昔好きだった人に会った。

2年ぶりぐらいに。

元気だった？
忙しい？
仕事はどう？

とりとめのない話をしばしば。

久しぶりに会った彼は全く変わっていなかった。

しばらく食事を続けていると、
「今付き合って3ヶ月の彼女がいるんだ」と。

ああ、そうなんだ。
何だか胃がヒリヒリする。

「わあ！おめでとうございます。」

思ってないセリフ。

「どんな人なんですか？」
「じゃあそろそろ同棲の予定も？」

聞きたくない、聞きたくないよ。

頑張れ、頑張れ。

こんなに苦しくなるなんて、
こんなに露骨にご飯が食べられなくなるなんて、

私はまだ彼のこと好きだったんだな。

もう大丈夫。いい思い出だって思ったから会ったのに。

全然過去にできてなかった。

自分から傷つきに行ってバカみたい。

いつも酔ってふらっと帰るのに、
この日に限って駅まで送るという。

そういう振る舞いは彼女に教えられたの？
もういい、もうやめて。

もう会うことないんだろうな。
どんな風に歳をとって、どんなこと考えて
もう彼のこの先の人生を私が知ることはないのだろう。

「今日ありがとね」と彼。

「お元気で」と私。

ちょっと考えて「…またね。」と彼。

またはないよ。

幸せな人生を。