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平和で穏やかな広島のことを知りたいメモ

広島に行く予定ができたので、ちょっと予習。
広島といえば、もう原爆以前を知らないかのように暮らしている。

広島のイメージで出てくるものといえば、全巻読んではいないけれど、やっぱり『はだしのゲン』が浮かぶし、原爆以後も、広島が舞台の作品は、映画『仁義なき戦い』、漫画では『BADBOYS』、最近の漫画でも、『カバチタレ!』『極悪がんぼ』とガラの悪い作品が多い。それぞれ少ししか読んでないし、おもしろい話もあったので、作品自体を否定するものではないけれど… どうしても、暴力のイメージが付きまとう。

でも、原爆以前にだって歴史はあるし、きっと穏やかな面だってあるはずだ。もちろん平和記念資料館には行くのだけれど、原爆以外の普通の広島のことに触れて、知りたい。そうした普通の広島を体験したい。あまり時間はないけれど、広島を舞台にした作品、広島にまつわる作品で、すぐに確認できるものだけ、今週、ちょっとつまんでおく。

作品

以前読んだことがある『出家とその弟子』の倉田百三が、広島出身だそうだ。手元にある『愛と認識との出発』の故郷の描写はほんの少しだけ。真夜中、蚊帳の中で兄との会話くらい。

そういえば、NHK大河ドラマ『毛利元就』 もこの辺が舞台だったな。内容はほとんど覚えていないし、戦国を舞台にしたゲームもやらないので、武将の名前も、場所も、時代も、一致しないけれど。

詩・短歌

若山牧水が、早稲田大学英文科学生の時、実家の宮崎に帰る途中、岡山県二本松峠を越えながら詠んだ。

「幾山河 こえさりゆかば 寂しさの はてなむ国ぞ けふも旅ゆく 」

ちちをかえせ ははをかえせ
としよりをかえせ
こどもをかえせ

わたしをかえせ わたしにつながる
にんげんをかえせ

にんげんの にんげんのよのあるかぎり
くずれぬへいわをへいわをかえせ

序(にんげんをかえせ)「原爆詩集」峠三吉(とうげさんきち)

あはれ
秋風よ
情(こころ)あらば伝えてよ
――男ありて
今日の夕餉(ゆうげ)に ひとり
さんまを食ひて
思いにふける と。

さんま、さんま、
そが上に青き蜜柑の酸をしたたらせて
さんまを食ふはその男がふる里のならひなり。
そのならひをあやしみなつかしみて女は
いくたびか青き蜜柑をもぎ来て夕餉にむかひけむ。
あはれ、人に捨てられんとする人妻と
妻にそむかれたる男と食卓にむかへば、
愛うすき父を持ちし女の児は
小さき箸をあやつりなやみつつ
父ならぬ男にさんまの腸をくれむと言ふにあらずや。

あはれ
秋風よ
汝(なれ)こそは見つらめ
世のつねならぬかの団欒(まどい)を。
いかに
秋風よ
いとせめて
証(あかし)せよ かの一ときの団欒ゆめに非ずと。

あはれ
秋風よ
情(こころ)あらば伝えてよ、
夫を失はざりし妻と
父を失はざりし幼児とに伝えてよ
――男ありて
今日の夕餉に ひとり
さんまを食ひて、
涙をながす、と。

さんま、さんま、
さんま苦いか塩(しょ)っぱいか。
そが上に熱き涙をしたたらせて
さんまを食ふはいづこの里のならひぞや。
あはれ
げにそは問はまほしくをかし。

「秋刀魚の歌」佐藤春夫

かえるは冬のあいだは土の中にいて春になると地上に出てきます。
そのはじめての日のうた。

ほっ まぶしいな。
ほっ うれしいな。

みずは つるつる。
かぜは そよそよ。
ケルルン クック。
ああいいにおいだ。
ケルルン クック。

ほっ いぬのふぐりがさいている。
ほっ おおきなくもがうごいてくる。

ケルルン クック。
ケルルン クック。

「春のうた」草野心平

頼山陽は、広島藩出身だったか。

述懷
十有 三春秋
逝く者は 已に水の如し
天地 始終無く
人生 生死有り
安んぞ 古人に類するを得て
千載 青史に列せん

じゅうゆう さんしゅんじゅう
ゆくものは すでにみずのごとし
てんち しじゅうなく
じんせい せいしあり
いずくんぞ こじんにるいするをえて
せんざい せいしにれっせん

述懷 | 賴山陽

題不識庵撃機山図

鞭聲粛粛夜過河
暁見千兵擁大牙
遺恨十年磨一剣
流星光底逸長蛇

不識庵(ふしきあん) 機山(きざん)を撃(う)つの図(ず)に題(だい)す

鞭聲粛々(べんせいしゅくしゅく)夜河(よるかわ)を過(わた)る
暁(あかつき)に見(み)る千兵(せんぺい)の大牙(たいが)を擁(よう)するを
遺恨十年(いこんじゅうねん)一剣(いっけん)を磨(みが)き
流星光底(りゅうせいこうてい)長蛇(ちょうだ)を逸(いっ)す

題不識庵撃機山図 | 頼山陽

漫画

平和な漫画といえば、『とろける鉄工所』も広島弁だな。

音楽

大好きな映画、『刑事物語』の主題歌、吉田拓郎の『唇をかみしめて』は、広島弁だ

ドキュメンタリー

広島と言えば、広島東洋カープだろう。

「江夏の21球」

緊張感のある21球、江夏、グラウンドの選手、監督、他チームの選手、それぞれの思惑がおもしろい。こういう感じの企業小説、お仕事系の物語を書きたいと思う。

「プロジェクトX 挑戦者たち」

第28回「ロータリー47士」(マツダ)

第29回「ルマンを制覇せよ」

無謀だと言われたロータリー・エンジンの開発、そして、燃費が悪いと言われたそのロータリー・エンジン開発後30年で、ル・マンを制するまでの物語。またその誇りを取り戻してほしい。また一番を目指してほしい。

第50回「史上最大の集金作戦 広島カープ 市民とナインの熱き日々」

今ならありえない、急造のプロ球団。自治体がお金を出し合うという話で広島にプロ球団を作ることになったが、まだこの時、自治体によっては議会の承認もなし。開幕3ケ月前まで選手はゼロ。開幕後も資金難で、選手は食事も満足に食べれず、遠征費もなく、三等列車に折り重なって移動。給料の遅配、そして突然の解散宣言。復興からの、さまざまな期待、見つかった楽しみを奪えない。苦肉の策として、市民からお金を集めることに。美談として終わらせていい話でもないけれど、この経験が、市民と広島を強くしたんだろうと思う。

グルメ

薄い印象しかない。お好み焼きともみじ饅頭くらいしか知らない。もちろん、牡蠣が有名なことは知っているが、牡蠣は全国に流通しているので、おいしいかどうかはともかく全国で食べれると思うと、食べたい! と強く思うものでもない。個人的には、ホルモン天ぷらが食べたい。

きっとお好み焼き屋には行くだろうが、どのお好み焼き屋がいいのか、まったくわからない。

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