見出し画像

子どもたちに野外体験を通じて学んでほしいことは?

こんにちは!EDUCAMPの曽雌です。

昨日は、野外教育のスタッフとオンラインで教育トークをしていました。

スタッフと話していて、確かにな~と思ったのは、僕はEDUCAMPの野外教室のスタッフに対して、野外スキルの研修ってほとんどしたことがないんです。

野外教育をしているのに(笑)

それよりも毎回活動後のふりかえりでは、グループがどうだったのか、子ども同士の関わりはどうだったか、自分の子どもとの関わり方はどうだったのか、といったように、子どもたちとのコミュニケーションがほとんどなんですね。

これでも一応、夏には7泊8日の無人島キャンプをしたり、3月末には5泊6日で熱田神宮から伊勢神宮までの道のり138㎞を歩いて挑戦したりと、野外教育に対してはかなり力を入れている方だと思っています。

どうして野外スキルに力を入れないのか?
それは目的が違うからだと思います。

一口に野外教育といっても、サバイバル技術やキャンプ技術を学ぶための野外教育や、自然の中で思いっきり楽しむための野外教育。様々だと思います。個人的にはどれもあっていいと思うんですね。

ただ、その中で僕が作りたいのは、子どもたちが様々な人との関わりを通して、どうやって主体的に生きていくかを学ぶために野外教育だと思っています。

だから野外スキルは、あくまで手段の一つなんです。

そもそもサバイバル技術を極めても、火おこしのスキルを極めても、社会の中ではそれほど役に立たたないですよね(笑)

勿論、災害時なんかに、知らないよりは知っていたほうがいいという考え方も分かります。

でも、大切なのって、そういう想定外のときに、必要以上にあせることなく、自分で考えて行動できるようになることだと思うんです。

そのためには、不便な体験や不足を感じる体験など、子どもたちが自然と自分で考えなければならないような環境が必要だと思って、野外教育を実践しています。

基本的に、人って快適な場所では何かを変えてまで行動しようとは思わないですからね。

だから物にあふれていて、欲しいと思ったらなんでもすぐに手に入る場所では、自分で考える力の根本的なところって身に付きにくいと思うんです。

それって結局のところ、自分で考える必要がないと思ってしまうことに繋がっていったり、自分で考えても意味がないという体験に繋がっていってしまうと思うんですね。

だから僕は、子どもたちに野外教育が必要だと思って実践しています。

野外教育を実践する中で感じるのは、子どもたちには、そういう不便なことや不足をしていることをもともと楽しむ力をみんな持っているのではないだろうかということです。

ただ、なんでも手に入る体験を繰り返し、自分で頑張らなくても誰かにすぐに与えてもらえる環境に慣れすぎてしまうと、自分で考えて頑張ることをする前に、誰かを非難したり、攻撃してしまう面が出てきてしまう。

これってすごく自然なことだと思うんです。


2年前に実施をした7泊8日の無人島プログラムで印象的だった出来事があります。

無人島生活では、海から食料を自分で取りに行き、自給自足で生活をすることが一つの大きなプログラムになっています。

子どもたちの中にも、そこを頑張りろうと、そこを楽しみに、無人島に挑戦をしている子がたくさんいます。

その8日間の無人島が、初日から7日間ずっと雨だったんです。こんなことありえるのか!?というぐらい、毎日毎日毎日毎日、雨。

雨だけならばまだよいのですが、そこに雷もともなってしまうと海には絶対に出ることはできません。

そのため、子どもたちは海へ漁に出ることもできず、テントに非難せざるを得ない時間が過ぎていきました。

最終日だけは奇跡的に晴れたものの、終わってみれば子どもたちは無人島生活の多くの時間をテントで過ごすことになってしまいました。

最初に思い描いていた無人島生活とは全くもって違ったものになってしまい、子どもたちは実際にどう感じていたんだろうか。

7泊8日の無人島学校では、プログラムの終了後に、子どもたち一人一人にオンラインでコーチングを実施していっています。

体験を体験で終わらせずに、その後の日常生活に落とし込んでほしい。そんな思いからコーチングを実施しています。

この年、僕も無人島に挑戦した子どもたち30人以上を3か月間、毎月コーチングしていきました。シンプルに毎月30人はかなりスケジュール調整が大変でしたが…笑

初回は、無人島生活がどうだったのかというふりかえりが中心になります。
僕も少しだけドキドキしながらコーチングをしていくことになります。

あれだけ雨が続いた無人島生活、実際のところ子どもたちはどう感じていたんだろう。ある意味では無人島で避難生活をおくっていたようなものですからね。正直、気がめいって大人でも心が折れそうになる場面が何度もありました。

しかし、実際に子どもたち一人一人とコーチングをしていった結果、そこにあったのは僕の想像とは全く逆の姿だったんです。

「道が滑って滑って本当に大変だった!僕10回も転んだんだよ!」
「一番楽しかったのはテントでしりとりをしていたことかな~楽しかったな~」
「辛くて大変だった時、チームの仲間が声をかけてくれたんだ。それが凄くうれしくて。私もこんな風に誰かを助けられる人になりたいって思ったんだ」

みんな嬉々として自分が乗り越えた体験を話してくれます。
勿論、無人島生活が終わって少し時間がたっているからというのは大きいでしょう。

それでも、ある意味で武勇伝のように自分の失敗体験や、感じたことを話してくれるんですね。

それだけでなく、あれだけ続いた雨の無人島生活の中で、子どもたちは自分たちで楽しみを生み出していたんです。チームの仲間たちと関わることで、様々なことを感じ、テントの時間で何ができるかを考えていた。そして、そこで仲間からかけられた言葉を凄く覚えていたんです。

その話を聴きながら、毎日晴れて、毎日漁に出ていたら、きっと子どもたちはここまで考えることは無かったのかもしれないな、なんて思ったんです。

そしてそれと同時に思ったのは、大人が思っているよりもずっとずっと子どもたちには、自分で考える力が備わっている、ということです。

実は、それを発揮する機会や環境が子どもたちの周りにないだけなんだろうなということです。

大人が与えよう、与えようと思えば思うほど、子どもたちは自分で考える必要がなくなってしまう。

そう思うと、子どもたちが自分で考えて行動できるようになるために大事なのは、大人が何をしてあげるかではなく、大人が何をしないかなのかもしれません。

そのための環境を作ることが最も重要なのかもしれないな~と思っています。

だから僕は野外教育をしているんです。

そして、スタッフに野外スキルを必要以上に教えることをしていないのもここが理由です。

だって大人にスキルがあったらやってあげたくなってしまいますからね。

それよりも、ここまで書いたような考え方であったり、子どもたちをどう見るかの方がよっぽど大切だと思っています。

そんな発信を続けていきたいですね。

余談ですが、その後の子どもたちのコーチングは本当に面白かったです。
大人の発想とは全く異なる発想をする子どもたち。
毎回のコーチングが一つのドラマでしたね~

そのあたりはまたいずれ。

今日はここまで!
ありがとうございました~


曽雌


無人島学校HP

https://www.challenge.shosapo.jp/ci/





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?