谷間

微睡みの谷間を
朧月みたいな淡い光が
灯す

山に棲む
鹿の親子や
杜鵑の夫婦や
孤独な狼が
光に誘われて
谷間に降りる

そこに集う動物たちの呼吸が
交錯し分離しまた交錯する

永遠のような一瞬が過ぎて
動物たちは元の住処へ帰る

淡い光に照らされた
大きな杉の木の影が
佇む

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