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きょむきょむぷりん

2023年6月13日、東京体育館の屋外フットサルコートで楽しくフットサルをした。高校生の時から使っていたアップシューズ(今でもこう呼ぶのだろうか)の底をベロベロに剥がしながら必死にボールを追った。楽しかった。到底夏とはいえない梅雨真っ只中の夜なのに、とても暑かった。着替えてもおさまらない汗を拭きながら、隣に座る人に申し訳ない気持ちで電車に乗って帰った。

翌朝、痛風を発症した。

前の週に皿いっぱいのレバーを×で食べたのでそのせいかとも思ったけど、どうやらフットサルでの脱水症状が直接的な原因らしい。

2023年7月27日、ようやく発症は沈静化した。

この1ヶ月間強、僕はシラフで過ごした。
(〇〇弱とか〇〇強という言い方は世代によって捉え方が異なるらしい。〇〇弱といったときに、最近の方々は〇〇+弱と認識するとのこと。僕がここでいっている〇〇強というのは、1ヶ月+数日という意味だ)

呑み会に行けばハイボールを飲み、バーに行けばウィスキーをロックで飲み、家でご飯を作るときはビールを飲んでいたのに、それが一切ダメになった。

シラフで呑み会に参加し、シラフでカラオケを歌い、シラフでテレビを見て、シラフで寝る生活だ。結婚式ではシラフのままお祝いしたし、キャンプではシラフのまま焚き火を見つめた。シラフで笑っていたつもりだけど、「野村は酒がないとつまらないな」なんてことも言われた。シラフのまま泣いた。


気付いたこともあった。

時間はゆっくり流れているということだ。
ゆっくり流すこともできる、ということかもしれない。
酔っ払わずに常に感覚が研ぎ澄まされていると、まるで時の流れまでも見えてくるようだった。

ご飯に行っても話したいことは1時間あれば足りて、冴えた頭で作業をするとスムーズにことが運んだ。
夜の時間が長くなり、
人生はもっと効率的に過ごせることを知った。
こんなにたくさんの時間を、今まではどこに捨ててきたのだろうか?


創り出した時間でなにをするのか、
「やりたいこと」はたくさんあったはずで、
「どうぞ」と言われる環境を図らずも手に入れた。

きつかった。

そんなに余裕を与えられても困る。
「忙しい」と言っていたい自分を知る。

虚無の中を生きていく。
そんな夜は酒が呑みたかった。


結婚式に行くと人生が垣間みれる気がする。
出席者はできる限り着飾り、「自分の人生には何の問題もございません」という顔でお祝いをする。
旅行やテーマパークにいる時のように心から笑っているのとも少し違う。
人生のあれやこれやをいったん結婚式場の入り口に置いておいて、その場での正解をみんなで創り上げる感じだ。

僕も同じく、受付の前に深呼吸をして痛風の痛みを置き去る。
そうして式に参加すると、ウェルカムドリンクのビールから始まり、乾杯のスパークリングワイン、牛肉に合う赤ワイン、魚に合う白ワインが勧められる。武装解除して柔和になった僕はその度に誘惑に傷付けられながら笑う。ちなみに、イクラや牛肉といった「ご馳走」も同時に見送る。

だから余計なことを考える。
例外なく僕も僕で人生に何の問題もないかのような顔をする。
その会場に、かつて付き合って別れて今も嫌われている元恋人がいても、それをアルコールで誤魔化すことができなくても、「何の問題もなく」過ごす。


結局、1ヶ月間の断酒でも精神的には強くなれなかった。
特に体重も落ちなかった。
右手に炭酸水を持つことには慣れた。

最後まで読んでくださいましてありがとうございます! 一度きりの人生をともに楽しみましょう!