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文学フリマ東京37新刊内容紹介

きたる11月11日(土)東京流通センターで開催される文学フリマ東京37。メルキド出版は第二展示場・2階Fホール「せ‐48」にて、新刊4点(文学フリマ大阪11新刊2点含む)と既刊6点を販売します。伊藤にしん主宰「逃亡派」と共同出店です。

新刊①『REBOX5』
A5 166頁 1000円

装幀:瀬希瑞世季子


特集 テン年代殺し
序文
沖鳥灯 趣味(テイスト)の階級闘争──外との関係のために
論考
砂糖円 「バーチャルYoutuber」キズナアイとVtuber試論
伊藤にしん ウェブノベル・ノスタルジア
きただ 宇宙に降る雪のように──海猫沢めろん『ディスクロニアの鳩時計』について
短篇
松下 異世界衛星通信
佐波長太郎 名前のない道
柊ひいる the age of violent bombs
瀬希瑞世季子 世界対
中川 二〇一六年
エッセイ
織沢実 SMAPを見ていた頃、私は幼かった。

付録 この単巻ライトノベルがすごい!
序文
前川卓 いま、なぜ単巻ラノベなのか
ブックレビュー
海猫沢めろん『左巻キ式ラストリゾート』(二〇〇四) 佐藤智史 
桜庭一樹『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』(二〇〇四) 瀬希瑞世季子
来楽零『ロミオの災難』(二〇〇八) 三千周介
泉和良『エレGY』(二〇〇八) 佐波長太郎
有沢まみず『銀色ふわり』(二〇〇八) 柊ひいる
江波光則『ストレンジボイス』(二〇一〇) 瀬希瑞世季子
浅生楽『ミネルヴァと智慧の樹』(二〇一〇) 三千周介
星空めてお『四月の魔女の部屋』(二〇一一) 初雪緑茶
石川博品『ヴァンパイア・サマータイム』(二〇一三) 柊ひいる
高山理図『ヘヴンズ・コントラクター』(二〇一五) 伊藤にしん
青井硝子『異世界自然の非常食』(二〇一五) 伊藤にしん
中里十『どろぼうの名人』(二〇一六) あかふし
御影瑛路『僕らはどこにも開かない』(二〇一六) 瀬希瑞世季子
桐山なると『オミサワさんは次元が違う』(二〇一八) あかふし
佐野徹夜『アオハル・ポイント』(二〇一八) 広場沈
瀬名快伸『君は彼方』(二〇二〇) 初雪緑茶
八目迷『琥珀の秋、0秒の旅』(二〇二二) 広場沈
枯野瑛『砂の上の1DK』(二〇二二) 砂糖円

新刊② 松原新夜『不都合な箇所は削除せよ』
A5 90頁 500円

装幀:白濱

黒い鳥
ルース
何も執着しない
ノイ
悪魔夫人
翳りゆくメシア
二〇世紀ドライブ

新刊③『ジャーナル・リュミエール』創刊準備号
A5 104頁 1000円

装幀:白濱


巻頭言
沖鳥灯 映像の海の羅針盤として
1997年から2002年まで関東圏のミニシアターに入り浸る日々を過ごした筆者。帰郷して20年後、三人の学生たちと映画誌創刊の準備を始める。「暗闇の光を見つめ、映像の星座と自己の倫理を照らし合わせなければならない。」

インタビュー
京都おもちゃ映画ミュージアム 館長:太田米男
取材:藤見実 写真:冬
フィルムのデジタル化事業や、光学玩具の展示、一般に開かれた研究者によるレクチャーつき上映会など、さまざまな事業を手がける「京都おもちゃ映画ミュージアム」。京都在住の藤見が館長、太田米男氏へインタビュー。アーカイヴのお仕事や、古今京都の映画事情について伺う。映画を取り巻く技術的・物質的条件や、映画産業に参加した瓦職人の話など、なかなか聞けない話が盛りだくさん。カメラマン冬による施設の写真を多数掲載。

小特集
ゴダールの世代
ジャン=リュック・ゴダール(1930‐2022)の影響下にあるだろう映画監督四名の論考。「いま現在誰しもが「ゴダールの世代」なのだ。むろんそのグラデーションこそ問わねばならない。」

FROGS 映画監督モーリス・ピアラ
「彼の名は、ジャン=リュック・ゴダールではない。」ゴダールより五歳年上のモーリス・ピアラが残した完成度の高い十本の長篇映画を紹介。ピアラ中心にゴダール始め、ドパルデュー、ブレッソン、ファスビンダー、グァダニーノなどを語る。

フォスフォ 破壊せよ、とアイラーの亡霊は言った──青山真治論
「一九七〇年代末に黒沢清と万田邦彦の核のもとで立ち上がった、立教大学自主映画製作サークル、パロディアス・ユニティ」の一員としてフィルモグラフィを開始した青山真治はゴダールと共に2022年逝去。青山作品をデリダ「憑在」で論じ、「一九八九年九月十日」「一九九二年八月十二日」の日付に共同体のつなぎ間違いの回帰を見る。

