泣く泣く除湿機を導入。調べに調べて24時間連続排水のできるこのモデル。

他で安価だったり良いのもあったけど、24時間連続排水モデルが少なくこちらに。東京の家だと機密性の高いし湿気も少ないので無縁だったけど、田舎暮らしはそうはいかないようでした。

そして寒さとの戦い

アトリエへ通うパターンとしては、夜になって移動して睡眠。早朝日の出の撮影をしてそのまま1日過ごすことが多いです。

ただ11月くらいになるとそれなりに冷え込むようになり、断熱構造が未熟なアトリエはまぁまぁ寒いです。目覚めると寒さで布団から出られません。外気との気温差は6度くらいでしょうか。朝は大体それくらいです。

昔から使っていたオイルヒーターを導入してみましたが、部屋全体が寒いせいかあまり効果なし。電気代も高そうなので、除湿も除湿もできるクーラーの暖房を多用する生活になっています。

少し落ち着いてきたら石油ストーブを導入したいな、なんならどこかから頂けないかなと目論んでおります。

給湯器凍結により破損

こちらはトラブル。
つい先日水道会社から連絡あり水道がダダ漏れですと。給湯器が凍結により壊れたらしい。

原因は僕が電源ブレーカーを落としてしまっていたから。夏場に不動産会社の人との会話で全然落として帰っていいよとのことだったけど、冬場は御法度らしい。。田舎暮らしの経験がなかったので未熟なところでした。

半年間過ごしてみた感想

アトリエに関することを支離滅裂に書き殴ってしまったが、半年くらい経って、やっと落ち着いて利用することが出来ている気がします。

特にアトリエでの時間は東京での家族との時間とは全く異なります。ストイックなマインドになるのか、食事も忘れ、時間も忘れ、日が出たら動き、沈めば寝る。アトリエに集中できている環境が良いです。

またアトリエがあることで夕方の海に入る機会がとても増えました。以前は夕方の海に来るには都内を15時頃出ないと間に合わなく、渋滞もあるし仕事もあるので基本的には自由度の高い早朝の海に入ることがほぼほぼでした。

千葉の夕陽は海ではなく背後の陸地に落ちていきます。
オレンジ色の光が波面を照らす表情は朝方とはまた違った瞬間で美しいです。

あと良かったポイントは、家族が意外と楽しんでくれていることです。

アトリエに行きたいと言っていた家族に対して「寒いしつまらない」と脅してました。僕に屈せず正月明け、皆でアトリエに泊まったのですが、寒さは暖房器具で気にする様子もなく、庭が嬉しいようでサッカーボールを蹴ったり、僕には憎い育った雑草に名前をつけて楽しそうに過ごしてました。

夕方も僕が海に入っている時に砂浜の漂流物を見つけながら楽しんでたようで、僕が気づかない視点で満喫する家族からはまた別の刺激をもらいました。

とはいえ不安だらけでのスタートでした。

飽きることなく2拠点生活をやり遂げれるのか?
生活にそんなに余裕がない中、固定費を増やして良いのか?
ただの倉庫と化さず新しいチャレンジに取り組めるか?
家族が楽しんでもらえる拠点になるのか?

ここ最近までずっとフワフワしっぱなしでしたが、実際に1つ1つ歩を進めていくと、1つ1つが現実になってまた次に進めたお陰で、なんとなく地に足が着き始めた感覚です。

とはいえ、もっと効果的に使いたいし、人も来たいと思ってもらえる場所にしたいし、なんでも作れる、なんでも出来る拠点に作り上げていきたいなと。

まとめますと言いつつ、何もまとめってなくてすいません。
1年、2年と感じたことを追記していけたらと思っています。

長々読んでくださった方々、ありがとうございました🌊

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