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ニャーコを止められなかった…

2019年2月18日。

しばらく姿の見えなかったニャーコが帰ってきた。

大好きな煮干しの煮たのを食べると、

すぐコタツに潜った。

久しぶりに帰ってきたニャーコは、

身体が汚れて、

後ろ足が震えて、

立っていられない。

声を出すのもつらそう…

病院に連れて行こうとすると、

弱っているのに激しく抵抗する。

何軒かの病院に電話したけど、

飼い猫ではないことでいいお返事がもらえない。

今から連れてきてもいいと言ってくれた病院が見つかり、

主人と連れて行こうとしたけど、

ニャーコは弱った身体で精一杯の抵抗をする。

かわいそうで、

動かせない。

ニャーコは今、私のそばにいる。

ここから動こうとしない。

今はこのままニャーコの横にいようと思う。

病院の先生にニャーコの様子を伝えると、

車にひかれた可能性が高いと…

もしかしたら連れて来ても治療できる状態ではないかもと…

こんなに力なく、

ぐったりしたニャーコを見たのは初めて…

それでも、

こんな身体でここに戻って来てくれた。

今は休んで、

とにかく休んで欲しい。

眠っているニャーコを見守りたい。

しばらくたって、

ニャーコは目を覚ました。

カリカリを食べると、

ふらつきながらゆっくりと歩き、

外に出してくれと鳴いた。

そのままふらふらと外に出て行った。

ニャーコを止めることはできなかった…


一昨年、

長男が大きな発作を起こして倒れ、

しばらく寝たきりの状態になった。

その時は家の2階にいた長男。

痙攣が何時間も続き、

私が音に気づかなかったら、

命を落としていた可能性もあった。

助かっても身体に麻痺が残るかもしれないと思うほどの発作。

寝返りを打つことすらできず、

仰向けでジッとしているしかない状態で、

長男は、

「パソコンをお腹の上に乗せて欲しい」

と言って、

パソコンでの作業に集中し始めた。

毎日毎日、

長男は自分の作業をやめることはない。

何があろうと毎日…

今は1人で暮らしている長男。

もしまた大きな発作を起こせば、

1人でいる長男の命はないかもしれない。

それでも長男は自立したいと言う。

少しだけ人の手を借りて自分で生きたいと言う。

何も残せないなら死んだほうがマシなんだと言う。

もしものことがあったら、

と思うと怖い。

小さな頃から何度も命を落としかけてきた長男。

私は子どもを失う恐怖とずっと戦ってきた。

でも長男には執念がある。

長男は私のために生きているわけではない。

長男を止めることはできない。


ニャーコも…

ふらふらで、

やっと歩いている状態で、

それでも歩き出すニャーコに執念を感じた。

ニャーコには、

どうしても行かないといけないところ、

やらないといけないことがきっとある。

ニャーコは賢く強い男の子。

勇敢な猫。

それがニャーコの尊厳。

私がいつも感じていたニャーコの威厳が、

ふらふらの背中にあった。

もしかしたらニャーコを失うかもしれないと思うと、

怖くて身体の震えが止まらない。

でも、

ニャーコが自分から歩き出す限り、

ニャーコを止めることはできない。



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