のなか

二十代後半。読書と旅行が好き。エッセイ、詩、小説を書きます。

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マガジン

  • 三日以上続けば万々歳日記

    どこから読んでも大丈夫な日記。

  • エッセイ

  • ティダアパアパ〜インドネシア忘備録〜

最近の記事

【詩】あたらしくつくる

ずっと音がしている みみのおくで クマバチがとんで。 刺さないから って良いわけじゃないよね 隠してる針。 見えないからって凶器にならない わけじゃない 蛹の中で黙々と針を構築中 (Scrap and Build) わたしの肉体が 溶けるまでのあいだ 暇つぶしして て。 喫茶店のすりガラスに描かれた 波みたいな模様が グネグネしはじめて ながれて ながれおちて 海かと思ったら滝だったみたい わたしも早く全部液体になりたい もうなれた? (あたらしく つくる には こわさ

    • 【詩】2000.夏

      見つけられない心地がしている 世界中探しても 遠くで寄せては引き続けている 波のことを考えている その一室 木々のざわめきの中に 誰かの声をきく 誰かの? わたしの? 穏やかすぎる午後 冬のにおい 不意に 夏の海の気配 ビニールのボール/素足で歩けない砂浜/鋭い岩で切った腕/日焼け止めの匂い/疲れきって眠る車内/更衣室の暗さ/細い道を下って。 べたつく夏 永遠に届かないわたしの8月 の、影 幼少の手触りが 断片的にしか わからなく なって いる 。 わからない はず、な

      • 【詩】わたしはまだ知らない

        薬局で食器洗い洗剤をえらぶ 半透明のみどりやピンクの粘り気のある液体の中に 彼女を視る。 見た、気がした。 午後8時すぎ タバコの煙が煙突からの白煙に変わった瞬間を わたしは知らない それ、で。 幻視する あの人が手掴みで撒かれた土から これからくるながい午睡 生きているという非常事態に時折ぶつかる ぶつかってしまう。ぶつかれる? その祝福が重い。 「くが?」 パンを差し出した手から緑が溢れる わたし達は常に一つの輪の中で回り続けている に、すぎない。 たぶん 薬局の棚、

        • 憧れの埋葬法【三日以上続けば万々歳日記】

          朝・昼今日は、仕事が休み。仕事がない日に限って、寝起きがいい。ぱっちりと10時頃に目覚めてしまった。 昼過ぎ、図書館に本を返しに行く。歩いて30分くらいの、中野区立中央図書館だ。 しかし行ってみると、休館日だった。がっかりしながら、中野駅近くの喫茶店に行く。1時間だけ、滞在して持参した本を読み進めた。 夕自宅に帰り「Bunkamura ザ・ミュージアム」で開催中の古代エジプト展に行きたかったことを突如思い出す。 日時予約制だというので予約を取ろうとするも、予約はもう一杯だ

        【詩】あたらしくつくる

        マガジン

        • 三日以上続けば万々歳日記
          6本
        • 6本
        • エッセイ
          4本
        • ティダアパアパ〜インドネシア忘備録〜
          3本

        記事

          「夏至が近いですから」と言われる【三日以上続けば万々歳日記】

          朝魔術的な意味の高い土地に夢で行く(実際は多分存在しない)。 日本国内にあるのだけれど、その歴史的意味の真偽は微妙な場所だ。観光客向けの場所といってもいい。 いつもわたしは夢の中では、ここが夢だとわかり、一人称視点で自由に動き回れるタイプだ。 しかし、今回の夢は違った。現実のように動き回れるのだけど、夢だと気づいていない。その上、偽の記憶まであった。過去にわたしは、弟とここを訪れている。しっかりとした記憶。あまりにもはっきりと、「思い出」として覚えているので、起きた瞬間には

          「夏至が近いですから」と言われる【三日以上続けば万々歳日記】

          幽霊が跋扈していると思い込んでいる【三日以上続けば万々歳日記】

          朝日曜日は、目覚めから気持ちがよい。 はずだが、仕事で時間を守れず失敗する夢をみて落ち込んでから起床した。 そのまま、寝床に昨晩置いておいた『プノンペンどくだみ荘物語』(著:クーロン黒沢)を読む。先日、『シックスサマナ 第37号 俺たちのドリームハウス』(発行:クーロン黒沢)を読んでから、クーロン黒沢という人が気になっていたので買っておいたのだ。 『プノンペンどくだみ荘物語』は、カンボジアを舞台にしたどうしようもない長期滞在日本人たちの共同生活のお話。薬物中毒者や売春マニア

          幽霊が跋扈していると思い込んでいる【三日以上続けば万々歳日記】

          体重計、持ってるだけじゃ痩せないね【三日以上続けば万々歳日記】

          朝目覚ましが鳴ってから、一時間後にベッドから起き上がった。 くらくらしながら支度をして、どうにか仕事に間に合う電車に乗れた。 偉かったので今日は自分を褒めたい。しょうもないことだけれど、自分を褒めるハードルは低ければ低いほど良いと思っている。 だって、自分くらいしか自分のこと褒めたたえてくれないから。 昼一カ月前、元々太いくせにさらに太ってしまったので毎日体重をつけようと思い、お金がないのに体重計を買った。 Bluetoothで自動的に記録してくれるやつだ。FiNCという、

          体重計、持ってるだけじゃ痩せないね【三日以上続けば万々歳日記】

          羊が見ている【三日以上続けば万々歳日記】

          日記二日目。二日も続けば最高だ。 朝昨晩、上手に寝付けなかった。いつも布団に入って数秒で寝てしまうわたしだからその異常事態感といったら本当に異常だ。 明け方4時ごろ。寝返りをうちながら「寝れねー」と、つぶやいていると薄らぼんやり夜があけてくる。 朝の光って、自然の中で見ると夕焼けと大して変わらないのに、建物の中や都会で見ると青いのは何故だろう。 そんなことを思っているうちにスッと眠りについた。 目覚めると11時過ぎだった。昨日と同じ起床時間。もしかしたら、この時間に起きる

