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谷中骨董市

先日、前職場の先輩とともに、谷中骨董市へと足を運んだ。私よりも10歳歳上の、この先輩と出かける時には「たくさん歩こう」という事がメインテーマとしてある。いつもガシガシ歩くのが恒例となっている。

神田まで中央線で出てから「それじゃあ、日暮里まで歩こうか」と、どちらからともなく言い、歩き始めた。しばらくすると、何やら長蛇の列が続いている。「これは何ごと?」と言いながらよく見るとそこは秋葉原だった。最近ここはこんな感じなんだ!知らなかった。はとバスも停車して海外からの観光客も多い様子。皆が何かに対して目的がある感じがエネルギーとなり、その場はギラギラとしたパワーでみなぎっていた。

少し歩くと、今度は鉄道のスポットなのか、老若男女が電車の並びを見ようと集まる場所があった。ぼんやりと、好きなものがあるのは良いな、そんな事を思った。花園稲荷神社の前を通り、縁結びと書いてあるのを見つけて慌てて神頼みをする。軽薄に手を合わせ、上野動物園の側を通る。水を撒いているおじさんが、パンダやぞうの絵を地面に描くのを子どもたちが笑いながら追いかけていた。



可愛いぞうさん
賑わう線路沿い

ソフトクリームが200円というお店があったので、店先で食べる。当日気温は28℃くらい。ミックスソフトがたいそう美味しく感じた。先輩のお父様が眠っている谷中墓地に手を合わせた。すでに桜は散ってしまっている並木道を歩きながら、なぜか以前も歩いたような感覚に陥った。

骨董市の場所に来ると、手ぬぐいや昔の衣服、昭和のプリンカップなどの雑貨がキラキラと並んでいた。私が気になったのは、「昭和カラオケ全集」というレトロな表紙の手のひらサイズの歌謡集。店番の方が
「あんまりわからないかもね」と言って手渡してくれた。
パラパラぺージをめくると、一つも歌うことが出来ない昔のものだった。でも表紙に描かれた子どもたちは楽しそうに口を開けている。結局買うのは諦めて、ほかに何か面白いものは無いかを物色する。ハンガリーのものだという、ミッキーマウスのような、そうでないようなシュールなネズミの絵葉書を買おうかどうしようか悩むがやめた。先輩は、お皿や花瓶が気になっている様子。ロイヤルコペンハーゲンや、ファイヤーキングなど、年代も様々な陶器は見ているだけで楽しい。

店番の人の蘊蓄を聞いたり、品物を手に取ったりしながら、「とりあえず考えよう」と言って駅前のレトロな喫茶店「談話室」に入る。私はオムライスを頼み、先輩は幕内弁当を。そこで喋っているうちに、考えるはずのことは忘れて布の問屋街へ行き、先輩はお孫さんにズボンを縫う為の生地を買い、私は自分のズボンのボタンが割れてしまったので、それに合うものを120円で購入。


談話室の看板

帰りも歩こうかと話したが、時間の短縮のために電車にすることにした。次は赤坂蚤の市に行く約束をして、帰路についた。両足がじんわりと心地良い疲労感でいっぱいになった。

談話室オムライス


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