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【詩】terhubung

わたし達は同じ地平に眠っている
ひとりは9畳の家で
ひとりは湖のそばで
数億の人類が似たような色のシーツの上で
夜中に見るiPhoneの光、
が白熱灯のようにあたたかい

布団の中で大丈夫の断片を積み上げる
目を瞑ると海辺がみえる
みえる海辺を歩いている

異国の文字で書かれたお菓子の袋
波に負けた海藻
まるい曲線を描くガラス片
まだ光っている魚の目
寄せては引く水に合わせて流れる
珊瑚、
の死骸の
ジャリジャリの砂が、足裏でわかる。
生きていることも死んでいることも
海の音と夜の音が混ざって耳が痛い

座り込む。
爪先からお尻にかけて海との境界がわからなくなる
立ち上がると
影がゆらゆら揺れている
過去のわたしと先人達が手を繋いで
遠くなったり近くなったりする
海辺を歩く。

本当にわから、なくなる。
何も。
わからない。
まだ、iPhoneの光
が、目の奥でチラチラしている。
わかった感じがしただけで、
わたしは。

電話の着信音で戻ってくる

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