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同期社長とポートフォリオワーカー

勤務する外資系IT企業で最近、新社長が入社しました。前任社長は還暦を期にスパッと自主退任。その後任としての就任です。

外資系では転職が一般化しているため、社長(カントリーマネージャ)人事といえども、そんなに特別なことではありません。募集ポジションが社長職であったというだけのこと。受け入れる社員にとっては、一般職やマネージャー職の中途の人がまた入るのと変わりありません。

とはいえ、どんな人が来るかは気になるところ。FacebookやLinkedinを見て経歴を確認します。共通の知り合いがいればリファレンスチェック、”その人がどんな人なのか”のチェックを行います。

チェックしてみると、どうやら、今回の社長はボクの大学の同期のようです。同期といっても、マンモス大学であるため、1万人の”同期”がいます。会ったこともありません。キャンパスも違うようなので、すれ違ったことすらないと思います。初めて会う人と同じです。

大学同期とはいうものの、”社長”と”部下なしマネージャー”、歩んできたキャリアの違いはあれど、随分と差がついてしまったものです。。。

と、少々落ち込みます。。と、いう思いは全くないと言えば嘘になるかもしれません。しかし、「まー、目指すゴールが違うからね。社長(カントリーマネージャー)なんて大変だよね。数字、数字と容赦なく追い詰められるし」という気持ちの方が大きく、これが偽らざる気持ちです。

インディペンデント・コントリビューター

よく言われることで、外資系の中途入社の場合は、空いたポジションや新規事業を始めるために、その知識を有している人を想定したポジションやその業務を遂行できる職種での募集が一般的です。

営業+マネージャ、マーケティング+マネージャ、開発+エンジニア、カントリー+マネージャなど、職種とジョブスキル(ポジション)の組み合わせで募集されます。

営業マネージャやマーケティングマネージャは、マネージャと付きますが、必ずしも部下の管理をする”ポジション”とは限りません。部下管理をする職種かどうかは、募集要綱(ジョブディスクリプション)を見ないとわかりません。営業行為を自分で管理できる、マーケティングのプランニングからアクティビティまでは自分で管理できる人は、やはり”マネージャ”だからです。

そのため、外資系では、”ピープルマネジメント”を行う”マネージャ””自分自身を管理する””マネージャ”である”インディペンデント・コントリビューター”かを明確に分けています。

”インディペンデント・コントリビューター:Individual Contributor 略してIC”とは、英辞郎によると、「〔管理職ではない(部下を持たない)〕一般社員」とのこと。しかし、この説明では、外資系のICを正しく説明できてません。

ICは、特定の専門性を有し、業務を遂行する人であり、特に部下管理などのピープルマネジメントを行わない職種の人を指します。カントリーマネージャーよりも高い職種のICはいないと思いますが、普通にいわゆる部長とか本部長レベルの職種のICもいます。

ピープルマネジメントを行う本部長や部長、課長などの肩書にこだわりがなく、そのポジションと同等程度の給与が得られれば、インディペンデント・コントリビューターのマネージャに応募するのも選択の一つとなります。

とはいえ、たいていの外資系IT企業の場合では、ICの給与は部長レベルと同じということは普通にありますが、本部長レベルより高いことはありません。額面で数百万円は給与が違うと思います。

肩書とライフスタイル

社長(カントリーマネージャー)や本部長(ディレクター*)の職種につくと、給与は高くなることは間違いありません。しかし、一方で、責任やピープルマネジメントの煩わしさも付いてきます。

*一般的には、英語の”ディレクター”である本部長より社長の方が職位は高いのですが、社長のことは、英語で”カントリーマネージャー”と言ったり、”MD(マネージング・ディレクター)”と言ったりします。ディレクターもマネージャーも”管理する人”を指す言葉で、あまり意味の違いはありません。

特に、カントリーマネージャーを含めた営業系のピープルマネジメントをするマネージャは、売上必達という、”数字”責任があります。複数の外資系に勤務し、”数字”責任を負ったピープルマネジメントのマネージャを見てきましたが、とてもやりたいと思える仕事ではありませんでした。

数字が行かないときは、ネチネチと理由を朝晩聞かれ、実現不可能と思えるアクションプランや、それこそ達成不可能な”数字”をコミット(絶対にやると約束)させられます。それも早口の英語で!

