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[対談]トッティ×ラニエリ監督 過去の事件について語る

イタリアサッカー界の王子、フランチェスコ・トッティと、岡崎選手が所属していたレスターを優勝に導いたことで有名なラニエリ監督が対談をしている動画を見つけました。この2人は2009年〜2011年、ローマで師弟関係でした。この対談では、その期間に起きた、ある事件について本音で語っているものです。それは、2011年コッパ・イタリアの決勝、途中出場したトッティが、悪童で有名なバロテッリを蹴飛ばし、一発退場したもの。
「おいじじい!お前の時代は終わったんだよ。」とバロテッリがトッティを挑発。それに対しトッティがブチ切れ、強烈なキックをバロテッリにお見舞いしました。

ちなみに、こちらがその事件です。

動画内で、この事件がなぜ起きたのか、当時のトッティの心境、ラニエリ監督がローマを指揮することになった時の話しなどを遠慮することなく本音で語っています。

対談中には、監督と選手、上司と部下の理想的な関係性が垣間見えます。
「おバカで素直なサッカー選手」というようイメージのトッティが、ニタニタしながら遠慮もなく当時の心境をコメント。
ラニエリ監督もそれに対して全く怒りません。
この対談は、選手も監督も対等で、ただの役割に過ぎないということを教えてくれます。トッティの遠慮のなさを楽しみながら読んでいただけると幸いです。


トッティ

あの時起きた事件はあなたが悪いです。

ラニエリ監督

なんのことだ?

トッティ

コッパ・イタリアの決勝、ローマvsインテルでバロテッリを蹴っ飛ばした事件ですよ。あの日はスタメンでプレーできなくて、いや、あなたが僕をプレーさせなくてイライラしてました。
ローマオリンピコ(ローマのホームスタジアム)での一番大切なコッパ・イタリアの決勝、しかも日曜日の試合だったのに。
決勝戦ですよ?

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ラニエリ監督

間違いは誰にでもあるさ。次はそんなことは絶対にしないと誓うよ。

トッティ

僕はまじでイライラしてました。
ベンチにいて、その後良くないことがマリオ(バロテッリ)との間に起こってしまいましたね。0-1で負けていた試合終了30分前、監督は僕を呼びました。それで彼が僕をからかってきたので僕は例の行動に出ました。からかわれるのは嫌いなので。何もいうことはないけど、あれは監督のせいですね。
もし監督が私をプレーさせていたら、あのようにはなっていなかったでしょう。


ラニエリ監督

本当にごめん。謝るよ。

トッティ

僕が始めから試合に出ていたらおそらく勝っていました。
2-0か3-0でね。間違いないです。
そして、僕たちの歴史にもう一つのタイトルが追加されていたでしょう。

トッティ

スパレッティ監督が辞任した時。
クラブスタッフに呼ばれて会議に出ました。
ペロッタやピサーロなどのベテラン選手たちも一緒でした。
その時、クラブスタッフが、2つのオプションがあると言いました。
ラニエリ監督か、マンチーニ監督かと。
私たちはその2人のうち1人を選ばなければいけないと言われました。
みんな良く考えながら話し合い、マンチーニにすると伝えました。
なぜか?
ローマの街にいたことがある監督で、ローマの雰囲気もよく知っているので、より簡単に物事が進むと考えたんです。
マンチーニはあの頃、ヨーロッパにいて、良い選手を指導したいと考えていたし、勝利にも飢えていました。
怒らないでくださいね監督。
クラブスタッフは僕たちに「わかった。マンチーニか。」と言いました。
てっきりマンチーニ監督に決まったと思い、会議を後にしました。
家に戻り、、、夜の19時頃くらいでしたね。
ニュースで「ローマの新監督はラニエリに決定」というのを見ました。
あ、、、、いいね。僕はこんな感じでした。
会議まで出かけたのは、いい散歩になりましたね。
その後にあなたがローマにきたんです。
もちろん、みんな満足してたのは言うまでもありませんよ。
そこからいいシーズンが始まりました。

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ラニエリ監督

あの時は、夜の遅い時間にブルーノ・コンティ(元ローマのプレーヤーで、当時のクラブスタッフ)から電話がかかってきました。今、私はローマを愛していますし、生粋のローマ人であり、ローマのファンでもあります。私がローマに帰るたびに、「ローマで指導してくれ!」と皆から言われることはとても素晴らしいことですし、皆が自分を好いてくれるのはとてもいい気分です。しかし、ローマの監督になったらどうなるでしょうか。
結果が出ない時はローマファンは僕に容赦ないでしょう。
僕は彼(トッティ)のように、街を散歩することさえできなくなってしまいます。私はローマの街を散歩することを愛しているので、それができなくなるのは嫌でした。
どうやって断ろうか一晩中考えていたんですよ。
けど、私はローマにいくことを決めました。

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対談の動画はここで終わりますが、当時感じていたことを遠慮なくコメントするトッティはたまりません。
監督と選手、上司と部下は役割が違うだけで、対等であるということ。
対等とは言っても、トッティはラニエリ監督に対し、イタリア語で敬語にあたるもののような言葉を使って話しています。
また、上司として敬意は払うけれど、遠慮なく本音を伝えています。
日本だと、敬語を使う際に相手のことを自分よりも上にしてしまうので、上下関係ができ、選手(部下)は遠慮してしまいますが、敬語を使うからと言って遠慮をする必要はないと思いますし、監督(上司)も自分が敬語を使われているれているからといって、相手より上というわけではありません。
この対談では、そんなこと(役割が違う中での、対等性)を教えてくれているような気がします。
トッティとラニエリ監督のように監督と選手が、お互いにリスペクトをしながら、遠慮をしない関係を築くことが、グループをより良い方向に導くのではないかと思います。

こちらが元動画になります。
イタリア語ですが、興味がある方は見てみてください。




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