乗り物に乗れない母親と、人生初めて一緒に旅行をした。29歳の誕生日だった。(前編)

私の母は、電車や車などの乗り物に乗ることができない。

私を産んだ時に体質が変わってしまったんだとか。

俗に言うパニック障害みたいなものだと思うのだけど、きちんと聞いたことはない。

ただ、これまで行った数少ない家族旅行の記憶の中に、母がいた事はなかった。

家族揃って、お出かけがしてみたい。

旅行が好きな私はそう思うのだけれど、それは一方的な都合なのだ。

母の移動手段は自転車だけ、家の中で日々鬱々と過ごしていた。

テレビで色々な景色を見るたびに

「どこでもドアがあったらなぁ」と言う母。

どうか、ちょっと出るだけで、旅行の良さを味わってもらうことはできないだろうか。

成人するくらいからか、「母と旅行がしたい」という夢ができた。

その時の自分は時間もお金も全く余裕はなくて、現実味はなくあくまで本当に「夢」のような想いだった。

***

その後、実家を離れて暮らしながら、いろいろな事もありつつ、あぁようやく余裕がでてきたなぁと思えるようになって来たのは28歳。

私は、家族旅行は難しくても、母と二人の旅行ならできるかもしれない。

と、具体的に実行に移したいと考えていた。

ふと、実行日は自分の誕生日はどうかと思いついた。

もう散々色々な誕生日を過ごして、そろそろ与える順番な気がしていた。

私の誕生日なら、母も気を追わない。

しかも母の好きな桜の季節なのだ。

29歳の誕生日は、「母と旅行をしたい」と言う夢を叶えることにした。

乗り物に乗れないとは言ったが、今は車の下道で1時間圏内ならどうにか乗れるということもわかった。

それならなんとか旅行ができそうだ。

近くの桜の見える良い旅館で、広いお風呂に入って、美味しい料理を食べて、マッサージを受ける。

なんてどうだろう。

移動は大変だとは思うのだけど、行って何もしなくて良いのなら、負担は少なそうだし、行ってみる価値はあると思う。

本当にダメなら引き返して、また違う方法を考えよう。

***

誘うのは恥ずかしくて勇気がいった。

実家も離れていきなり、親を旅行に誘うわけだから。

母はそれなら行けそうとはいうものの、不安そうな顔をしていた。

母と旅行をするというのは、私のエゴかもしれない。

と、心が痛んだ。

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にこ*ノマド

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