You Know I’m Not Good

今日、偶然声をかけられて気づいた元彼。

手と歯がとても綺麗な男だった。
それが第一印象。
優しい笑顔からみえる美しい歯。
所作の綺麗な手。

あっという間に引き込まれて、私からアプローチした。
やることなすこと喜んでくれて、離婚したばかりの、二十歳そこそこの私にはトキメキしかなかった。

最初は飲み友達から始まって、たまに身体の関係も。

そんな都合の良い関係だから楽しかったのかもしれない。

私は嘘をついていたからだ。

名前も、子供がいる事もふせていた。
本気になるとは思わなかったから。

会えば会うほど、気持ちは募り、罪悪感に苛まれた。

次のオリンピックまで一緒にいたら、結婚しようとも言われた。

胸が苦しかった。

ある日、いつものように飲みに行って2軒目へ。
彼の行きつけの店に初めて連れて行かれた。

彼女っす

彼は私をそう紹介した。

そこから私の記憶が無い。

朝気づいたら、裸で彼の部屋のベッドにいた。

大丈夫?記憶ないよね?
大変だったけど、病院案件じゃなくて良かったー。きにしなくていいからね。

その言葉に愕然とした。
恥ずかしくて、彼に謝り、送ると言われたが、タクシーですぐに帰った。

それから彼とは連絡を取らなかった。

会ってきちんと謝りたかったが、所詮全て嘘。

せめてものお詫びに、以前プレゼントしてすごく喜んでくれた、ポールスミスのネクタイに精一杯のお詫びと感謝を伝える手紙を書き、彼の部屋のドアの前に置いてきた。

そしてこの関係は終わった。

Amy Winehouse のこの曲を聴くと、この時の自分を思い出す。

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