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麹町中学校だからできるんでしょ?という話

千代田区立麹町中学校の工藤勇一先生が、見事に学校改革を成し遂げつつあった時、「立地が違うし、生徒の質も違うし、東京の真ん中の麹町中学校だからできるんでしょ?」という声を聞くことがありました。

「工藤勇一がすごいわけじゃない。ああいう立地だからできるわけで、あんなこと、うちの学校でやれるわけがない。」というわけです。

そんなわけはないわけで、それは「風向きは変わりましたか?これからの学校改革【どことーく #6|工藤勇一】」を視聴すればわかります。

やはり工藤勇一先生はすごいんです。工藤勇一先生が見えないところでずっと努力を重ね、粘り強く取り組んだからできたことなんです。

「あなた、やれるもんなら、やってごらんなさい。」って感じです。

ダメだからムリだという教員へのダメ出し^^;

中高一貫校に勤めていた頃、20年近くにわたって初任者研修会の教科別研修会の「指導・助言者」というのを担当していましたが、初任者同士の意見交換を軸に進める対話の場で、ときどき初任者の誰かが「うちの学校ではムリです。」という趣旨の発言をすることがありました。

そういう時、「指導・助言者」としての私は、対話の推移を眺めながら、タイミングを見計らって、「うちの学校ではムリというのは、生徒がダメだからできないということなんでしょうか? 自分の学校の生徒を、そんなふうに否定的に見ている限り、いつまで経っても自分が望んでいるような授業はできないのではないでしょうか?」という趣旨の話をしたものでした。

できない責任を他者に、それも「能力が低い」生徒に押し付けるような物言いは、見過ごせません。

あるいは、偏差値の高い大学に合格させることに価値を置き、それができない学校や生徒を低く見るような発想が、「うちの学校ではムリ」という発言の裏側に見え隠れしている場合もあり、これもこれで見過ごすわけにはいかないと感じていました。

「麹町中学校だからできるんでしょ?」
「先生の学校だからできるですよ〜」

こうした発言の背後に、「自分ができないのは、自分のせいじゃない。自分が勤めている学校の生徒がダメだからなんだ。」という思考があります。

そしてそのさらに背後には、「偏差値が低い=ダメな生徒」とか「基礎学力が低い=ダメな生徒」という価値観が隠されていたりします。

だとしたら、ダメなのは、そういう発言をしている教員なんです。

(ちょっと悲憤慷慨しております。このところ。)

※写真は、2018年6月10日に千代田区立麹町中学校で開催された「Most Likely to Succeed」特別上映会の際に撮影したものです。


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