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10年のEC、進化と停滞

2017年ごろに失った「はじめての通信販売&Eコマース」という記事をnoteに復活させました。この記事は2005年に作成したもので、かなり古いです。時代の移り変わりを感じます。ノスタルジーを感じたい方はぜひご一読を。
一方で、あまり変わっていないな、と思うところもあります。せっかくなので、ここ10年(2014年→2023年)のEコマースが、どう進化し、あまり進化しなかったのか、を書いてみようと思います。
過去に、予想した投稿したことはないので私の主観です。

2013年→2023年、オンラインショップ

  • 予想通り

    • (ここはスキップします)

  • 予想外

    • 動画コマース、ライブコマースのトレンドが来なかった。2013年ごろに、これから来ると私も思っていましたが、2018年ごろより懐疑的な側にいます。ライブコマースは、いつも盛んな中国を比較対象に置かれます。私は、中国と日本の置かれている状況の違いなのでは、と考えています。インフルエンサー業界から見ても中国は、広告収益の分配で収益を得ることが難しい市場です。だからこそインフルエンサー(KOL)は、物販を頑張って売るしかない市場です。そこでライブコマースが磨かれたのが中国です。日本においては、楽しくライブを見続けてもらう何か、コンテンツが必要に感じます。余談ですが、ライブコマースは、ショップチャンネル、QVCのように常時テレビ通販のような仕組みでないと、システムの費用対効果が悪いです。なぜなら、ライブが始まった時は、瞬間風速で注文が入り、あとは注文が入りません。システムは、その瞬間風速で注文が取れるための設備投資が必要です。トヨタ生産方式を語らなくても、効率性の悪さはわかると思います。

    • SHEINの人気です。越境ECかつファストファッションECが人気です。送料が割高で、届くのに時間がかかるにも関わらずです。きっと船便なんだと思います。それを乗り越えても、安くてカッコ良い服が手に入るから、買われたのでしょう。日本ではTikTokなどSNSを通じて人気になったと感じています。今でもYouTubeでSHEIN購入品紹介は再生されやすい企画の一つです。

    • 漫画アプリの人気です。漫画アプリが玉石混合で乱立しています。広告を見てもいいから無料が大好き、ということなんでしょう。こちらも、私自身が過去に電子書籍に関わっていたので感慨深いです。漫画アプリを通じて、電子書籍界隈が伸びているでしょう。

2013年→2023年、広告

  • 予想通り

    • テレビ広告よりもインターネット広告が上回ることは10年前からも予想されたいた事でした。新聞、新聞チラシ、雑誌などの出版物の発行部数は、年々減っていますし、廃刊になっている雑誌もあります。そうなると、伝統的なカタログ通販、電話受注も、小さくなっているのでしょう。最近、コンビニの書籍・雑誌のスペースが、ますます小さくなっていますし、カタログを見かなくなりました。

  • 予想外

    • 業界関係者の一人でありながら、ここまでインフルエンサーマーケティングが普及するとは思いませんでした。ただ、オンラインショップを運営する企業からは、CPAが良くないこともあるはずです。振り返ると、ブログ創世記(2005年ごろのブーム)に口コミを増やすために、人気ブロガーを囲っていました。それがテクノロジーの進化によって動画に変わっただけです。ブログと違い、動画の方が表現できる幅は広いです。

2013年→2023年、購入

  • 予想通り

    • EコマースのUIや購入フローで大きな進化はありませんでした。Amazonなど初期Eコマースが形作ったショッピングカートから大きなイノベーションは生まれていません。これは当時、Eコマース業界に働いていても感じていました。これが10年ではなく15年だったなら、スマートフォンの登場です。ストアのアプリを作ったり、スマホにも最適化したUI・ページを作ることが当たり前になっています。ガラケーは廃れました。

