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観た映画の感想 #87『アクアマン/失われた王国』

『アクアマン/失われた王国』を観ました。

監督:ジェームズ・ワン
脚本:デイヴィッド・レスリー・ジョンソン=マクゴールドリック
出演:ジェイソン・モモア、パトリック・ウィルソン、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世、
アンバー・ハード、ニコール・キッドマン、ドルフ・ラングレン、ランドール・パーク、
テムエラ・モリソン、他

はるか昔、南極の氷河の奥深くに封印された「失われた王国」。そこには、世界を滅亡させるほどの力を持つ伝説の古代兵器ブラック・トライデントがあった。ある日、アクアマンへの復讐を誓うブラックマンタがブラック・トライデントを見つけ出し、邪悪な力が解き放たれてしまう。5億もの海の生物を操ることのできる海底アトランティスの王アクアマンは、かつてない脅威から海と地上の世界を守るため、仲間たちとともに立ち上がるが……。
(映画.comより)

https://eiga.com/movie/94459/

いやもうね、超~~~~~~~~~~~~~~~~~~楽しかった!
ヒーロー映画かくあるべしという一作だったし、ここ数作のマーベル映画(MCUに限らず)に感じてた物足りなさを払拭して余りある快作でした。
そればかりか、「人間じゃない見た目の異種族がたくさん出てくる超スペクタクルブロックバスター」としての近年のスターウォーズに感じてた物足りなさをも払拭してくれる映画でもあって、もう言うことないです。最高。

ジェームズ・ワンってやっぱり凄まじく映画が上手い。
「それどうやって撮ってるの!?」っていうものすごい映像表現に関しては前作で驚かされすぎたぶん、真新しい驚きというのは正直そこまでなかったんですけど、ド直球のエンタメをこれでもかとばかりに投入してくる手際の良さと編集のキレが本当によくて。

まず冒頭、海賊に占拠されてる船にアクアマンが乗り込んできて賊を成敗するシーン。ド頭から人助けシーンを入れることでアクアマンがヒーローだということを示しつつ、同時にこの映画の観方、楽しみ方も提示するシーンにもなってるんですよ。『Born to be Wild』をBGMに賊をなぎ倒していくアクアマンを観て、さっきまで海賊に脅されてた船員たちがウオォォーッ!ってガッツポーズで盛り上がってるわけ。これだけでもう「これはこういうノリの映画です」って分かるんですよね。

ブラックマンタがアトランティスからオリカルクムを盗んだ後のチェイスシーン、特に高速道路っぽいチューブをものすごいスピードでチェイスするくだりはスターウォーズEP2の序盤でアナキンとオビワンがやってたチェイス風、オームを脱獄させるくだりで骨とワームが合わさったような生き物に乗って壁を逃げ回るところもちょっとスターウォーズ風、それにオリカルクムの影響で巨大生物の島と化した「悪魔の深奥」はヴェルヌの冒険小説……というか思いっきり『センター・オブ・ジ・アース』っぽいし、あとスターウォーズっぽさで言えば途中で立ち寄ったスラム街の支配者、キングフィッシュのキャラ造形は明らかにジャバ・ザ・ハットだし。

っていう感じで随所にいろんなエンタメ作品のオマージュが散りばめられているんだけれど、それぞれのジャンルムービーの面白さのキモを直球で投げることに全く衒いがないってことだと思うんですよね。今回はアーサーとオームの兄弟があちこち行くロードムービーっぽい要素もあって、場面が変わるたびに違うジャンルムービーっぽい展開になるのにもそこまで違和感がなかった。
そういうことをしつつ一方でシン博士が『ザ・グリード』みたいな怪物に襲われる序盤のくだりなんかは「前から来ると思わせて後ろから来る……と思ったらやっぱり前からも来る!」みたいに観客の注意を手玉に取るホラー的演出も冴えてて、現代最高のホラー監督の一人としての手腕も手慣れたものですよね。

人間ドラマの部分はアーサーの王として、父親として、兄としての葛藤やらなんやらをこれ一作で全てやろうとするのはさすがにちょっと詰め込みすぎ・尺が足りてないっていうのも正直感じはしましたけど、でもDCEUが事実上の打ち切りであることと、コロナ禍やらアンバー・ハードの家庭問題やらで大変な制作事情だったであろうことを考えれば「これで終わりなんだからやれること全部やるぞ!」っていうノリで一応はやりきってくれたのは良かったんじゃないかなーとも思います。
詰め込みすぎとは言ってもアーサーとオームの2人に絞って見ればすごく好みな関係性の積み上げ方でしたし、それこそMCUが十年以上+ドラマ2シーズンかかってようやく一段落つけたものをこれ一作で一応解決まで持って行けたんだから終わりよければすべて良しですよ。
オーム、枯れ木みたいにしおれてたのに海に浸かるだけで筋肉バッチバチに復活するところは笑っちゃいましたけど。乾燥ワカメかよ。

最後に上映形態の話。
今回はScreenXで観ました。

都合のつく時間がこれしかなかったからなんですけど、これがまた予想外に楽しかった!
なんとなく、観る前は横に引き伸ばされた超パノラマな映像になるのかなって思ってたんですけど、実際はそうじゃなくてあくまでメインは正面のスクリーンで映像も通常の画角、パノラマが映えるシーンになると正面のスクリーンに加えて横のスクリーンにも映像が追加されるって感じ。なので基本的には通常の上映形態と同じで正面の映像だけ観てればいいんですけど、横のスクリーンにも映像が入ると周辺視野まで全部映像で埋まる形になるので没入感が凄かった。ガンダムの全天周囲モニター型コクピットってこんな感じなのかなっていうイメージです。
今作では海でしたけど、空とか宇宙とか、視野を思いっきり横に広げられる空間がたくさん出てくる映画だとものすごく威力を発揮する気がします。これで『インターステラー』観てぇ~~~~!!

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