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「右手の中指の黒い指輪」アセクシャルのシンボル

アセクシャル(無性愛者)とはセクシャルマイノリティの一種であるとされています。
人に対して恋愛感情も性的衝動もない人々が当てはまるとされます。

LGBTQAの人たちが虹色の旗やTシャツを持っているのを見たことがありませんか?あれはLGBTQAの象徴で、色は性の多様性を意味しています。

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LGBTQAのシンボル レインボーフラッグ
こちらが最も有名ですが、実はセクシャルマイノリティにはそれぞれ、個別のシンボルが存在します。

例えばこれはレズビアンのシンボルで、中心に描かれたラブリュス(両刃斧)がフェミニストの強さを表しています。

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レズビアンのシンボル
アセクシャルのシンボルで有名なのは、黒、灰色、白、紫で構成された旗です。

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アセクシャルのシンボル
黒はアセクシュアルを、灰色はアセクシュアルかどうか迷っているグレイアセクシュアルやデミセクシュアル、白はセクシュアリティを、紫はコミュニティを表しています。
このシンボルは2010年に誕生しました。

また、アセクシャルコミュニティでは、右手の中指の黒い指輪もシンボルとされています。

なぜ黒い指輪なのか?なぜ右手の中指なのか?


発端は、アセクシャルコミュニティのこちらのスレッドとされています。


自分がアセクシャルであると示すために、彼らはアセクシャルコミュニティのTシャツを着ることがありました。
しかし、Tシャツを普段からずっと着るよりも、さりげなく格好いい、アセクシャルを主張できる方法がないかという議論が始まります。
そのうち、性別に関係なく自然につけられる黒い指輪を、右手中指につける案が最も支持されました。
これは偶然にも、アセクシャルのピクトグラム(記号)である無性とジェンダーレスを意味する「○」とも一致しました。
嵌める指に関しては、はじめは、右手の中指が「現在独身」を、右手の指輪が「婚約中」を、左手の指輪が永続的に「結婚している、または婚約中」を意味するため、結論として左手中指に指輪をすることが「永遠に独身」の意味になるとして、左手中指が第一候補でした。
しかし、結婚をしているアセクシャルも多く、左手中指に婚約指輪をつける人も相当数いるため、だんだんと「右手中指」に意見がまとまりました。

2005年のその議論から、アセクシャルの象徴として「右手中指の黒い指輪」が誕生したのです。

黒い指輪の種類、材質は?


現在は、色が黒ければ材質は問わないとされています。

ヘマタイトやオニキスといった天然石でできた指輪は安価で入手しやすく、その上美しいので人気があります。ただし、ヘマタイトは壊れやすいものも多いので注意が必要です。

サージカルステンレスという医療用でアレルギーの起こりにくい素材も注目されています。


右手中指に黒い指輪をしている人は絶対にアセクシャル?


セクシャルマイノリティの中でも一際小さなグループであるアセクシャルの研究や認知はまだまだ進んでおらず、シンボル自体もマイナーです。

もしも知り合いや家族が黒い指輪を右手中指につけていても、態度を変えたり無理やり何かを聞き出したりする必要はありません。
もしかしたらアセクシャルかもしれないし、ただそこに指輪をしているだけかもしれません。

例えばその人にその気質があると確信があったり、彼ら彼女らとの話でそのような話題になった時にこそ、ゆっくりその人の真意に触れていくのがいいと思います。

おわりに


くだんのスレッドを読み込んでいくと、アセクシャルの人たちが実に真剣に、自分たちのシンボルを主張するために、誰も傷付けず、きちんと自己を主張できる品を探していたのがわかります。
彼ら彼女らは「自分たちはここにいる」と、ごく自然に他の人に伝えたい、同じマイノリティの人と通い合いたいと願っているのでしょう。

最近は私も右手中指に黒い指輪をつけています。
シンボルなんてあってもなくても変わらないとはじめは思っていました。
しかし実際にはめていると、不思議と気分が落ち着くのです。
私の周囲にアセクシャルはいませんし、指輪の意味に気づいている人もいません。
それでも、今までアセクシャルについてもよく知らない状態でぼんやりして不安だった感覚が、黒い指輪一つで確たるコミュニティの仲間入りを果たした気分にさせてくれるのです。

アセクシャルの仲間が必死に考えてくれた、シンプルでクールな指輪のおかげで、悪目立ちせず普段から着けていられるのもありがたいです。

もしも今あなたが、アセクシャルであることで孤独を感じていたり、気づかれない程度に主張をしたいと願っているなら、まずは右手の中指にぴったりの黒い指輪を探しにいくのもいいかもしれません。

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