日本企業でもそうかもしれませんが、”数字”が未達の場合、解雇もありえる外資系では、上司である(外人)管理者の追い込みも半端ではありません。パワハラにならないように恫喝してきます。

当然、”数字”がいったときは、皆穏やかでいい人達です。また給与もインセンティブ(業績給)が跳ね上がり、かなりの金額を手にすることもできます。悪いことだけではありません。

とはいえ、業績は四半期毎に評価されます。自分だけの数字ではなく、課や部、そして日本法人全体の数字が対象です。常に”数字”を達成できることは稀で(数字達成するとターゲットが上乗せされるため)、絶えず無理とも思える”数字”と格闘することになります。

能力うんぬんももちろん重要で、必要不可欠な要素だとは思いますが、この”恫喝”と”プレッシャー”に耐えれるメンタリティの強さの方がより重要だと思います。

そんなビジネスライフを送ることで得られる肩書と給与、そしてその仕事の見返りにより得られるライフスタイル、あるいは逆に、その見返りにより失われるライフスタイル、どちらがいいかは、もう人それぞれの価値観によってくるのだと思います。

ピープルマネジメント・マネージャの給与

とはいえ、給料の額は重要なポイントです。ICとピープルマネジメントを行うマネージャでどれぐらいの違いがあるのでしょうか? あくまでも一例でしかない前提で書かせていただくと、ボクが勤務した外資系IT企業で聞いた話ではこんな感じでした。

外資系IT企業では、基本、いくら仲良くなっても同僚と給料額の話はしません。入社時の”交渉力”や前職の”給与”により、同じ職種の人でも給与のバラツキがあるからです。同僚に給料の話をして、差があることがわかれば気まずくなってしまいます。オトナな外資系IT企業では、給料の話はタブーなのです。

なので、下記は(人材)エージェントや、全く関係ない第三者の給料の噂話からボクがイメージする給与レンジだと思ってください。

マネージャ職給与
ピープルマネジメント・マネージャ:1000-1600万円
ピープルマネジメント・ディレクター:1300-2000万円
カントリーマネージャ:2000-4000万円
IC:1000-1600万円

固定給とインセンティブ(業績給)の比率
営業系:5:5~8:2(ちなみにボクは7:3)
技術系:8:2~9:1
間接部門:9:1~10:0

カントリーマネージャはやはり一番高額ですが、それ以外のピープルマネジメントのマネージャとICではそれほどの差はありません。税金や社会保険を支払ったのちの手取りを考えると、差はさらに小さくなります。

それならば、責任範囲も限定的で、早朝や夜遅くのコール(会議のこと)がなく、”気楽で、精神的にも時間的にも緩い、ICの方がいいんじゃない?”と思えたのが、不動産投資を始め、ちょっとはCF(キャッシュフロー)が出始めたときにボクが感じたことでした。

Individual Contributor(IC)の給与とCF

人生は選択です。社長(カントリーマネージャ)というトップを目指す人やなった方を否定するつもりは全くありません。実際に社長になった方は大変な努力をされた方だと思います。当然運も味方したのだと思います。その運を掴むのも実力のうちですね。

しかし、社長になれるのは一握りの人であることも事実です。社長にたどり着く途中のどこかの昇進でつまずいてしまうこともあります。そんな人は、敗者復活を待つか、出世をあきらめるしかないのでしょうか。もう死後かもしれませんが、会社にしがみつく”窓際族”、あるいは趣味に生きる”自由人”と揶揄される生き方しかないのでしょうか。

