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『ジョジョ・ラビット』”Jojo Rabbit” 10歳の可愛い男子が主人公の映画だが これはエッジの効いた風刺レジスタンス・コメディだった

新型コロナ肺炎感染防止のため自宅での生活が続く中、香港のNowTVの配信で映画『ジョジョ・ラビット”Jojo Rabbit”(19年)を楽しんだ。
この作品も香港での公開が2020年1月30日と旧正月だったため、もうその頃はコロナ感染で自粛が始まり、映画館へ行けずじまいだったのである。

マーベル・フランチャイズ『マイティ・ソー バトルロイヤル』(17年)を監督し、名を上げたタイカ・ワイティティが次に選んだのは、クリスティン・ルーネンズ原作の“Caging Skies”の映画化。ワイティティは、このダークな原作を風刺の効いたブラック・コメディに消化し、見事アカデミー賞脚色賞を受賞する。

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(ジョジョ・ラビット 香港版ポスター)

タイトル・バック、ビートルズの「抱きしめたい ”I want to hold your hand”」ドイツ語ヴァージョンがかかり、そのモノクロ映像には群衆がヒトラーに歓喜している様が映し出される。あたかもビートルズに熱狂したファンのそれだ。

第二次世界大戦も終わりを告げようとしている頃、ドイツ帝国を心から愛する10歳の“ジョジョ”・ベッツラー(ローマン・グリフィス・デイヴィス)は、ヒトラーユーゲント(ヒトラー青少年団)に入隊できることに興奮していた。初めて集会へ参加する前、空想上の友人ヒトラー(監督も兼ねるタイカ・ワイティティ←チャップリンの『独裁者』(40年)に似せてきてるね)に「ハイルヒトラー!」の正しい言い方を教わり意気揚々と出発するジョジョ。

森で先輩にウサギをひねり殺せと命令されたジョジョは、それが出来ずみんなからひ弱な“ジョジョ・ラビット”と馬鹿にされる。そこにまた空想上の友人ヒトラーが現れ、皆を見返すために勇気ある行動を取れと言われ使ったことのない手榴弾を投げ自爆してしまう(あれま)

病院から退院したあと、顔に傷が残り足も負傷したジョジョだったが、気の強い母ロージー(スカーレット・ヨハンセン←本作でアカデミー賞助演女優賞ノミネート)はヒトラーユーゲントの支部へ乗り込み、クレンツェンドルフ大尉(サム・ロックウェル←『スリー・ビルボード』でアカデミー賞助演男優賞の名優)へ文句をいう。その結果ジョジョは戦意高揚のポスター貼りの仕事をすることになる。

イタリアの戦地へ出兵中の父がいなくても、優しい母はジョジョに愛情を注いでくれている。そんなある日、ジョジョが一人で家にいる時、壁に隙間があることを見つけ、こじ開けてみると、なんとそこにはユダヤ人の若い女性がいた!ヒトラーユーゲントではユダヤ人は頭に角の生えた悪魔だと教えられていたが、自分が出会ったエルサ(トーマシン・マッケンジー)は違っていた。彼女に出会いジョジョは次第に洗脳がとけ成長していくのだった。

Reference YouTube

どんなストーリーかまるで知らずに鑑賞したので、途中でこれは『パラサイト 半地下の家族』(19年)か?と一瞬思ったが、すぐにいやいや「アンネの日記」だなと思い直した(笑)。
なるほどこれはレジスタンス映画だったのですね。
男の子が主人公なので、ハートウォーミングなコメディかと思っていたが、ハートブレイクなストーリーでもあった。
全ての観客が満足する映画ではないかもしれないが、ニュージーランド人でポリネシア系ユダヤ人のワイティティの風刺とエッジが効いてる作品。ぼくは気に入った。
「ハイルヒットラー!」と言うだけで笑いを取るのはうまいね。暴力描写が少ないのも好感が持てる。

お母さんと息子が二人で河べりの階段を上がるシーンが素敵だったな。

てなことで。

Image credit

https://tube.hk/images/titles_cache/1000x1406_movie16748postersjojo_rabbit-hk.jpg

最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました!