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チバユウスケがこの世からいなくなって4ヶ月

2023年11月26日にチバユウスケがこの世を去った。享年55歳。
ずっとこの思いを言葉にしたかったけどなかなかできなくて、今のタイミングになった。

彼が亡くなった時、私は日本にいなかった。北欧の遠い寒い街から、灰色の空を見上げて『青空』を聴いた。ただただ信じられなくて、涙も出なかった。

チバユウスケの音楽は、灰色の景色を、灰色のままで好きにさせてくれる。灰色の空、憂鬱な街、嫌いな人たち、楽しくない毎日。それをカラフルに変えてくれるバンドにはいくつか出会えた。でも、灰色を灰色のままで、”好きだ”と思わせてくれる音楽は、高校生の時からいつもチバだけだった。

夜を超えて 朝を超えて 夜を超えて
シトロエンの孤独は続く


まず、寂しくて仕方ないけど、やっぱりこの人がステージで爆音を鳴らしている時代に同じ日本で生きることができて本当によかったと思う。
ミッシェルが解散したのは私が2歳の時(もちろん知らない)。
高校生の時にミッシェルのライブ映像を見て衝撃を受け、もうすでにこの4人に二度と会うことができない現実を悔いた。当時はAIR JAM世代が大好きで、「もっと早く生まれたかった」が私の高校時代の口癖だったと思う。


でもThe Birthdayのライブには数回行けた。一番記憶に残ってるのは2021年の越後の乱(MONOEYESとの対バンの日)だと思う。

Summer Nightで踊る後ろ姿を見て、なんてかっこいいおじさんなんだ、こんな大人に私もなりたい。そう思わせてくれた1人だった。そして、彼が音楽を鳴らしてステージに現れるのがいつか当たり前になった。がんの発表があった時も、来年のアラバキには戻ってきてくれるだろうと漠然と信じていた。

もう会えなくなるなんて思わなかった。

それを思いがけず実感したのはついこの間、3月9日のL.U.T.D GIGSだった。
誰もチバについて触れたわけじゃない。そういう雰囲気だったわけでもない。いつも通り楽しくて、大好きなMONOEYESとBRAHMANに久々に会えた最高のフェスだった。

ただ、私だけ突然、勝手に胸が苦しくなった。

細美とTOSHI-LOWを見ていて、「ここにチバがいればもっと最高だな…」とふと思ってしまったから。そこで初めて、チバのいない世界を実感してしまったから。

フェスの出演者一覧を見て「この日、The Birthday来るなら行きたいな」は、もうできないんだ。どのフェスにもどの対バン発表にもThe Birthdayの文字が現れることはないんだ。もちろん、ワンマンツアーもなければ、新曲も聴けないんだ。

わかったいたようで、わかっていなかった。

ステージで踊るチバの姿も、1人でタバコを吸っているチバの姿も、舞台の袖で酒を飲みながらにこにこしているチバの姿も、もう見れないのか。

みんなが歓声を上げている中でふと寂しくなった。その瞬間が楽しければ楽しいほど、彼がいないことが寂しくなった。

でもしばらくは、寂しいままでいたいと思った。

忘れたくない。彼がいた世界と音楽を。
忘れていくだろうけど、忘れたくない。生きてるうちに好きになれて、彼の音楽が聴けて、幸せだった。

せめてアベフトシと笑って乾杯してる姿を想像しながら、今日もチバの音楽を聴く。

涙が溢れそう
でラブコール
あの娘にラブコール