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私はアニ好きなので、こういう扱いでも構いません。【夫婦のこと】

昨夜、帰宅した妻が「進撃の巨人」を5冊抱えていた。また、会社の人から続きを借りてきたらしい。その中で一番若い巻を1冊手に持ってソファーに座る。そして話し掛けて来た。

「今日ねぇ・・・」

会社での出来事で聞いて欲しい話があったらしい。フンフンとひとまず聞く。途中、私の悪い癖で一度遮ってしまったが、その後は我慢して言いたいことは後回し。とにかく妻が満足して話し終えるまで黙って聞き終えた。

「なるほどねー。そういうのってさぁ・・・」

順番とばかりに話し始める私。途端に妻が様子が落ち着かない。いつもなら会話が盛り上がるはずなのに、ひたすらウンウンと流してはチラチラと進撃の表紙を見ている。

「わかったよ、もういいよ。進撃の巨人を読みたいのね。自分は話し終えたから満足したんでしょ?僕の話はどうでもいいのね。そんなにおざなりに聞かれたら、もう話せませんよ。どうぞ、お読みください。」
「ごめんねー。だって、読みたいんだもん。さっきの話はただ聞いて欲しかっただけだし。」

そう言うと妻は、そそくさとページを捲り始めた。無邪気だ… やりたい放題のくせに悪意を感じさせない。こんなに素直に返されたら、私は僻むことさえできない。

その後の妻は夢中になって漫画を読み耽り、私が作った夕食を頬張ったら、また漫画へと戻って行った。そして疲れては暗くして眠る。

私は、こんな無垢の婦人が放たれた楽園で暮らしています。

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