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はじめての「はじめてのトランスジェンダー」その12  Q18 トランスジェンダーはどのトイレを使うのでしょうか

こんにちは。
はじめての「はじめてのトランスジェンダー」その12です。

はじめてのトランスジェンダーというサイトがありますね。

こちらのサイトはトランスジェンダーについて知りたいという人に紹介されることが多いサイトです。
しかし、このサイトには非常に多くの問題点が指摘されていて、トランスジェンダーについてはじめて学ぶ人に対して非常に不誠実な内容となっています。
それをなるべく丁寧に説明していきたいと思います。

今回は Q18 トランスジェンダーはどのトイレを使うのでしょうか
について見ていきます。


1 「性別移行の状況」が事実上自己申告になっている

質問への回答の全文を見てみます。

「Q18 トランスジェンダーはどのトイレを使うのでしょうか

個人によって異なります。多くの当事者は性別移行の状況にあわせて、使用するトイレを徐々に移行します。性別移行をはじめてまもなく外見が変化していない当事者もいれば、移行先の性別ですっかり馴染んでトランスジェンダーであることを特に明かさず暮らしている当事者もいます。トランスジェンダーはこのトイレをつかうというひとつの答えがあるわけではありません。」

トランス当事者は、「性別移行」に合わせて使用するトイレを選んでいるということです。
では、性別移行がどのぐらい進んでいるかというのは誰がどのように判断するのでしょうか?
その判断をするのは、トイレに入ることを決める当事者本人です。

ですが、本人はそれほど客観的に判断できるものでしょうか。
結局は自分がこう思うからこうするという自己申告でしかないのです。

本人はそもそも「女子トイレに入りたい」と思っている立場です。
既にゴールが決まっている訳です。
その状況の中で客観的な判断ができるでしょうか。


2 「性別移行の状況」が伴っていない利用を求めている

自己判断は客観的ではないとはいっても、
本人だって周囲と揉めたくはないのだから、
実際には周囲の理解を得られない状況で無理な要求はしない。
だからトラブルにはならないはず、そういう主張がなされることがあります。

ですが、本当にそのように運用されているでしょうか?
下記の記事は、教員として働くトランス女性についてのものです。

香織先生(仮名)は自分の要望と、職場での運用について話し合いをした上で多目的トイレを使用するするということが決まった訳です。
それにも関わらず無断で女子トイレに入って女性向けアンケート用紙を貼っています。
職員室で配布するのではなく、わざわざ女子トイレに入る必要はあったのでしょうか?

そして、そのアンケートの結果として「反対」が多数だったことに傷ついたといってメディアの取材を受けて、
まるで反対した側が差別をしたように訴えているのです。

これを見るとトラブルを避けるために慎重に行動などしていませんね。
本人の要望に周囲が合わせることを求めています。

そして重要なのは、それを取材し拡散した側、つまり、このニュースの執筆者は
トランスの人権運動について中心的に声を上げている活動家であるという点です。

活動の中心にいる人物がそのようなあり方を肯定して拡散しているのです。

経産省ではトランス女性職員が
職場との調整の上で特定のフロアの女子トイレに限って使用することになっていたのですが、
自分の望む女子トイレを使えないのは差別だとして裁判を起こしています。
そして、高裁で敗訴すると裁判が不当であったかのようにトランス活動家によるメディアが報じています。

裁判で係争しているのは一般的な感覚は十分に「トラブルになっている」と言えるでしょう。
そこでは、周囲からの評価よりも、本人の要望を優先すべきという前提があります。

これらを見ると、職場と調整してルールを決めてもそのルールがおかしいと訴えているのです。
「性別移行の状況」に合わせてトラブルが起こらないよう慎重に利用しているというのは事実ではありません。


3 個別のケースの過剰な一般化

経産省ではフロアの指定はあるとはいえ、女子トイレの利用が認められています。
このことをもって、国が性自認に基づくトイレ利用を認めていると主張する人がいます。

ですが、これは経産省の個別の裁判のケースであり、社会全体をそのようなルールで運用すべきという方針を示したものではありません。
そもそも、そのケースでさえ、職場の調整や女性職員の懸念などのストッパーを設けており、自認に対応するスペース利用を無制限に認めたものではありません。


4 「すっかり馴染んで」いるかどうかを、その場に居合わせた女性は知る由もない

トランス女性本人が「すっかり馴染んで」いると思っていたとしても、
その場に偶然居合わせた女性はそのことを知る由もありません。

例えば、先程の記事の香織先生のケースを見てみましょう。
学校の教員ということは、トイレで女子生徒と居合わせることだってありえます。
体育の前後や健康診断の際に着替え中や下着姿の生徒に対峙することもあるでしょう。
香織先生は性愛対象は女性であり、結婚して子どももいます。つまり、男性器を使って性行為をすることも平気な身体男性です。
そういう人が、女子生徒が服を脱ぐ空間に入ってくることは子どもの安全や尊厳を考慮すると認められるでしょうか?

香り先生や経産省のケースはまだ上司による管理が機能しているくうかんです。
ですが、それを駅や公園、商業施設のようなお互いが全く知らない空間に拡大したらどうでしょうか?
その場に偶然居合わせた女性はどうやって目の前の身体男性が「すっかり馴染んで」いるかどうかを判断できるというのでしょうか?

その女性が子どもや、知的障害者だったら?

その判断のリスクを偶然にその場に居合わせた女性に負わせるのは正当でしょうか?
それは、結局女性側に一方的に負担を押し付けているにすぎません。


4.まとめ

以上のことから以下のことがいえます。

・「性別移行の状況にあわせて」というが、その判断をするのは本人なので自己申告になる。
・職場と調整してルールを決めてもそのルールがおかしいと訴えているのだから、性別移行の状況より本人の要望を優先している。
・それをトランス活動家が支持している。
・自認通りにするのが国の方針だというのは個別のケースの過剰な一般化。
・偶然その場にいた女性は目の前のトランス女性が「馴染んでいるか」を判断することはできないので、リスクを負うことになる。

Q18については以上です。

目次はこちら
はじめての「はじめてのトランスジェンダー」目次|ヘイトを許さない一市民🐸人権を相対化する改憲に反対|note

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