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【能登半島地震】災害関連死はこうやって忍び寄ってくる

支援業務と自分の生活再建のため書く時間が取れなくなっています。このためしばらくの間、@Nahomamamuu さんに校正や編集をお手伝いいただいています。ありがとう。

タイトルの写真は1月1日夜の避難所の時計。
「おおっ、ほんとに地震の時間で時計って止まるんや!」とみんなで眺めながら写メを撮ってました。突然のインスタスポット化に時計もさぞびっくりしたことでしょう。しらんけど。

テレビカメラマンとして、若い時にブラックの現場にいっぱい放り込まれたので、メンタルは割と強めな方だと思っていますし、 ビジネスでも割りと火中の栗を拾いがちです。

地震があった時も、デスクに隠れながら家が崩れていく様を割と冷静に見ていて、「あと10秒ぐらい揺れ続けたら柱が倒れるかなぁ、そろそろ覚悟しなきゃいけないかなぁ。」と 思っていたくらいなので、ショックには鈍感な方だとも思います。

それでもその日の夜は一睡もできませんでした。寝ないとダメだと思うんですが全く眠くならないのです。人間の防衛本能なのでしょうね。


緊急モードになると身体の感覚が鈍る

避難所では一晩中余震が続きましたが、地震が起きたときの人々の反応も様々です。

周りを見渡して状況を観察する人(私はこのタイプ)、 そこで会ったばかりのおっさんにしがみついて目をつぶっている人(おっさんは私です)、 柱の前で微動だにしなくなる人(そこ危ないから)、 一目散に外に飛び出す人。 避難所を設営する時にも、とにかく一刻も座らずずっと何かをやってる人や、反対に一旦座ったらそこから全く動かなくなる人など様々です。

これは働く人と働かない人の問題ではなく、ショックを受けたときのその人の行動特性がそれぞれ違うだけだと思います。
私もほとんど何かしていた方ですが、誰かの為というよりはやることがなくなって、考える時間が増えるのが嫌だったからなのでしょう。

元気そうに動いていたからといって、元気かと言うと、残念ながらそうではなかったようで、3日経って金沢の実家に帰り、ちょっと頭が重いなと思って血圧を測ってみたら、なんと180もありました。

血圧はどちらかというと低い方で、健康診断では上が130を超えたことが1度もありません。 180と言う値を見たらびっくりして血圧が上がりそうです。

測り間違いかと思ったのですが、同じ血圧計を使っている母親は医者で測るのと同じ値が出てくるし、その後4日間ほどずっと160から180の間をキープしていて、さすがにまずいなと思って医者に行って上がりすぎたときに飲む降圧剤を処方してもらいました。

緊急モードになったときの人間はいつもより感覚が鈍感になるようです。
地震当時は気温は5℃以下だったんですが、近所の誰もが上着も着ないで外に出てきて、お互いの無事を確認し合いました。 そのまま会話したりするのですが、誰も寒そうな仕草をしていません。 私もストーブの入った部屋の中で着ていた服そのまま外で30分程度は活動していたと思います。

匂いにも鈍感になりました。 実家に避難したとき実家の匂いが全然しなかったので鈍感になっていることに気づきました。
これも防衛本能なのでしょうね。

まあ、あのトイレ(詳細は書きませんが)や密な避難所で過ごさなければならない状況で、普段通りのデリケートさが発揮されていたら、現場は大変なことになっていますからね。

感じてなくても、体はダメージを受けています

もちろん暑さ寒さを感じなかったり、眠くならなかったからといって、体が健康かというとそういうわけではないでしょう。

災害関連死は、そういう鈍感な体に忍び込んできていきなり悪化するんだと思います。
避難所で私は大丈夫と言っている人はみんなほんとに大丈夫だと思っているんですが、きっと大丈夫ではないです。
体温や血圧、脈拍をちゃんと定期的に測って、自分を客観的に知るようにしてほしいなと思います。

被災地は異常な事態になっていますから、被災地にずっといると感覚は鈍感なままになっているでしょう。能登に残ると固く決めている人もたまには金沢などに来て感覚を取り戻すようにしてほしいです。

災害関連死は、災害そのもので亡くなる人の数よりも統計的には多く、災害発生後1ヶ月で関連死全体の半数が、3ヶ月で8割が亡くなるといいます。
1ヶ月経過して今のところ多くの方の努力で前例より低く抑えられていますが、まだまだ高リスクな期間は続きます。

被災者のご家族やお知り合いの方は、僅かな体調や行動の変化にも気をつけてあげてください。そして普通に水洗トイレが使えて、お風呂に入れて、清潔な新しい服を着られる環境に身をおいて、ちょっと冷静に振り返る時間を持ってほしいです。

支援者も感覚に鈍感になります。気をつけて!

もう一つ、支援者の中にも健康面で心配な方が何人も出てきています。

地震そのものを体験してないとはいえ、周り全員が緊急モードで瓦礫の街を寝る間も惜しんで飛び回り、トイレも風呂もない環境で支援していますから、同化してしまう方も大勢います。

支援者が災害関連死になってしまうと、周りの人のショックはもちろん、支援されている被災者の方にも大きな罪悪感を与えてしまいます。絶対に死んではいけません。
身体の異変を感じたら義務感も責任感も放り投げて、被災地の外に出てほしいと思います。

義務より責任より元気に帰ってくることがまずは支援の大前提ですよね。

水のない被災地でも支援する覚悟をお持ちの方へ

公式のボランティアの受入も始まりましたが、まだバスでの往復で人数もかなり限られます。現状奥能登はすごい渋滞で乗用車で勝手に来られても困るのは事実です。

とはいえ、障害物で入ることもできない家、雨で濡れてゆく家財、動けない身体に忍び寄るエコノミークラス症候群と被災者の支援も急を要しています。
自伐林業仲間である福井の団体が私の町を拠点に震災ボランティアとして活動してくれています。泊まるところ(寝袋ですが)もありますのでぜひご応募ください。
現場はとても厳しいので条件は多いです。よく読んで応募くださいね。

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今は寄付ページへの寄付をお願いしていますが、こちらも気に留めていただきありがとうございます。 この先どうなるかわかりませんが、サポートいただけましたら、被災地支援活動がおちついたら自分自身の生活再建に使わせていただきます。