風の時代が来たらしい。

自分らしく。好きなことを。愛を持って。自分の想いが形になる。

耳障りがよくてこうなれば幸せなんだろうがネットの上に氾濫している。

もちろんそうなれば理想郷だ。

競争や誰かと比べる苦しみから解放されるならどれだけ楽になれるだろう。

いつだって自分を苦しめるのは誰かと比べて劣っている自分なんだから。

どうしたって競争から逃げることはできなくて、優越の先に望みの結果が現れる。

愛を持ちましょう。

自分の才能を愛のために使いましょう。

そうすれば理想する世界は現れて救われる。

毎朝瞑想をしています。

世界の平和や愛を祈っています。

幸せで満たされた世界にわたしはいて、素晴らしい日常を過ごしています。

何度もイメージしてクリアリングして心を穏やかに自分を大切にしていていますよ、やっていますよ。

でももし本当に心の奥底が現実になるのならば、どれだけの人が幸せに生きることが出来るの？

誰だってそうでしょう。

報われないこと、救われないこと、たくさん抱えて幸せになりたくてもがいている。

愛なんてたくさんあるよ。

心から幸せに暮らしたいって思ってるよ。

わたし以外の人のことだって願っているよ。

でも奥底に眠る怒りや虚しさが現実になるのなら、願う愛はどこにいくの。

それは上辺だけのものになるの。

嘘じゃない、本当の気持ちだけど、抱えた闇にかなうはずがない。

どれだけ無になれば愛になれるの。

自分を救える力になるの。

何も求めず何も欲せず誰とも争わず。

目の前に現れるほどの愛になれるなら、もう人間じゃいられないんじゃないの。

苦しみはいつもそばにいる。

もがいて苦しんで叶わなくて、無力に押しつぶされる日々があっても「無」よりは人間らしいんじゃないの。

何もないくらいなら痛みも受け入れて生きていきたい。

それは愛じゃないの？