          羊が見ている【三日以上続けば万々歳日記】

          忙しいときほどトイレは詰まる【三日以上続けば万々歳日記】

          いつまで続くか本当に定かではないのだけど、気が向いた時にここに日記を書こうと思う。とりとめのないことなので、自分のために書くつもりだ。 三日坊主だなんて言うけれど、わたしからすれば三日も続いただけ万々歳だ。その証拠にnoteの下書きには、乱文の地層が積み重なっている。 朝 今日は(投稿現在は日付が変わっている)、珍しく朝起きた。朝とは言え、11時だけれど。午前中に起床することは大変素晴らしいことなので褒め称えたい。脳内総出でスタンディングオベーション。 正直、一生夜でいい

          忙しいときほどトイレは詰まる【三日以上続けば万々歳日記】

          インドネシアのハントゥたち

          視えないものの捉え方インドネシアは一万を優に超える島々があり、350もの民族が暮らす国だ。基本的にはムスリムが多い。けれど、イスラム教的な教えとともにその土地に深く根付いた文化の下暮らしている。 例えば、イスラム教には「幽霊」の概念がないらしい。イスラム教における怪異現象は、天使か悪魔か精霊によるものである。 だからこそ、『アラジン』では魔法のランプから出てきた何かが、幽霊でなく精霊(ジン)であったのだろう。 (アラジンはもともとは中国舞台だというのは今回は目をつぶろう……

          インドネシアのハントゥたち

          【詩】夜、近くの川まで散歩する

          川までの道は変に明るい 夜なのに ずっと、明るい。 その光が、夜のわたしを照らすから 夜 の、武装してないわたしを照らすから パジャマ、すっぴん、ビーチサンダル、疲れた顔 うつむいて歩く 誰にも見つからないように 空気はうすむらさき 水はくろ 音はぐんじょうで わたしは。 たぶんとうめい ここから数歩で水の中に行ってしまえる 行ってしまえばいい 行ければいい 行けば、 行けるならば、 (音、耳の奥に冷蔵庫の音がする ワンルーム、 寝る前にずっと聞こえるあの音) 生活に必

          【詩】夜、近くの川まで散歩する

          【詩】湖畔

          対岸に船が一艘浮かんでいる 湖の水面の動きに合わせてゆれ、 乗る人の頭が頭上の木々の枝に 微かにふれ その度、白い花弁がちら、ちら する。 あの、 何も感じてないみたいな座り方 水面が一層輝く ゆれて、ゆられて テレビで見た、フラッシュ。 湖畔をぐるりと一周する 歩いているうちに おだやかな午睡から め、が さめ る、 さめた。 船に乗るのはわたしだ あの、船。

          【詩】湖畔

          【詩】terhubung

          わたし達は同じ地平に眠っている ひとりは9畳の家で ひとりは湖のそばで 数億の人類が似たような色のシーツの上で 夜中に見るiPhoneの光、 が白熱灯のようにあたたかい 布団の中で大丈夫の断片を積み上げる 目を瞑ると海辺がみえる みえる海辺を歩いている 異国の文字で書かれたお菓子の袋 波に負けた海藻 まるい曲線を描くガラス片 まだ光っている魚の目 寄せては引く水に合わせて流れる 珊瑚、 の死骸の ジャリジャリの砂が、足裏でわかる。 生きていることも死んでいることも 海の音

          【詩】terhubung

          地続きだって知りたくて

           地図を開く。いろいろな国があって、大きな大陸がある。日本の地図だから、真ん中に配置されているのが日本。その本州は、青森から山口までひとつながりになっている。果たして本当にそうなんだろうか? 小さいころからずっと不思議だった。  山梨で生まれ育ったわたしは、地図を眺めては「ずっと歩き続ければ青森や山口に行けるし、途中には福島があったり京都があったりするんだなぁ。本当かな」と、ずっと思っていたのだ。  幸運にも旅行好きの家に育ったわたしだったから、休日には父が車で色々なところ

          地続きだって知りたくて

          トイレのドアを眺めながら

           突然だけれど、わたしはトイレという空間が好きだ。そんなことを言うと、人は汚いとか、意味わからないとか言ってくるけれど好きでまたらない。余談だけれど、次に風呂が落ち着く。最近よく読む椎名誠さんのエッセイ『風景進化論』にこんなことが書いてあった。  みんな黙っているけれど、ひとにはたいてい一つ二つの記憶の中に「懐かしい便所の壁」というものがあるはずだ。  なるほど。たしかにある。それは、壁ではなくドアだったけれど。そこは男女の違いだろう。男性は壁を見て用を足すが、女性はトイ

          トイレのドアを眺めながら

          ティダアパアパ〜インドネシア忘備録②〜

           前回、インドネシア渡航前のイメージと、インドネシアのタバコ事情を書いたが、今回はいよいよ空港を出る。前回のnoteは下記リンクから! けれど、①から読んでも②から読んでも特段支障はないです。 ジャカルタのタクシー バックパックを背負って空港を出ると、タクシーの客引きが声をかけてくる。「タクシー!」「タクシー! タクシー!!」ともかく、タクシーを連呼して旅人たちに手当たり次第に声をかけているのだ。現在では、ジャカルタの中心地まで鉄道が走っているが、数年前はまだその駅も工事中

          ティダアパアパ〜インドネシア忘備録②〜