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してみて良きにつくべし 

こんにちは、観世流シテ方能役者•渡邉瑞子です。

令和六年、明けて早々に能登半島地震の発生でお亡くなりになった方々、いまだ被災生活を余儀なくされている方々に心よりおくやみとお見舞いを申し上げます。


本日は、以前私の主催するお能体験ワークショップでお話しした内容の一部をこちらのnoteでもシェアしようと思います。

「ビジネスパーソンとしての世阿弥」と題したワークショップで、よく天才と称される世阿弥は順風満帆な人生ではなく、実に波瀾万丈で苦労と努力の人であること、経営者でもあり、演出家、脚本家、演者、さまざまな顔を持つ人物であることをお話ししました。
世阿弥は時代と権力に翻弄された苦労の人でしたが、それ故に自分の後継者に同じ苦労はさせたくないと考えたのか、多くの著作を遺してくれました。
代表的なものは『風姿花伝』ですが、今日は『申楽談義』という本からの引用です。(なお申楽談義は厳密には世阿弥の著作ではなく、世阿弥がお能のノウハウについて次男元能に話したものを彼がのちにまとめて筆録した物です)

この申楽談義中で、
してみて良きにつくべし。せずは善悪定め難し。
と言う一節があります。「隅田川」と言う曲の演出で、幽霊だある子方(今で言う子役)を出すべきか否かの議論の末、結局はやってみないとわからない、やってみた上でより良い方を採用すれば良い、と言うことでしょう。

とかく人間は、しばしば頭でっかちになり、何か新しいことに取り組む際、リスクの大きさに恐れ慄いてしまったりしてしまいますが、現状維持のままでは時代の波についていくことも難しくなってしまいます。自身は現状維持できるていると思っていても段々と時代と乖離してしまい、気が付けば取り残されてしまう…。
何かの本で読んだのですが、人間は本能的には変化を厭う生き物だそうです。いつもと違う場所には天敵が潜んでいるかも知れないし、いつもと違う食べ物には毒か含まれているかも知れない。それならば昨日までと同じ生き方をしているほうが安心安全であるかも知れないからだそうです。
しかし、同じことを繰り返しているだけでは逆に危険なこともあり得るかも知れません。
あえていつもと違う挑戦をしてみて、無理のない範囲で少しずつでも変化を許容していく、というのも良いかもしれませんね。

かくいう私は実は変化が苦手な性質ではありますが、意識的に行なっていることに、違う道、違うお店、会ったことのない方にお会いする、というのがございます。

また、今年は、一つチャレンジしたいことがあるので、してみて(試行錯誤)、様々なフィードバックを得たいものです。

何やら偉そうな物言いになっていないか心配ですが

本年も何卒よろしくお願い申し上げます。


      令和六年初春   瑞生会  渡邉瑞子拝



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🌸お稽古、ワークショップ、茶話会、講演でこのような能楽トリビアをお話しております🍵
これまでお話したテーマの例
🌸ビジネスパーソンとしての世阿弥
🌸暮らしの中の能楽
🌸人生百年時代の能的戦略
🌸健康寿命を延ばしたい!諸人快楽(しょにんけらく)延年の芸能 …などなど お気軽にお運びくださいませ🌸  
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わたなべみずこ
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