最近の記事

ぐるぐる

夫は元気だ。 元気に見える。悪い体調なりに安定しているというのだろう。 とても死を待つ人には見えない。 介護医療院に移り、まさに看護から介護へと向いたように強く感じる。 看護師の話より療法士の話が多い。 健康体だった頃の趣味に合わせて、楽しくリハビリへと繋げてくれているようだ。 表情も豊かになった。残りの時間を楽しく。 喜ばしい事だけど、その分心がざわざわする。 一見元気にさえ見える彼に、点滴だけで良いのだろうか。 ずっと心にひかかっている。これは正しい状況なのか。 誤

    • ちょっとしんどい

      今日は私の事を覚えていた。 「おかあさん」と笑顔だった。良かった。 手に握らせていたプチハンドは布団を捲った足元にあった。 足がクロスするので挟んでいたクッションは横にあった。 側頭にまだ血液みのあるカサブタがあった。 TVを付けているけどその前にドカンと物が置いてあるしメガネをかけていななかった。 行く度に何かしらため息が出る状況を見てしまう。 こんなものよね、と思う。 望む介護は望んではいけない。 順応性は高い性格だと思っている。 悪いなりにそれに馴染む。なる様にし

      • 彼女のこと

        遠くに住む彼女のSNSを見た。 久しぶりに更新されていた内容に闘病の過程を知る。何年ぶりだろう。笑えているね。 転勤族時代のママ友。子どもたちの幼少期3年半をお隣さんで過ごして、その後は時々のお付き合い。だった。 彼女の病気を知ってから年に一度会いに行こうと決めた。そんな数年を過ごして段々と疎遠になった。 会いに行けば病気を感じさせない様子で時間を過ごす。 下手な気遣いは無用な気がしていた。それはお互い様と思っていた。 でもだんだんと、それは彼女に多大な負担だったに違いな

        • 断捨離の苦悩

          最近可燃ごみの日に衣類を捨てている。 夫の冬物衣料だ。 2月に入院し、利用していたショートステイから返却されたもの。もっこもこのフリースやらボアやら嵩張るものばかりだ。 2階の使わない部屋に放り込んだままだったもの。 今は寝巻生活だ。 もう着ることはないのだろうな。タンスの中の夏物も多量だ。一度に処分は処理場に持ち込み必至だ。 なので一枚二枚と袋の隅に入れて処分している。 入れる度に罪悪感でいっぱいになる。 先が見込めぬと言われても、まだ生きている現実に凄く悪い事をしてい

        ぐるぐる

          転院したら

          「転院はまで持たないかも」との担当医の言葉を裏切ってめでたく転院を果たした夫。 看取り宣告から1ヶ月少し経った。 とはいえ転院先の担当医からは「1ヶ月程でしょう」と言われた。 医者ってまず初っ端に最悪を言うからな……。何度も潜り抜けた経験値で割と幅を持たせて聞いてしまう自分がいる。 前病院は救急病院なので安定すれば次へと送られる。何処にするかと選んだ今回は介護医療院だ。いわゆる繫ぎの病院である。当初の流れはそこからの特養待ちだった。でも担当医はそれを言わない。「1ヶ月程度」

          転院したら

          不謹慎とは思いつつ

          夫がいわゆる看取りとなって3週間経とうとしている。 宣告された時は見るからにそんな様子で子どもたちも呼ばれた。 大部屋から個室へと移されて「付き添いベッドはどうしましょう」と言われればもはや"そう"なのだ。 だがしかし、今日か明日かもと言われながら日々変動する体調。昨日は笑顔で今日はしんどそう。波が激しい。 近しい方の面会を済ませ、県外の長男を帰し遠方の次男を帰し、2週間目にはとうとう私だけの面会になった。 15年前にクモ膜下出血で四肢麻痺となり、長期記憶は日々薄れて短

          不謹慎とは思いつつ