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新型コロナが不動産取引に与える影響をスタートアップ経営者として考える。

2020年3月23日時点、WHO発表の情報によれば、新型コロナウイルスの世界での感染者数は32万4,290人に達し、国内感染者数は1,102人(クルーズ船除く)となっており、感染症の水際対策による世界各国での入国制限も拡大傾向にあります。経済に与える影響も、米国市場でのNYダウが連日のサーキットブレーカー、日本経済に与えるインパクトも大きくなると予想しているアナリストも多く、第二のリーマン・ショックとも噂されています。

いかなる状況下でも、スタートアップ経営者は、実現する世界観を達成することしか考えておらず、事業成長を戦略的に推し進めたいので、事業継続を含めたダウンサイドシナリオ(悲観ケース)を検討しなければなりません。今回は、私たちが事業推進している事業ドメイン、中古住宅売買に関わる新型コロナの影響を、過去の経済危機、リーマンショックを元に分析しています。

リーマンショックとは

2008年9月15日、アメリカの投資銀行であるリーマン・ブラザーズが経営破綻したことで連鎖的に世界規模の金融危機が発生しました。当時、日経平均は、7,000円を割り込み約4年間の調整局面の後、2013年以降は上昇傾向をたどっています。

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リーマンショック時の不動産価格

マンションの㎡単価、土地の㎡単価共に、2008年のリーマンショック以降、下落傾向にありましたが、2013年以降は緩やかな上昇傾向にあり、日経平均と連動した値動きになっています。また、一時期のタワーマンションブームからマンション単価は顕著に高騰しているのが特徴です。

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リーマンショック時の不動産取引数

続いて、取引数についてですが、2009年実績で新設住宅(新築)着工戸数が、78.8万件(前年比-28%)と大幅に減少しているのに対し、既存住宅(中古)取引戸数は、16.9万件(前年比-1.2%)と取引戸数にほぼ影響は出ておらず、景気悪化の状況でも安定しています。

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リーマンショック時の不動産会社の倒産件数

2008年の不動産業の倒産件数は、429社(前年比14.4%)と増加しました。この倒産件数には、賃貸、賃貸管理、デベロッパー、仲介、買取再販など、さまざまな業態が含まれていますが、全体の社数29.7万社に対し、約0.14%の不動産会社が倒産したこととなります。

リーマンショックとコロナショックの比較と影響範囲

リーマンショックは金融機関が危機的状況に陥った「金融破綻」であり、コロナショックは、感染力の強さから世界同時に外出禁止や入国制限などによる、人やモノが動かなくなる「経済の停滞」であると考えています。不動産業界への影響は、インバウンド需要が停滞することで、民泊業を行っている事業者に多大な影響が出ていたり、不動産取引においても、リフォーム資材(トイレや洗面台など)が届かないことで、工事ができず引渡しが遅れ、買取再販事業者のリードタイムが長くなる可能性があります。

まとめ

リーマンショック時は、
・不動産価格が日経平均の動きと連動して下落
・新設住宅取引数は大幅減少(前年比 -28%)
・既存住宅取引数は影響なし(前年比 -1.2%)
・弊社パートナー(不動産会社)の倒産確率は0.14%
・買取再販のリードタイムは長くなる可能性がある

今回、リーマンショック時の世界株安を元に、日本経済や自社ドメインである不動産領域への影響について分析してみました。まだまだ終息時期が読めない先行き不透明な状況のため、株価の乱高下は続くと予想してます。不動産オーナー心理としては、これから不動産価格が下がる可能性を考え、早期売却ニーズが高まると予想しており、中古住宅流通への影響は一過性の買い控えなどはあるものの、限定的であると考えています。実際に弊社サービスの個人の売主と買取会社をマッチングする「インスペ買取」には、売主からの登録が増加しているため、事業を伸ばすことは可能であると考えています。しかし、「経済の停滞」が長引くことも考慮し、市況と数値を日々分析すること、可能な限り骨太でコンパクトな強いチーム形成にすることでダウンサイドリスクに立ち向かいたいと思います。

最後になりましたが、全世界の新型コロナウイルスの早期終息を切に願っております。


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