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私がゲストハウスで出会った癖強おじさんたち【ハーベストあり】

大学3年生の夏、私は訳あって墨田区の某ゲストハウスに宿泊しました。

夕食を食べ終え、共用スペースで読書をしていた時のことです。

私の前に、70代前半の宿泊者のおじさんが現れました。丸いメガネをかけた、やや小太りの、おじさんです。

おじさん1(アフリカ帰りのひと)

おじさん1は、10年ほどアフリカに住んでおり、数年前に日本に帰国したと語ります。職歴はよくわかりませんでした。

彼は長いこと大阪に住んでおり、東京へは参議院選挙の応援に駆けつけたようでした。その日は参議院選挙を3日前に控えた木曜日でした。

支持政党について聞くと、彼は“れいわ新選組”と語りました。“今の日本を変えられるのは山本太郎しかいない”と、嬉々として話していました。

おじさん1は読書中の私に、“勉強熱心で偉いですね”とハーベストをくれました。4枚入りのハーベストはいつも通りのサクサク食感で、私はなんだかホッとしました。

ハーベスト

その後彼は、“それではこれで”と言い残し、共用スペースを後にしたのでした。


20分ほど経った後、私の前に、60代後半の宿泊者のおじさんが現れました。四角い眼鏡をかけた、やや細身の、おじさんです。

おじさん2(自称・感染症の専門家のひと)

おじさん2は、マスクをしていた私に対して、“それ(マスク)いらないです。私専門なので。”と話しました。

話を聞くところによると、彼は元医者らしく、“教授の何倍も賢かったせいで大学を追放された”と語りました。

彼は福岡の生まれで、兄が一人いるようです。“兄は賢かったが、自分はもっと賢い大学に行った”と、彼は語ります。

彼はどうやらこのゲストハウスの常連らしく、過去に宿泊した際のトンデモ話を聞かせてくれました。“共用トイレの前で極道の女が若い男を脅していた“、彼はそう話しました。

その後彼は、アドルフ・ヒトラーについて熱く語り始めました。私は世界史に明るくないので、いくつか質問をしたのですが、“大学生なのにそんなことも知らないのか”と強い口調で返され、私はなんだかシュンとしてしまいました。

アドルフ・ヒトラー

相槌を打つのも疲れたので無視を続けていたところ、彼は“そんじゃあこれで”と言い残し、共用スペースを後にしたのでした。


1年ほど経った今でも、たまにこのおじさんたちについて思い出します。彼らは、どこかで元気にやってるのだろうか。

おじさん2人へ

これを見てたら連絡ください。酒でも飲みに行きましょう。

ポパーより

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