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不登校エッセイ#4 消えた母の日

母の日がなくなった


悲しいことに母の日のプレゼントは6年前からなくなった。

最後にもらったのは造花のカーネーション。

夫と子どもの3人で買い物から帰ってきて、照れくさそうに渡してくれたのを今でも覚えている。

その年の夏休み明け。
子ども2人が突然不登校に。

家の中は真っ暗。

私も心が折れて、子どもたちと一緒にひきこもるようになった。

子どもたちが不登校になったのは母親である私のせい。

そんな風にずっと自分を責めていた。
だから『母の日』という言葉を見るのもツラかった。

「もうすぐ母の日だね。 何が欲しい?」

気を使って夫が声をかけてくれても

「ううん。大丈夫」

目をそらして素っ気なく答えた。
そうして我が家から母の日はなくなった。

あれから6年


娘は不登校を卒業して専門学生になった。

息子は相変わらずひきこもっているけれど、気が向けば家族と一緒に外出するまで回復した。

そろそろ、お祝いしてくれてもいいのでは?

なんて思えるのは、母親としての自分をまるごと受け入れられるようになったから。

今日は母の日。

お花なんてもらえたら泣いてしまいそうだけど。

子どもたちが元気でいてくれるのが一番のプレゼント。

期待は半分にしておきます。

#創作大賞2024 #エッセイ部門 #不登校エッセイ

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