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自己紹介④

私はその頃、彼の実家と自分の家を行ったり来たりするような生活を送っていました。
彼とは中学の同級生で中学3年のときからずっと付き合っていて、彼のご両親、私の母親も公認で、自お互いの家を自由に出入りしていました。
そんな関係性の彼がある日、私を喜ばそうと私がいない間に自宅にやってきました。
そこで、たまたま持ち帰ったお店の名刺を発見し、
私が帰路につくと彼は、見たこともないようか凍ったような表情でたたずんでいました。

私は「なんかあった?」と彼に声をかけます。
彼は無言で名刺を差し出しました。
私は漫画のひとコマであるような縦に線がはいるくらい、血の気が引き、胸が苦しくなるような締め付けられました。
「ごめん」と謝ると、
「どういうこと?」と震える声で彼は話します。
私は「ガールズバーだと思っていったお店が風俗だったんだよね」と話すと、
「ずっと黙ってたのかよ」と泣きながら、近くにあった筆箱を投げつけました。
私は「言えなかった」とつぶやくと、
彼は「ふざけんなよ、俺のことなんだと思ってんだよ」とひたすら泣きながら話を続けました。
その日、朝方まで話し合い、彼は彼の自宅へ帰っていきました。
それから、毎日のように喧嘩が続き、最終的に彼は私に包丁を差し出し、「殺してくれ」と言ってきたことを鮮明に覚えています。
そう言われたのは、確か22,3歳のころでした。

実は、その彼と結婚式場も決めており、式場のキャンセルをするとともに、親御さんから私の母親に連絡があり、「カズキくんの親御さんから怒鳴られたけど、なにしてるの?どうにかしてよ」と、私は母親から連絡を受けました。
私は、彼と関係性が悪化したときから独り暮らしをはじめ、関わりたくないとも思うようになっていました。
そのとき私が大切にしていたものは、お店の成果であり、お金。
仕事の時間を一番に考えていたので、喧嘩で眠れないと翌日のコンディションもわるくなる。だから、邪魔しないでほしいとすら思い、連絡も徐々にしないようになっていきました。
今考えてみると、最低最悪なことをしてしまった。
その彼は私と同い年なのに、ずっとずっと大人で私の複雑な家庭環境も理解し、父親でもあり、彼氏でもあり、旦那さんのようでもあり、16歳のとき子供をみごもり出産。その後2年後に亡くなりましたが、家族以上に家族でした。

それでも私は突き進んだ。 
振り返ることもせずにお店の成果とお金を得るために。






私は彼との思い出も消すくらいお店に出勤し、舌のザラザラがなくなるくらい接客しました。
記憶がなくなるくらいやりきりました。



最終月



328本の本指名達成
当時26歳くらいで退店しました。



退店月は12月で翌月からは新しい年も始まりお店にも出勤しない。
そこからどうしょうもない喪失感にさいなまれます。



いつもいたお客さんにも
いつもいた店員さん達にも
いつもいた仲良しのキャストにも
誰にも逢わない日々。




No.1になりたい
お金があればなんでもできる



そう思ってやってきたのに、
実際手にしたら何もないのと同じような感覚でした。

なんのためにやってきたのか全くわからなくなり、
過食嘔吐と泣いて過ごす日々を数カ月過ごします。






次回に続く。

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