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学校文化はあるものじゃなくて創るもの〜中つ火を囲む会 【週刊新陽 #152】

もう3月も後半だというのに札幌はまだまだ雪景色です。

見出しの写真は3月19日の朝。この日、家を出る時は晴れていたのに5分ほどすると雪が降り始めて風も強まり、学校に着く頃には前を向けないほどの吹雪になっていました。

12月は暖かい日が多く、今シーズンは雪が少ないかな?と思っていたのですが、2〜3月にドカ雪が続き、むしろ雪解けが遅いようにさえ感じます。よく北海道の人たちが「雪の量は結局帳尻が合う」と言いますが、まさに今年はそれを体現しているかのよう。春が待ち遠しいです。

そんな、まだ寒さの残る3月13日(水)、教職員の対話の場『中つ火を囲む会(通称:中つ火)』を行いました。

今回もリモートでファシリテーションしてくださったのは
一般社団法人21世紀学び研究所の熊平美香さんです。

組織文化は行動の結果

今年度の最後の対話のテーマは「文化づくり」。

組織の文化は、価値観(大切にしていること)を軸にした「価値観」「感情」「思考」「態度」「行動」という5つの一貫性により形づくられるものである、文化は「行動」の結果、と熊平さん。

文化づくりにおいて、リフレクションの習慣を持つと自分の体現している組織文化をメタ認知できるようになる。そして、体現している文化をメタ認知できるようになると意図的に組織文化を形成することができる。つまり、私たちは、自分が体現したい文化を実現するために、どんな行動が増えてどんな行動が減るとよいかリストアップして実行することができる、というのです。

今回の中つ火は、学校組織を構成する生徒と先生の行動からメンタルモデルを洗い出すというアプローチで対話を深めていくことにしました。

「時間にルーズ」は文化か

実は、年度が後半になるにつれ生徒の遅刻が増えてきたことについて課題感を抱えていました。

新陽高校では、遅刻した生徒は職員室に来て遅刻証という用紙に記入し先生にサインをもらってから教室に向かいます。

特に冬休みが明けた後、朝のホームルームから1時間目の授業が始まる前の時間帯に、遅刻証をもらいにくる生徒で列ができる日があるほど。遅刻の理由はさまざまで、北海道ならではの雪による交通機関の遅延という場合もありますが、多くは体調不良や寝坊です。

さらに最近は朝の遅刻だけでなく授業の開始時間に遅れる生徒も増えていて、「どうしたら生徒がちゃんと登校してくれるだろうか」「時間にルーズになってはいないか」と教職員みんなで頭を悩ませています。

そこで、今月の中つ火の主題は『時間にルーズは文化か』。

まずは文化を形づくる「行動」〜「価値観」から。時間にルーズな生徒、規律を守りたい生徒、時間にルーズな生徒を注意する先生、注意しない(できない)先生、それぞれにどんな価値観があるのか考えてみると、普段の生徒との会話や自身の経験などから、遅刻に関していろいろな考えや気持ちが見えてきました。

次に、生徒と先生それぞれの「意見」「経験」「感情」「価値観」を深掘りしメンタルモデルの洗い出し。挙がったのは、遅刻する生徒もどうやら「遅刻が良くないこと」と分かってはいることや、バイトだと時間を守れるということ。先生側で言うと、注意する先生も注意しない先生もどちらも「生徒が自分で時間に対してコントロールできるようになってほしい」と共通の価値観を持っている、という話もありました。

最後に「どのように伝えると時間を守る価値が生徒に伝わるか?」という問いが熊平さんから投げかけられると、時間を守る大切さを自身の経験談から話すという案や、どうやったら時間を守れるようになるか具体案を示すという案など、アイデアが続々と。

特に、ベテランの先生方から出された、時間について直接話すのではなく人や物を大切にすることから時間を「守る」人に導いていきたい、「時間を守る」という意識を生徒が自ら見い出す働きかけをしていきたい、といった意見には、みんなが深く共感しました。

中つ火を通して対話を文化に

中つ火を始めて丸3年が経とうとしています。

2021年度より、ビジョン(大切に思うこと、ありたい姿)に向けて探究的・創造的であり続ける「学習者としての教職員集団」を目指して、学習する学校づくりに取り組んできました。

その中で中つ火は、学習する組織の「志を育成する力」「共創的に対話する力」「複雑性を理解する力」を身につけるため、リフレクションや対話のスキルを学びながら、目の前にある課題や自分たちのビジョンについて本音を語り、傾聴し合い、共創する場となっています。

中つ火を囲む会というネーミングは、国語科の髙橋励起先生が「焚き火のことを"中つ火"って言うんですよ。」と教えてくれたことから付きました。ネイティブ・アメリカンは、何か問題に直面して話し合う際に火を囲み、立場や肩書きに関係なく意見を出し合って対話していたそうです。

新陽の中つ火が最初から変わらず目指しているのは、焚き火を囲むようにフラットに対話する場をみんなでつくること。そこには掲げている教職員としての行動指針(3S)が紐づいています。

Shared Vision
Shared Leadership
Shared Experience

4月からの4年目も、これまで培ったみんなの対話力を活かすと同時に原点を忘れず、ときに真剣に、ときに穏やかに、火を囲み続けたいと思います。

【編集後記】
先日の卒業式の後、本当に久しぶりに(校長としては初めての)3年生担任の先生方の謝恩会を行いました。美味しいご飯とお酒をいただき、少しぶっちゃけた話もしつつみんなで盛り上がりながら、真面目な会議も豊かな対話の場も大事ですが、飲みニケーションも悪くないなと思いました。

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