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ベースの行方

 高校時代に組んでいたスピッツのコピーバンド『スパッツ』。25年の歳月を経て、昨年から活動再開に向けて動き出しました。

 前回は、バンド結成のきっかけを作ったNくんと会って、当時のバンドメンバーに連絡を取ったところまでを書きました。

 しかし、バンドの結束に欠かせない存在だったベースのAくんと連絡が取れない。音信不通となってしまったAくんは、今どこで何をしているのか?バンドの再結成はどうなるのか?つづきのお話です。


Aくんの行方

 リーダーのNくんはAくんの連絡先を求めて知り合いに当たってみたが、有力情報は得られない。AくんはNくんと私と同じ高校の同級生。卒業アルバムに載っているAくんの実家に連絡してみるしかないという結論に達します。実家への連絡は、高校卒業後もAくんと親交を続けていたNくんお願いした。数週間後、Aくんの実家に連絡したというNくんから連絡があった。それによるとAくんは今、仕事でフランスに赴任中ということだった。NくんはAくんの連絡先を聞こうと試みたが、電話口に出たAくんのお父さんは連絡先を教えることに好意的な反応を示さなかったとのことで断念。そうだよねえ、最近は高校の同級生をかたる輩もいることだしねえ。お父さんからAくんが元気にやっていることを確かめられただけでも良かったよね。でも、フランスか、、、また遠いところに行ってしまったもんだ。それだけの物理的距離があるのであれば、Aくんをバンドの再結成に誘うのは現実的ではないよね、とつぶやくNくんの意見に私も同意した。


新メンバーを探す

 こうなれば、次はAくんに代わる新しいメンバーを探すしかない。探す、と言葉にするのは簡単だが、実際にどこの誰を誘うのか。地元から離れていた時間が長い私には、バンドに入ってくれそうな身近な知り合いは思いつかない。再結成も暗礁に乗り上げたかと思っていた矢先、Nくんから連絡が。「実は、脳裏に浮かんだ人物がいるんだ」とのこと。それはNくんの地元の後輩で、Nくんとスピッツのライブに一緒に行くほどの仲だったというSくんだった。しかも、Sくんはベース経験者だったのではないか、とのこと。地元に住んでいて、すぐに連絡も取れるそうだ。え、でもそんなに都合良くメンバーが見つかるもんなのかな。そもそも、まずはSくんのやる気次第だろう。仕事や家庭の都合もあるだろうし、そう簡単にバンドに入ることを了承してくれるとは思えない。そんな私の思いをよそに、Nくんは即、Sくんに連絡をいれる。そしてなんと結果はオッケー!!メンバーを探し始めてから約1週間で新メンバーが決まりました。Nくん、スゲえよ。さすが営業マン。最短かつ確実に成果をあげるな。
 2021年11月3日文化の日、新メンバーが決まった。これでようやっと正式に活動を再開する運びとなりました。


立ちはだかる障壁

 無事に活動再開が決まった私たち。LINEグループを作って連絡体制を整える。そして次は課題曲でも決めようと、Nくんが数曲選んで、後日、楽譜を送ってくれることとなった。まずは3曲、『空も飛べるはず』、『冷たい頬』、『ヒバリのこころ』。ああ、私たちの世代のスピッツスタンダードですよ。『空も飛べるはず』は高校のライブでもやった曲だ。『冷たい頬』は高校卒業後の曲かな?いまいち時系列わからん。『ヒバリのこころ}はスピッツのメジャーデビュー曲。高校生の時は難しくてライブではやらなかったやつだな。取りあえず3曲を練習してスタジオで合わせようということに。
 しかしここであの疫病が邪魔をする。年明けの1月に集まる予定をたてていたのだが、そこにきてまた疫病が流行しだし、福島県内はマンボウちゃんの指定を受ける。我々もそこは大人なので、即時に延期を決断。年度末の忙しさもあり、結局、初音合わせは4月以降に持ち越しになってしまった。


いよいよ初会合の日が決まる

 音合わせが延期になっている間、Nくんからは追加で二曲の楽譜が追加で郵送されてきた。独特のリズムと疾走感が魅力の『スパイダー』、Puffyのヒット曲で有名な『愛のしるし』だ。活動再開が決まってから、メンバーはそれぞれ楽器を新調したり、楽譜を買ったりして各々準備を進めていた。高校生の頃は雑誌を叩いたり、エアドラムで練習していた私もやっぱり楽器を叩きたい。もういい大人なのでネットで電子ドラムを即購入。カミさんから五月蠅うるさいと言われ、子どもたちから練習を妨害されながらも時間を見つけてドコドコとドラムを叩きました。

 仕事、家庭のスケジュールもあるので、1か月後から2か月後の予定まで確認しながらの調整を行い、2022年4月23日、ついにスタジオでの音合わせが決まる。25年ぶりに会うTくん、初顔合わせとなるSくん。それぞれが演奏に関して不安を抱えながらも、四半世紀を経てまたバンド活動ができるという喜びがLINEのメッセージからも読み取ることができた。

 そしていよいよ初音合わせの当日。私も演奏に関しては不安しかなかったが、それを上回る期待を胸に、スタジオのある福島県郡山市に向かって車を走らせました。



つづく

サポートいただけたら、デスクワーク、子守、加齢で傷んできた腰の鍼灸治療費にあてたいと思います。