第4回 チェーン龍角散イーター

会社が寒い。
 うちの会社は建物内の空調が一括管理になっているのですが、エコの名のもとに運転基準がとても厳しく、内勤なのに夏は暑く冬は寒いです。12月にならないと暖房は入らないし、6時くらいで稼働停止します。光熱費のケチり方がすごいです。
 どうしても解せないのは、建物の中にコンビニや郵便局など外部の方も使う施設が少し入っていて、そこの空調は別管理になっているらしいんですけど、そのコンビニや郵便局には既に暖房が入っているということです。つまり、常人は暖房がついてないと厳しい季節だよということじゃないですか。うちの社員が暑さ寒さに強い属性だとか、そういう人を採用してるとかじゃないですから。同じ人間ですから。何とかしてほしいと毎年思っているところです。
 こんな環境なので、冬は貼る&貼らないのカイロ二刀流、膝掛け、厚手の靴下、ヒートテック的なインナーとカーディガンは必須だし、手袋をはめて仕事をしている人もいます。私は今の会社でしか働いたことがないので分からないのですが、これはどの企業でも普通のことなんでしょうか?
 あと、フリースを着ている人も結構いて、そういえば私が小学生のときも、みんな冬はフリース着てたなと思い出しました。小学生の時に、片田舎の広大な土地にどでかいイオン(当時はジャスコ)ができ、市内で初めてのユニクロがオープンしたんです。その頃のユニクロは今よりも「安さ」を前面に押し出す戦略を取っていました。それまでファストファッションという文化がない地域だったので、みんなユニクロに殺到して、市内の小学生のほとんどがそれぞれ色違いのフリースを1着は持ってたんじゃないかなと思います。
 中学と高校は制服だったので一旦フリースとは縁遠くなるんですが、今思うと謎だった当時の風習があって、私の地元の中学生・高校生は、冬いくら寒くても、雪が舞っていても、絶対にアウターを着ないんです。アウター着て防寒に特化してる奴はダサいみたいな空気がありました。もはやフリースもダサい扱いになってたと思います。
 あの風習は何だったんだろう?と思うんですが、大人になって思うのは、コートとかダウンってそもそも高いし、デザインとか機能性を求めるとさらに高くなりますよね。私の大好きな和泉かねよし先生の漫画「ダウト!!」に「可愛い服は、値段が可愛くない」というセリフが出てきますが、まさにそのとおりなんです。
 だから、当時の地元の中高生は、着たいアウターが買えなくて、「安物で妥協するくらいなら、いっそのこと着ない」みたいな精神だったんじゃないかなーと思っています。なんか有名なデザイナーとかスタイリストが掲げてそうな概念ですね。
 しかし、大人になって、冷えがどれだけ美容と健康に良くないかを学んだ結果、今の私はとにかく身体を冷やさないよう頑張っていますし、フリースも着ています。フリースには小学生以来ずっと手を出さないでいて、去年ユニクロで久しぶりに買ったんですが、あったかくてしばらく手放せそうにないです。
 人類はフリースとともに始まり、やがてフリースに還ってくるものなのかもしれません。


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