    • O2O、OMOが進化しています。店頭在庫がわかる家電量販店のオンラインショップ、買った商品をお店で受け取れたり、オンライン・オフラインのやり取りが活発になってきています。これは、今まで企業側のシステムが、オンラインショップを一つの店舗(倉庫)と位置付け、オンラインとオフラインを分断して在庫管理をしていたためと思います。ようやくEコマースに関わる人たちの努力で、華開いたサービスなのではないでしょうか。

  • 予想外

    • AmazonのDashボタンの登場にはビックリしましたし、とても大きな話題は作れました。ただ長続きしませんでした。

    • Amazonのレジのない実店舗Amazon GOがどうなるか、が注目点ではないでしょうか。Eコマースで話題に事をかかないAmazonです。

    • スターバックスのアプリでカードにチャージでき、店舗で購入できる、もしくは事前注文できるのは革新的でした。私も使っています。Appleが、このようなサービス向けにアプリ決済手数料を引き下げてくれたおかげで実現できたと聞きます。

2014年→2023年、決済

  • 予想通り

    • クレジットカードと代引きの2強は変わりません。よりクレジットカード比率の方が高まっているようにも感じます。一方でVISA、Master Cardってどれくらい手数料をとっているのか、最近の決済手数料が気になります。

    • オンラインショップの中で、電子マネー(Suica、Edy)、WebMoney・WebCashなどのシェアが伸びた、という話しを聞いたことはありません。オンラインショップにおいて、この2ジャンルは、永遠にニッチだと思います。

  • 予想外

    • 暗号通貨がここまで流行るとは思っていませんでした。広くオンラインショップで普及している訳ではありませんが、無くならないように思います。

    • ポイント界隈は栄枯盛衰の激しい戦いだったように思います。最近、色々なところでポイント払いができるのは気軽で嬉しいです。ポイント交換サイトや、ポイントを貯められるサービスって、今も人気なのでしょうか。

2014年→2023年、配送と物流

  • 予想通り

    • 大きな変化はなかったのかなと思います。運送業界が苦しい、という話しは以前からもありました。個別だと、ヤマト運輸で荷物が届く前にLINEで知らせてくれるのは便利です。コンビニ受け取りも、コロナ禍前では使わせてもらいました。コンビニ受け取り、もっと普及しても良いのでは。

  • 予想外

    • 置き配が普及しました。コロナ禍は苦しい年ではありましたが、良い習慣も生まれました。置き配は盗難のリスクもあるのでしょうが、家で仕事中に玄関に出なくても届くので、とても便利です。

2014年→2023年、IT

  • 予想通り

    • 裏側のマーケティングがどんどん自動化しています。MA(マーケティングオートメーション)なんて言うようです。これはEコマース企業側の手作業によるリストの作成、メール配信作業から解放され、企画に集中したいがためです。求めていた自動化だから、進化するのは当然でしょう。

    • Shopifyの人気です。2014年当時は、オープンソースのEコマースパッケージ EC-CUBEが注目されていました。EC-CUBEでもかなり初期投資がかかりますし、メンテナンスに費用も必要です。メンテナンス不要でオンラインショップが使えることを出店側も望んでいる。ということでしょうか。またモールに出店するのではなく、自分のお店を持ちたいと思うようになったのは、誰でもGoogle広告が出せるようになった、広告側のトレンドの変遷があります。

  • 予想外

    • AI(機械学習)を使ったレコメンド含めた賢さは、オンラインショップ全体でイマイチ進化していないように感じます。いまだに直近買った商品に似た商品のみを、ズラッと並べてオススメしてくるショップがあります。YouTubeの動画のオススメは、2017年ごろからセグメンテーションではなく、1 to 1に変わってきていました。直前の視聴にそれほど引っ張られなくなってきています。それでも「まだまだ」と私は辛口ですが。検索による目的買いばかりではないので、オススメはオンラインショップの根幹に関わるように思います。ここに力を入れないショップは、今後も生き残りが厳しい気がします。

いかがでしたでしょうか。まだまだあったような気もしますが、この辺に留めておきます。
次、未来予想をします。

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