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版画製作秘話(っていうほどの話じゃないけど)

コメント欄で版画製作について記事を書きますと書いておきなから、気がつけば1月が終わろうとしていますね。


月めくりのカレンダーも残り1枚になり、緑と赤の要素が多めの町並に灯が灯る。

年賀状の図案を考えて彫らなければと、僕の尻に火を灯す。
カチカチ山のうさぎかっ!


一昔十二年前の兎年は雪原を行くウサギだった。

寅年は“挑戦“をテーマにした。
その年の半年も過ぎた頃、僕は大きく舵を切り、単身大海原に漕ぎ出す事に。


泥舟に乗ったタヌキにならぬように、兎年は“躍進”をテーマにするしかない。

そこで構想として浮かんだのが、ウサギといえば月。月といえば、ツイてるね〜ノッてるね〜♪の“ツキ”。

これに一富士二鷹三茄子の“富士“を入れようか?
いや、待て。富士と月?富士と言えば朝日だよな?

月と言えば藤の花?

藤の花について調べてみると、藤の花は“稲穂に見立て豊作を願う“という縁起の良いもののようだ。

ならば、糸魚川は“月不見の池“か?

ここは、池の水面に映る月が見られないほどに鬱蒼とした樹木、それに絡まる藤の蔦、巨岩に囲まれた地形であることから名付けられた場所。


よし、これだ!と思って図案を考えだしたら、月と藤を使った図案これがまた難しい。
月も藤の花も見上げる構図。しかも藤の花が細かすぎる。時間がないのに。

iPad miniを片手にあーでもないこーでもないとこねくり回す。

この時、クリスマスはとうの昔に過ぎ去った12/30の夜の新幹線の中。

冷静に考えると、“ツキ”が見えないのでは験を担ぐには見当違い。結局、新幹線の中でも完成せず大晦日を迎えてしまった。

大晦日の朝から、再びipad miniをこねくり回す。
時間がないので、藤の花へのこだわりをやめて一旦白紙に戻すことにしました。真っ白な雪上のウサギの戻り足のように。

その後完成した図案がこちら。
ipad miniからハガキにプリントアウトしたものですが、これを版板に転写します。

今回は3色使っていますが、赤が離れているので2版としました。


原画

第1版は赤と黄色の2色。
黄色が少しキラキラしているのは金色を混ぜ込んでいるから。
月が若干赤いのは、朝日と間違って赤を塗ってしまったからですん😚

ちなみに、版板の左下にある黒いスミが『見当』です。
これに合わせることで、版がズレないようにしています。

第一版

第1版が乾いたら第2版目を重ねて摺ります。“跳”から兎の部分のみ彫り落としているので、黄金色の兎が浮かび上がります。
ここで見当が生きてくるのです。

第2版

完成した版画がこちら。
原図をインクジェットでプリントアウトすれば?と言う声が聞こえて来そうですが、版画を楽しみにしてくれている友人たちのために、これからも続けますん😘

完成版



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