実は奥が深い「KPIマネジメント」のやり方

KPI。

Key Performance Indicatorの略。マーケティングをやっている人はもちろん、ビジネスパーソンなら毎日耳にしない日はないくらい使用する言葉でしょう。

「KPI」という言葉は毎日当たり前に使っているが「KPIマネジメント」とはあまり聞きなれない。なんちゃって「KPI」になっていないか不安になったのと、「KPI」の本質をちゃんと学びたいと思い、下記書籍「最高の結果を出す KPIマネジント」をまとめていきます。かなりの良書です。まだ読んでいない方は必読です。


KPIマネジメントとKPI

KPIマネジントとは

次の3点を関係者全員で共有・実行・改善し続けることです。

① 現在の事業にとっての最重要プロセスを明確にし(=CSF)
② それをどの程度実行すると(=KPI)
③ 事業計画が達成できるのか(=KGI)

KPIとは

「事業成功」の「鍵」を「数値目標」で表したもの。

KPIは数値目標を指していて、KPIマネジメントはKGI、CSF、KPIの全体の動きをマネジントすることになります。一言でまとめるとこんな感じです。

事業成功に対して、最重要なプロセスは何で、その最重要な目標値は何か。そして、事業成功のための動きをマネジメントしていくこと。

KPIをマネジメントしていくために、KGIである事業成功は何なのかを明確にしないといけません。次に、事業を成功させるために重要となる成功要因を明確にし、その目標数値をひとつに絞って決める、これがKPIです。

そして、もうひとつ重要なのが、現場で一緒に動くメンバー、上司や決裁者などの関係者に共有し、事前にコンセンサスを取った上でアクションを行っていくことになります。とにかく重要なのは抑えておくべき指標を明確にして、関係者に共有することです。

① KGI(Key Goal Indicator) =最終的な目標数値(ex.売上や利益)

② CSF(Critical Success Factor) =最重要プロセス(きちんと実行すればKGIが達成でき、現場がコントロールできること)

③ KPI(Key Performance Indicator) =最重要プロセスの目標数値(CSFを数値化したもの)

上記の論理から言えば、KPIが達成できればKGIは達成できます。

KPI設定でやりがちなダメなケースがあるようです。

1つめは、
たくさんの数値目標を設定しているケース。 これでは、KPIのキー(Key) ではなく、単純に数値マネジメントですね。  

2つめのパターンは、
現場でコントロールできない指標をKPIとして設定しているケースです。  
3つめは
先行指標ではなく、遅行指標を選択しているケース

案外やりがちだったかもしれません。特に上記の1つ目は、重要そうな数値を見て、たくさんの数値をKPIのように設定してしまっていることがありました。

KPIマネジメントで重要なことは事業成功の鍵となる数値は何か、つまり、どの数値をひとつ追いかけるべきかになります。

確かに複数のパラメーターが存在すると思いますが、事業成功に直結する指標、数値が何かなので、KPIがひとつに絞り込めていないうちは事業成功からは遠いと考えられます。

2つ目、現場でコントロールできないKPIは論外ですし、3つ目はKPIはKGIの先行指標であることは基本だと認識しておくべきです。

KPIの運用方法

KPIを設定し、運用していく上で確認しておきたいことが下記3つです。

① 整合性
ロジックが正しいかということです。つまり理屈上の正しさの確認です。 具体的には、そのCSFが変化するとKGIも変化するのか。そしてKPIが達成するとKGIも達成するのかといった整合性を確認します。 

② 安定性
KPIの数値取得が安定的にできるのかということです。 データ入手や加工の日程と他業務がかぶっていないか、そのデータ入手を外部に依存せざるをえないことはないかなど、安定的にデータをアウトプットできるのかを確認します。 

③ 単純性
KGIとKPIの関係性がいかに正しくても、安定的にデータをアウトプットできたとしても、現場のメンバーがまったく理解できないのでは困ります。 これらの関係性が分かりやすいか、単純なのかどうかの検討が必要です。

KGI、CSF、KPIはしっかり繋がっているか、KPIとなる数値はしっかり手に入れることはできるのか、そして、関係者や現場で動くメンバーが理解できるくらい明確になっているかを意識して設計、運用していかないといけません。

KPIを設定する上で注意しなければいけないポイントが2つあります。

① CSFが分かりやすいこと  
企業規模や職種や従業員の多様性に関連しますが、KPIの数値のもととなる事業成功の鍵であるCSFが分かりやすく説明できることが重要

② 覚えやすい数値であること  
KPIの数値そのものが覚えやすい数値であることが重要です。キリのよい10000だとか、ゴロ合わせの555(ゴー・ゴー・ゴー) などといった工夫が必要

KPIは「わかりやすい、覚えやすい」に限ります。逆に、わかりにくい、覚えにくいKPIはうまくいかないでしょう。

本書に出てくるPDDSというフレームワークは有効なツールかもしれません。

P:Plan  よく考えて
D:Decide  すばやく絞り込んで
D:Do  徹底的に実行して
S:See  きちんと振り返る

頭に汗をかいて、スピード感を持って施策を行い、「きちんと振り返る」。この「きちんと振り返る」ということが大事で、意外と疎かにしているケースがあるかもしれないので意識的に「きちんと振り返る」ことが重要と言えます。

振り返りをしない組織には「知恵」が溜まりません。   失敗したことこそ重要な知恵なのです。

うまくいったことも、うまくいかなかったこともPDDSを回し、振り返ることができると、2つのメリットが生まれます。  
1つは、うまくいかなかった施策をほかの組織で実施するという無駄なことを避けるメリットがあります。
次にうまくいったことを組織に横展開させることで、全体の生産性を向上させるメリットもあるのです。  
つまり、PDDSを回すことも重要なのですが、これをさらに横展開できるようになると、組織はもっと強くなっていくのです。

KPIマネジメントをまとめると下記の図が参考になります。どうやって作れば良いのかを表した全体像が掴めます。

画像1

出典:「最高の結果を出す KPIマネジント」p321よりhttps://amzn.to/3xG55kW

上記の全体像を参考にしながらKPIの設定、KPIマネジメントを行っていくことが有効だと思います。

設定されたKPIを運用しながら、磨いていくことがKPIマネジメントで重要です。「きちんと振り返る」、これはKPIマネジメントに限らず、仕事で重要な考えです。


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