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小寺の論壇:日本人特有の採点文化の背景

知財、IT産業、ネット、放送、買ったもの、ライフハックなど、コデラの気になるところを語ります。


前回で弁護士 壇俊光先生との対談が終了した。公開されているテキストでは割愛してしまったが、対談の中では、いわゆる日米の口コミ文化の差みたいな話で盛り上がった。

そもそも米国には、一般人が何かを評価する、いわゆる「口コミ」のようなサイトが少なく、それよりも突出したカリスマのインフルエンサーのほうを信用するという背景の違いがある。

一方でなぜ日本人は、誰もが自分で評価したがるのか。今回はそんな日本人特有の採点文化について考えてみたい。

■5段階評価は辛口すぎないか  

日本の口コミサイトでは、テキストでレビューが書けるという部分とともに、5段階評価を入れるケースが多いように思う。コメントを書くのはダルいが、評価はしたいという人も一定数いるうえに、読む側も星の数だけである程度の判断ができるというわけである。

こうした星の評価は、主に満足度を示す。例えば「価格.com」の場合では、製品のタイプごとに評価パラメータが設定されており、それぞれに星を付けて評価し、トータルの満足度を決めるという仕様になっている。

コデラもプロフェッショナルレビュワーとして、評価できる製品にはレビューを投稿しているわけだが、本文中では割といいことを書いていても、それが星の5段階と正確にリンクしているかと言われると微妙だ。

5段階評価は、正しい?

どういうわけか、5段階評価になると、辛めに付けてしまう傾向があるように思う。簡単に5は付けないぞと。オレはそんなにお安い人間じゃないぞと。こんなもので大満足すると思うなよと。なんだかそんな気持ちが根底にあるような気がする。

これ、一体なんだろうと考えるに、学校の成績における5段階評価のトラウマというか経験があるのではないか、という気がする。

通知表で5をもらうのは、なかなか大変だ。明らかに得意教科で、テストがほぼ満点の場合は5であることは当然だが、逆に言えばそこまで秀でていなければ5がもらえないということでもある。今回は相当テストで頑張ったのに、なぜか4止まり、みたいな経験も多いのではないだろうか。

反対に3なら普通、平均ということで、怒られもしないし褒められもしない。そこが基準値、という考え方がある。

だが冷静に考えてみれば、全体を100点とした場合の5段階評価なら、1:20点未満、2:20〜40点、3:41〜60点、4:61〜80点、5:81〜100点ぐらいの分布になるべきである。点数で言えば85点なのに、「普通に美味しかったです、星3つ」というのはどう考えても辛すぎるわけである。普通に美味しかったのなら5を付けるべきなのだ。

つまり日本人の5段階評価になると急に辛くなるのは、偏差値50前後はみんな3、それ以上特に優れていれば4、非の付け所がないレベルで参りました、ぐらいにならないと5は付けてこない。つまり5に対するハードルが、異様に高すぎるわけである。

そういうことなら、評価で3が取れれば十分なクオリティであると判断すべきだが、星3つ程度のレストランなどには積極的に行く気がしない。最高点なら行ってもいい、そうした評価に対する行動判断の厳しさもまた、問題があると言えないだろうか。

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