トモくんとお萩の夢

※ガッキーが出てきますが、実際のガッキーとは関係ありません。

木でできた扉は、先生が開けた瞬間に崩れ落ちた。明日は入学式だというのに、その学校はボロボロだ。校庭に呼ばれて行ったけれど、グラウンドがぬかるんでいて、白いキャンバス地のスニーカーが汚れてしまった。

教室にあるプールの脇の溝で汚れてしまった靴をゆすいでいると、壁際の流しにいたガッキーが、夏休みの自由研究に誘ってくれた。自由研究キットを買ったらしい。キットの説明書によれば、これは4人用で、化学実験と植物栽培がセットになっているものだった。そこへトモくんという同い年くらいの男の子がやってきた。トモくんはアフリカンアメリカンのハーフで、穏やかで寡黙な子だった。私とガッキーはトモくんを自由研究に誘った。トモくんは渋ったけれど、トモくんが目下気になっているお萩を一緒に誘えばいい、と提案した。

トモくんは、お萩とは10年後にお別れするんだけどね、と言って教室を出ていった。トモくんとお萩はこの夏の自由研究がきっかけで仲良くなって、将来結婚することになるのだ。トモくんは「お別れする」とだけしか言っていないから、離婚することなるのか、どちらかが亡くなってそういうことになるのか、二人が来ても迂闊なことは言えないな、と思った。

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