自分の経歴を正直に語れば、30代前半までは順調に出世し、最年長XX(マネージャや部長)になっていました。昭和の人間なので、トップを目指すのが普通だと思っていたし、ちょっとは仕事ができたのでそれも叶わないゴールでないと思っていました。

しかし、ボクには大変重大な欠点がありました。「できない人の気持ちがわからない」という欠点です。一言で表現するならば、共感性が低い、EQが低いという欠点です。こんな人間はピープルマネジメントに向いていません。

頑張ってピープルマネジメントをしようと努力してましたが、ツライ努力でした。メンバーの方も大変だったと思います。

チームプレーができないわけではないですが、チームプレーよりは個人競技が得意なタイプです。サッカーなどのチームプレーをやってきて、それが得意な人がチームを管理する方が向いています。

そんなことは、ピープルマネジメントに長けた上司は見抜く訳で、空回りしながらもパフォーマンスは出すも部下評価がよろしくなく、降格、ひねくれて孤立状態に、初めてクビになってしまいました。。。

クビになったので転職です。
昭和のゴールである”社長”それは無理でも”本部長”という上位ポジションにたどりつけるキャリアパスは、転職時には意識します。

でも、転職には積極的な転職と消極的な転職があります。この時期は消極的な転職ばかりしていたので、自分のキャリが活かせる”それなりの給料とポジションがある会社”に転職をするのが第一優先で、キャリアパスを意識した転職はできてませんでした。

そして今の会社に潜り込めたのですが、二度目のクビ危機! 結局回避できたのですが、「このままではまたいつクビになるとも限らない、生活が危うくなる」という理由で不動産投資を始めました。

ここの下りはこちらに詳しく書いてます。

不動産投資を初めて約10年。気付けば、ストックビジネスを構築でき、あまり老後不安もない状態になっています。始めた当時は、老後や将来展望など全く考えていませんでした。とりあえず、クビになったときの”保険”ぐらいにしか考えていませんでした。

複業やポートフォリオワーカーなんて言葉はなく、副業ですらマイナーな存在でした。それが今や、副業は当たり前で、大手金融機関である「みずほ銀行」ですら積極的に奨励しています。FIRE(Financial Independence, Retire Early)なんて言葉もありませんでした。 時代は変わるものですね。

話を戻します。

今のボクは、ICでそれなりの給与と精神的な安定、会社に拘束されない時間を得ながら、不動産収入を得られています。”同期”社長の給与額は全く知りませんが、結構同じぐらい、あるいはそれ以上かもしれません。

ピープルマネジメント能力が欠如していて、ビジネスマンとしての順調なキャリアパスが描けなくなり、始めた不動産投資。そのおかげで、冒頭に書いたように、”同期”社長を”社長なんて大変だよね~”と思えるようになっています。

勤務する会社でそれなりの給料をもらいながら、それなりに不動産投資でCFを稼いでいる人、2名とたまたま席を同じにしたことがあります(一人の方は家賃年収1億円以上!)。正確な給料の額など口にしませんが、勤務する会社名と年齢(アラフィフ)を考慮すると、皆、1000万円以上の給料をもらっているのは確実です。そんな彼らと共通した意見が

「大家になり、それなりに家賃収入が増えるとサラリーマン辞める人が多いけど、サラリーマン辞めるなんてもったいないよね~

会社に勤務することで得られるメリットは多いし。安定したそれなりの給料だってそうだし、健保の優遇サービス、社会保障(厚生年金)は、サラリーマンだからこそ得られるメリットだよね。

でも、エラくなっちゃダメ。部下なしマネージャーで生き延びるのが一番!ベストな選択!」

でした。

皆、考えることは同じです。自分の資産、ビジネスを構築しながら、安定した給与収入も得る。これが、最もリスクが低く、多くの人が実践できる生き方なのではないでしょうか。

以下のnoteでも、この考え方を実現する方法、実現してきた方法を書いてます。よろしかったらどうぞ


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