マガジンのカバー画像

オリジナル小説@やまのぼ

120
<この続き>がどうしても読みたい!と読者を魅了する、連載小説が書きたい! そんな若い頃からの夢に、挑戦続けている古希過ぎた爺さまの小説集です。
運営しているクリエイター

記事一覧

【超短編小説】細(その13)#140字小説

暮れなずむ西の空。煌めく光に心を奪われた。その細い銀色の糸に沿って兄の声が届く。何度も僕…

やまのぼ
2週間前
19

【超短編小説】細(その12)#140字小説

君に出逢ったころ君の繊細さが瑞々しかった。細くて華奢な小指で、口紅を整える姿が新鮮だった…

やまのぼ
2週間前
19

【超短編小説】細(その11)#140字小説

頭の中でひしめく微細シナプスが悲鳴をあげている。人生経験で培った知識と知恵をブレンドして…

やまのぼ
2週間前
25

【超短編小説】細(その10)#140字小説

朝の光の中。「今夜も午前様でしょ」陰湿で鬱陶しい家人の繊細さが、ネクタイを整える私の秘め…

やまのぼ
3週間前
20

【超短編小説】細(その9)#140字小説

いつも、認め合う努力はしていたはずだ。争いの中でも気持ちの交わりを見つけようとしてきた。…

やまのぼ
3週間前
21

【超短編小説】細(その8)#140字小説

元DV夫と離婚して息子と二人で細々と暮らしていた私。かつての上司と四半世紀ぶりにS駅で再会…

やまのぼ
3週間前
17

【超短編小説】細(その7)#140字小説

父は病院と自宅を往復する晩年だった。病室で昼夜付き添う同居の姉を誰よりも頼りにしていたのだ。居心地悪い見舞いの最中、姉がトイレに立った。痰を詰まらせた父の口許に、咄嗟に吸引の細い管をあてがう僕。糊塗する邪念はなかった。鬼の形相で私の手を強く振り払った亡父。もう確執を消す術はない。 【超短編小説】細(その8)#140字小説 を読んでみる👉

【超短編小説】細(その6)#140字小説

酔っての帰宅か。上がり框にひっかけたのだろう、踵を踏み潰した不細工なスニーカーが、玄関の…

やまのぼ
4週間前
19

【超短編小説】細(その5)#140字小説

ねえちゃん!かあちゃんは、このまま帰ってこないの?弟が堪えきれなく私ににじり寄った夕暮れ…

やまのぼ
4週間前
18

【超短編小説】細(その4)#140字小説

何気なく白くて細い指で、乱れた前髪をかきあげた妻。今更ながら、新しい発見をしたかのように…

やまのぼ
1か月前
15

【超短編小説】細(その3)#140字小説

冷やかしで飛び込んだテント小屋。もう少し真面目に答えてよ!アラ還らしき占い師は、細い金縁…

やまのぼ
1か月前
17

【超短編小説】細(その2)#140字小説

細心の注意を払って、細目に開けた扉から一条の光が、熟睡する母の寝顔を意図せず射った。一瞬…

やまのぼ
1か月前
21

【超短編小説】細(その1)#140字小説

気軽に口走った言葉が、夫婦関係の瓦解の始まりだった。でもそれは、大いなる思い違いだった。…

やまのぼ
1か月前
29

父親が子守歌代わりによく話してくれた、王様の耳はロバの耳だ!というギリシャ神話。聞きながら深い眠につけた幼い頃を、いまでも思い出す。大きな父親の掌で私の小さな耳が熱くなるまで、何度も擦ってくれた。私の自慢の優しさは、あの深い父性愛が源流なのだ!この歳になって初めて知る後悔は深い。