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専門店のアイスコーヒー【日々のこと】

妻と親戚とで喫茶店へ行く。車二台が連なって入った専用駐車場には空きが一台しかありませんでした。20台近くはありそうな駐車場。親戚が先に停めて私達夫婦は待つことにしました。店に声を掛けた上でちょっとしたスペースに停めさせてもらおうかとも考えましたが、他車出庫の妨げになりそうだと留まる。そして待つこと20分を超えたところで、ようやく一組のご夫婦が店から出てきました。

出てすぐにハザードを点けて停まっている私達と目が合う。その距離10mほど。すると旦那さんの方がゆっくりとした動きでおもむろにタバコを取り出しました。美味しそうに電子タバコをくゆらす。隣の奥様ものんびりとした様子でスマホを触っている。ひょっとしたら退店客ではないのかもしれないと考えを改めました。先に入った親戚の話では店内の席も空いてない。待ち客も少しは居るとのことなのでタバコを吸いに出てきただけかと思い直す。じゃないとあんなにも気兼ねなくタバコを味わうなんて出来ない。奥様も急かしている様子がなく長閑な一服に見えた。太陽の反射でキラキラ光る電子タバコを横目にハザードランプを点滅させた車内でもう5分ほど待ちます。

タバコとスマホを味わい終えたご夫婦が満足そうな足取りで駐車場奥へと歩き出す。「嘘でしょ?」と思った。むしろ嘘だと思いたい。そんな人は居ないはずだ。でも本当は稀に居るらしいことを知ってる。居ない世の中であって欲しいと願ってしまいます。

そんな私の想いも虚しく、夫婦二人で車に乗り込んでは颯爽と去って行かれました。その排気ガスが我が家の車に掛かる。まるでタバコの煙を吹き掛けられたような気持ちになります…

ようやく座れた店内で私はアイスコーヒーを頼みました。しっかりと飲み干した後に残った氷が茶色く光っている。薄まらないようにとコーヒーを凍らせた氷のようです。この氷に一際感謝する。さすがはコーヒー専門店。ホットにも劣らぬ美味しさと温かみをしみじみと感じました。

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