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見積もり無料の罪 お客Aさんの場合


Facebookの思い出機能で、数年前の投稿を見た。気分が落ちる。

内容は「問い合わせへのボヤキ」

友達限定投稿だったのは、全体公開したら仕事に支障があると判断したからだ。

自信がなかった。ネガティブな感情をそのまま出すことを恐れていた。

Aさんからの問い合わせ

以下1700文字程度

 ホームページ経由、Aさんからのガーデニング外構工事の見積もり依頼。
依頼内容は以下の感じ。

⑴他社が作成した明細と図面を送るので、御社ではいくらでできるのか?教えてほしい。
⑵御社で提案があるのならば、別途二種類の図面と見積もりを作成してください。
⑶他に数社に同じ内容で見積もりをお願いしています、予算は○○万円です。
⑷契約するかどうかはこちらで決定いたします。
⑸見積もりは無料ですよね。

仕事については自信はあったが、人としての器はお猪口の裏の私。
⑴の時点でイラっとし、全体の心の無い冷徹な雰囲気で心も冷えたが
「オモシロい、競合上等!びっくりさせるような提案をしてやる!」
と傲慢にも思った私はメールで返信。

私「ご要望の件承知しました。まずは一度打ち合わせのお時間をいただければ」

Aさんの要望や趣味嗜好、雰囲気、解決すべきことはわからない。

その建物がどこの会社か、洋風か和風かモダンかナチュラルか、乗ってる車や台数や自転車の有無。洋服のブランドや家族構成、近隣の住環境、土地の高低、植物のための日照条件、土壌が植物向きか否か、庭に対する意識や時間。

一番大事なのはAさんが本当に望んでいるものは何かを把握しないと、提案はムダになる。

実際に会って面談して相性を確かめないとダメだ。相性が悪いと、お互い毎日現場で顔を合わせることから苦痛になるし。

Aさんからの返事

電話が来た。
「会わなくていいです。辞退させてもらいます。」

あーーーーーん? 

ビーバップハイスクールのヤンキーの掛け合いみたいな気持ちになった。
もちろん、口コミや誰かのアドバイスで私が選ばれなかったのかもしれない。

しかし、告白してさえいないのになぜかフラれた高校時代を思い出す。

「あいつ、ろくな奴じゃない」と強がることは許してほしい。

今回の話は業者サイドの反省ではなく、顧客側の問題点として書いている。

感情的にならずに箇条書きでその時の記憶や想いを記す

⑴会わなくてどんな提案を受けられると思うのか、庭だぞ?残るものだぞ?
⑵無料で新規提案を依頼してるのに、その態度ナニ?
⑶電話の口調の理知的な冷淡さ、それなりの職業か?
⑷自分で「辞退」とかいう国語力、キャンセルでお願いします
⑸他社の内容を晒してでも安くしたいという性根の曲がり具合 
などなど

Aさんの思考を想像してみる

住宅会社提携の会社に要望を伝えて提案図面と見積書をもらったAさん。
図面や提案内容は気に入ったが、予算オーバーだ。値下げ要求も却下された。
けれど内容を削りたくもない。

そうだ、他の小さな(弊社のような)会社だったら安くなるんじゃないか?
資料あるから見積もりは簡単だし、みんな仕事欲しいからやってくれるはず。

ついでだからその会社独自の提案も受け付けよう、喜ぶはず。二種類あればその会社のセンスやテイストもわかるし業者も強みを発揮できるからwin-winだ。

「無料」だし。

顧客と企業は50:50、利益は共にあるべき

Aさんにイラついたのは、私が大切にしている仕事や人に対しての敬意が感じられなかったから。器が小さくてすまない。

⑴最初に提出した会社の財産でありコストでもある図面を他社に流す鈍感さ
⑵客は神様か王様だと信じている時代錯誤
⑶自身が同様なことをされたらどう思うかという想像力の欠如
⑷関わる人や時間、コストに対する仕事観
⑸自分の利益のためには誰かを泣かせるという価値観

百歩譲って⑴の他社の図面を元に相見積もりは理解する。飛びつく会社もあるだろう。私はしないけれども。
ただ、ヒアリングもなしに提案図面を二枚描けという人はきっと時間がコストと考えない、天からオカネが降ってくる人なんだろう。

図面を考える時間やアイデア、経験、勉強したり手を動かす時間に対する敬意のなさ。
これは業者も悪いのだけれども。これはまた別の機会に

まとめ:ちゃんと客も客らしくあれ 業者も精進しろ

暴言だが、節度と敬意は大事だ。

見積もりは無料でも、利益は薄くても、このお客様の現場のお仕事がしたいと考える業者は多い。そんな一期一会の出会いがお互いできるのならば幸せなのだが。
今回はそんなとこ。





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