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InterBEEとAdobeMAXに見る、映像業界の変遷

知財、IT産業、ネット、放送、買ったもの、ライフハックなど、コデラの気になるところを語ります。


先週の11月15日から17日まで、毎年恒例のInterBEE2023が開催された。映像関係の方は出向いた方も多かっただろう。ところがその中日である11月16日、今度は東京ビッグサイトにてAdobeMAXが開催された。まあ1回の出張で両方見られたのは幸いだったが、なんでこう日程をぶつけるかな、と思ったものである。Adobe広報部長鈴木さんに聞いてみたところ、InterBEEと被ってると知らずに日程を決めてしまったようである。

まあそんなわけで両方の取材ができたわけだが、同じ映像系とはいっても方やハードウェアで技術寄り、かたやソフトウェアで制作寄りであり客層も全然違う。今回は両方のイベントから感じたことをまとめてみたい。

■規模は小さく間口は広く、のInterBEE

イベントとしてのInterBEEは、2019年頃から規模が縮小されており、現在は4ホールを使うのみである。一応オーディオと映像は場所が分かれているが、映像エリアはゾーンがあるようでないような状態になっている。IPが入ってきたことで色々なものが繋がってしまうようになったため、ゾーニングができなくなっていると感じた。

オッサン大集合のInterBEE2023

会場内で大きな面積をとっていたのが「IPパビリオン」である。ここではIP製品を持つ各社が共同で、仮想中継箇所2つ、仮想放送局を2つ立ち上げ、すべてをIPで接続するというでモンストレーションを行なっていた。もちろん機材も1メーカーで統一することなく、バラバラである。

放送システム全体をシミュレーションしたIPパビリオン

正直放送局の伝送システムはコデラの範疇ではなく、よくわからないところも多かった。もちろんこれに興味があるというのは放送局勤務の技術者だけなので、来場者もそれほど多くはない。ただ、機材はバラバラでも中間にオーケストレーションできる仕組みがあれば機能するということを実証できたのは成果であろう。こんな機会でもなければ、なかなか「実際に組んでみる」という機会はそうそうあるものではない。

同様のシステムは、AWSの展示でも見られた。ここでは汎用インターネット回線、いわゆるWANを通してシステムを組んでいた。ストリーム量としては十分だが、テレビ放送局という公共インフラの責任を考えたときに、一般のネット回線を通してていいのか、という議論はあるだろう。

AWSでは独自に放送マスター設備をIPで実現

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