藤見実 映画への憎しみ──『スパイの妻』、アーカイヴと動員とのあいだで
強制収容所の記録映像があれば「破壊する」と言い放った『ショアー』の監督ランズマンに対して、絶対にフィルムを見つけてみせると豪語したゴダール。731部隊の記録映像を「捏造」してみせた黒沢清『スパイの妻』は、その系譜にあって、観るものを「動員」してしまう映画の良心を問い直す。 「本論が問いたいのは、事実を伝える映像と、「動員される」ことの関係である──なぜ「映画」は人を動員し、またしないのか。また、人を動員したりしなかったりする映画は、いかなる良心を持ちうるのか。」

沖鳥灯 人間と映画の神的暴力──ゴダール、北野武あるいは大杉漣
ゴダールと北野武の「映画史の符牒」からベルモンドと大杉漣の「人間的差異」へ。大杉漣の人間に留まる演技にヴァルター・ベンヤミン『暴力批判論』の抽象的な概念「神的暴力」を見出す。

新刊④『山羊の大学』第3号(改訂版)
A5 258頁 1000円

装幀:Yoshioka

巻頭漫画
山中美容室 いいきぶん
喫茶店で二人組のたわいない会話は大企業のイメージを巡り巡って……。2頁のショート漫画。

序文
沖鳥灯 新世紀のサブカルチャー
藤本タツキと阿部和重にヒッピー/ハッカーの視点を介して、戦後サブカルチャーの覚醒とする。その蝶番は『涼宮ハルヒの憂鬱』とゴシック。

特集1 漫画家と本
有島みこ 平坦な日常でそれでも僕らが生き延びること 大島智子『セッちゃん』論
戦時中の坂口安吾、戦後の学生運動、平成のオウムと震災、ロストジェネレーションなどの若者たちについて。

木耳 フィクションの自立性を考える──藤本タツキとゼロ年代批評
「東・宇野論争」から精緻に東浩紀を読解。さらに『ルックバック』『さよなら絵梨』『フツーに聞いてくれ』を等身大で語る。

Yoshioka 考察・伏線回収・陰謀論
『ONE PIECE』と『チェンソーマン』に関するYouTubeやSNSで拡散されるいきすぎた「考察」を慎重かつ大胆に分析。

Kiaro 感情のアルバム
高野文子の表紙絵に魅せられてつぎつぎに彼女の作品を読み込んでゆく。『絶対安全剃刀』『おともだち』『ラッキー嬢ちゃんのあたらしい仕事』『るきさん』『黄色い本』『棒がいっぽん』など。

特集2 藤本タツキVS阿部和重(二次創作)
不逢言哉 イージー・リベンジ!
会社員たちの深夜の居酒屋トークはMISIAから「アメリカの夜」へと脱線してゆく。DTPデザイナーの筒井は阿部和重『アメリカの夜』の文字列に魅了され、ある「テロ計画」を思いつく。

灰沢清一 Premium Bomber
ながやまこはるが何者かに誘拐された!? セブンイレブン神田神保町3丁目店で巻き起こった珍騒動は多種多様な固有名詞を呑み込んでこはるの姉けいこを困惑させる。事件は女性化した阿部和重の登場によりますます混迷の度を深めてゆく。

織沢実 青い町を、ミルクの河が流れる
謎の老人・首塚氏を中心にいびつな円を描き躍動する若者たち。後藤明生ばりのとぼけた筆致はやがて町に及ぶカタストロフィさえも逸脱するかのようだ。

論考 
ヤマグチ ある死者の証言 アシア・ジェバール『墓のない女』第12章について
アルジェリアの女性作家アシア・ジェバール(1936ー2015)の当該作を歴史の犠牲として美化しない強固な精神で読もうと試みる。

芳野舞 遍在する「穴」──ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ』第六挿話についての一考察
20世紀文学を代表し、いまだ数々の謎を投げかける希代の長篇『ユリシーズ』。1904年6月16日のダブリンの一日からあと2年で120周年。原著刊行は2022年で100周年。記念の読書会を元に書かれた論考。

短篇
おさかな そこ 月の夜の海の話
言葉を解す奇妙な蛸が「隣人」に語る摩訶不思議な海洋ロマン。抱腹絶倒、驚天動地の物語は真実か、法螺話か。ライトでビターな奇想小説。

山坂槿 下山の三島と口紅って三島由紀夫の三島なの?
クラスメイトの下山に情念を燃やす女子高生らら。深夜突如としてインスタにあげられた下山のポートレイトにららは衝撃を受ける。三島以後のペラい日本語と対峙する同時代文学。

古戸治良 さかえだ線
過酷な家庭環境の先輩の実家に電車で同行しようとする融。田舎の路線で交わされる二人の会話と車窓の風景。ダーク日常系の誕生。

紀行
佐藤智史 随想紀行録
夕映えの教室で昨冬の旅を回想する。天橋立、難波・日本橋、太陽の塔。雄大な自然とちっぽけな存在の自分。間隙に「歌」は宿る。

11月9日上記2点(『REBOX』『不都合な箇所は削除せよ』)の詳しい内容を紹介予定です。お楽しみに。

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