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壇先生に聞く、「ステマ規制」でどう変わる? (4)

毎月専門家のゲストをお招きして、旬なネタ、トレンドのお話を伺います。


映画「Winny」で一躍多くの人が知ることとなった弁護士の壇先生に、景品表示法によるステルスマーケティング規制について伺う対談も、今回で最終回。

10月からの規制開始に向けて様々な準備が必要になるわけだが、事業者やインフルエンサーへの認知はまだまだのような気がする。今後、誰が音頭を取ってどう進んでいくのか。消費者にとっても、いつステマの片棒を担がされるかも知れず、正しい知識と認識が必要になってくる。


小寺:インフルエンサーにとっては、「広告」と書くことに対するデメリットはあるんでしょうかね?

壇:売上連動型の報酬が支払われるとしたら、大体いま一番すごいところでは20パーセントぐらい売り上げが変わるらしいですから、そこのインセンティブがなくなるってことなんですけども。でも逆にバレたらもう信用性はガタ落ちなので、書いとけよと。「PR」って書くだけでいいんだよ?と。

小寺:(苦笑)、これ、壇先生が言うからこんなにわかりやすいけど、この消費者庁の運用基準を見てそれをわかれというのは難しい気もするんですけど(苦笑)。

・「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準
https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_cms216_230328_03.pdf

壇:これね、「あれ入れてほしい、これ入れてほしい」という折衝がずっと続いてて、わかりづらくなってるんです。あくまでも総合考慮で、実質的に意思関与してるか、というとこなんですよね。行政が説明すると、あんまり本音論を言いにくいので、代わりに説明している感じですね、僕。

小寺:(笑)。本音はこうだよ、ということですね。

壇:ある要件を決めて、これじゃなければオッケーと言っちゃうと脱法をしてくるやつがいますから、全面的にオッケーとは言えなくて、ガイドラインには「客観的に自由な意思決定に基づくと認められるもの」という限定を入れさせてもらうよ、ということになってるんですよね。

小寺:だから、基本アウトの方へスイッチを倒しつつ、一部だけちょっと戻した、という感じですかね。

壇:ええ。大体、こういうとこで「これは大丈夫か?」とか悩んでる人たちがすぐ刺されるということはあんまりないですけどね。こんなのオッケーになる余地ないだろ、みたいなことをやってる人らがいっぱいいて、そういう人たちはいちいち聞いてこないんで。アウトだってわかってるから。

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