感謝と煩わしさは時に両立する

一人暮らしをしている“いつかの私”へ

早く実家を離れて一人で生活がしたい。
そう思って初めは地方への就職を考えたものだけど、自分がいったい何を軸に就活すべきかが分からなくなって行き詰ったので、結局場所で就職先を決めるのは辞めた。

しかしまあ「実家から通える距離」であることを売り文句の1つにしている企業の多いこと。大体の健康的な人は、就職する=実家を離れて暮らすものだと思っていた。

きっと、
就職した1年目は毎日毎日クタクタになって、日々の普通の生活を送っていくだけでも大変なんだよ、家事なんてほんと大変なんだよ、生活費のやりくりも頭使うよ、だからそういう苦労を棚に上げて、気が楽だからみたいなのんきな理由で一人暮らししたいとか言うんじゃないよ、
ってことなんだろう。

けど、私は「苦労してなんぼじゃん」と思っている。このまま実家に何年もいながら普通の顔して働くことに大きな違和感を抱いている。っていうか駄目だろ、と思っている。就職していない、まだ実家を出ていない私なんかがこんなこと軽々と口にすれば、この小娘がって言われそうだけど、それでもやばいな、このままはさすがにって危機感は常にあるの。

ねえ、一人暮らしをしている“いつかの私”、
実家を離れてみてよく言われる「実家暮らしがいかに素晴らしいか」論は沢山あると思うんだけど、
それよりも離れて良かったって思うことは何?

私は今日ね、両親が買い物に出かけている間に、家でひとり、明日の脱毛のために剃毛処理してたんだよ。
それでね、しばらくは帰って来ないだろうって思ってたから、風呂場で気になってたあらゆる部位を剃ってたのね。風呂場の扉もちろん開けっ放しで、玄関から入ってきたらすぐ見えるような格好でね。
そしたら驚いちゃった。
予想より随分早く帰ってきたんだもの。焦るよね〜
両親には見せられない格好でいた自分に冷や汗かきつつ、父親が家に入る前にすぐさま風呂場の扉を閉めた。

一人暮らしをしている“いつかの私”だったら、絶対に起こり得ないことじゃないですか。ねえ。

こういう時に羨ましいなあそっちは、って思うわけ。

ああ、あと気軽に料理の練習とかもできるじゃん。てか一人暮らしするってことは必然的に日々の食事を自分で準備しなきゃいけない環境になるわけじゃん。
今の私はね、「一通りの炊事をこなせるようになりたい」って思いは人一倍強いんだけどね、結局やれることはご飯研いだりとか母の邪魔にならない手伝いだから、やることは限られる。

魚おろす練習したいんだけど、ゴミの日何曜まで無いから台所臭くなっちゃうな、とか、このレシピ作ってみたいけど、きちんとしたおかずを母が作って準備してくれてるから、これ以上冷蔵庫に食べるもの増やすのも気がひけるのよ。

一人暮らしをしている“いつかの私”だったら、家が臭くなろうと、冷蔵庫におかずがたまろうと自分以外に被害受ける人は特にいないわけだよね。

実家だと色々気を使ってしまうのです。日々料理してくれてるのは母だし、毎週毎日の母の段取りに負担をかけるのも嫌だし。

今までは、感謝しなきゃ、自分は贅沢だ、って思っていたんだけどね。

私やるから大丈夫だよって言ってもやってくれる母親の優しさに素直に頷けない。正直最近はうっとうしく思うことも増えてきた。

離れることで、寂しさとか不便さとか、もしかしたら恐怖心とかも後々生まれてくるのだろう。けど、それでもいい。

そろそろ飛び立ちたいの。

まだ実家暮らしの“今の私”より