見出し画像

レビュー「星のカービィ スターアライズ」。25周年になつかしい仲間が集った、記念碑的タイトル

ノンジャンル人生です。
思い出したかのように、スターアライズのレビューを書いていこうと思います。思い入れが強いシリーズなため、冷静に評価出来るようになるまで時間はかかりましたが、アップデート第二弾が出たこの機に書いていこうと思います。ちなみにシリーズは多く触れていますが、本編だと3・64・Wiiは未プレイです。

幻のゲーム、星のカービィGCとのつながり

星のカービィシリーズは任天堂の顔として据え置き機、携帯機問わず様々なハードに出ています。しかし歴代ハードの中には、予告されていたのにも関わらず横スクロールACT本編が発売されなかったものがあります。それはゲームキューブです。

予定されていた「星のカービィGC(仮称)では、星のカービィスーパーデラックスに登場した「ヘルパー」を3人追加することが出来、4人で遊べる星のカービィになるはずでした。しかし開発は中止、その後二度別案が出るも日の目は見ず、結果としてWii終盤に発売された「星のカービィWii」が出るまで、据え置き機で発売されることはありませんでした。

星のカービィWiiではヘルパーは採用されなかったものの、デデデやメタナイトやワドルディとともに4人で遊べるカービィとして、大ヒットを記録します。以降シリーズは、3Dの1人用横スクロール路線として3DSで展開、そしてSwitchの発売のスターアライズで、再び4人で遊べるカービィとして復活しました。

このスターアライズの4人プレイの仕様は、開発中止になった星のカービィGCの3人ヘルパーの仕様を引き継いでいます。仲間は「フレンズ」という名前には変わったものの、プレイヤーそれぞれがコピー能力を選べ、仲間の背中に乗れたりするなど、日の目を見なかったはずのシステムがガッツリ搭載されていたのです。

ひとりでも、みんなでも、4人の冒険。一方で……?

スターアライズではハートを投げることで、マップにいる敵を最大3人まで仲間にすることが出来ます。歴代ではおなじみのコピー能力が使えるキャラ達をひきつれ、一緒に冒険に出かけられます。

フレンズ3人を操作できるのはもちろんのこと、本作で驚くのがフレンズのAIの精度。星のカービィシリーズは、お世辞にもAIの頭がいいとは言えませんでした。スーパーデラックスでは時折奇怪な動作を繰り返したり、最近の「みんなでカービィハンターズZ」でさえ、思ったとおりの行動をしてくれずヤキモキさせられました。

しかしスターアライズのAIは非常に優秀。背後を遅れずにしっかりついてきてくれ、近くに複数人で解く仕掛けがあればすぐさま気づいて手伝い、かつ周囲を警戒するように敵に攻撃してくれます。そのおかげで例えシングルプレイでも安心して仲間を引き連れて冒険が出来ます。

更に本作では、仲間同士のコピー能力をかけ合わせ、「フレンズ能力」として強力なコピー技を使うことが出来ます。組み合わせ数はかなり多く、一度全クリした程度では、すべての組み合わせを見つけられないかもしれません。

本作はシリーズの中でも1、2を誇る物量を用いて、4人のフレンズを引き連れる冒険を可能にしています。一方で、ゲームをプレイしていると、前作よりも手応えのなさを感じてしまう部分があります。

前作と比べると気になる手応えとロード時間

優秀なAIのフレンズ3人もいれば厳しい冒険も楽になるところでしょうが、本作はシリーズでも簡単な部類に入り、せっかく引き連れたフレンズを持て余し気味になる場面がよくあります。

特にメインストーリーのボス戦は前作ロボボプラネットと比べると、短時間で撃破できてしまうため、イマイチ盛り上がり切りません。ステージ内のギミックはフレンズと協力して解く場面が多いですが、必要なコピーがすぐ近くに用意されており、ものによってはフレンズが自動で問いてくれることもあり、こちらもやや淡白な印象。(ちなみに何人か前提の仕掛けがほとんどなため、ずっとカービィひとりだけで進めるやり方は出来ません)

それに加え、メインストーリーでマップ切り替えをするとTips付きロード画面が入り、テンポの悪さも感じます。星のカービィシリーズではロードの入る作品はかなり少ない上、マップ切り替えのたびに挟まれるのでどうしても悪目立ちします。(Tips自体は本編中盤辺りからなくなります)

星のカービィシリーズは、誰でも遊べる簡単な操作ながらも、絶妙な配置や程よく考えさせてくれる謎解きがテンポよく挟まれるおかげで、最後まで手応えを感じられるのが魅力です。しかし本作は全体的に大味なのが欠点だと思います。もちろん友人などみんなでワイワイ集まって遊ぶなら、そういった不満を打ち消す楽しみが生まれるので、その限りではありません

補足:本レビューはあくまで初回プレイを元に執筆していますが、2度のアップデートを通して問題点が修正されている可能性があります。体感的にはボスの体力やロード時間が改善されているように感じますが、公式で具体的な発表はしていないので詳細不明です。

シリーズファンなら感涙のドリームフレンズ

ひとり向けカービィとして極まったロボボと比べると気になる部分が見受けられる本作。しかし、それをひっくり返すほどの重要な要素があります。それは「ドリームフレンズ」の存在です。スターアライズではシリーズに登場したキャラクター達を仲間にする事が出来ます。

Wiiから引き続きデデデ大王・メタナイト・バンダナワドルディが参戦するのはもちろんのこと、第一弾無料アップデートでは星のカービィ2からリック・クー・カイン、3からはグーイ、スーパーデラックスからはなんと、ラスボスだったマルクが参戦。第二弾無料アップデートでは64からアドレーヌ・リボン、鏡の迷宮からはダークメタナイト、参上!ドロッチェ団からはドロッチェが参戦と、シリーズファンなら度肝を抜くメンツです。

星のカービィシリーズ、同じHAL研究所開発のゲームであるものの、ディレクターは作品によって大きく異なっています。生みの親である桜井政博氏だけでなく、ナンバリングの下村真一氏、近年の3Dモデルカービィの熊崎信也氏など、多くのディレクターが関わっています。

星のカービィ自体統一されたバックストーリーがあるわけではなく、プププランドというゆる~い世界観の下、ディレクターによって作風が大きく変わってきます。特定のディレクター作品にしか登場しないキャラも多く、再登場を願うファンにとって、今回のお祭り騒ぎは最高のアップデートでしょう。

ちなみに追加キャラクター達は使えるアクション数が優れており、他のコピーキャラ以上に使っていて楽しい仕上がりになっています。

やり残しを拾い上げ未来へ繋いだ、シリーズの集大成

本作のメインストーリーのボリュームは前二作と比べると短めですが、クリア後に全フレンズのタイムアタックモードとボスラッシュモードがあり、アプデで追加されたフレンズには新ステージが用意されているなど、総合的には長く遊べます。

発売当時は欠点が目に付きましたが、長く予定された無料アップデートやクリア後に追加されるモードのおかげで、星のカービィ25周年を締めるにふさわしいタイトルとなりました。

本作をプレイして感じたのは、星のカービィが今後どうなるかということ。無料アップデートの第三弾が告知されており、そのときお祭り的な要素は一段落するでしょう。最近の星のカービィシリーズはファンサービスも多く、今回はその集大成と言えます。

一方、本作のステージ選択マップや◯◯◯・◯◯戦のシューティングバトルなど、明らかに3Dアクションを意識した部分があり、今後のシリーズはこっちの方に行くんじゃないかという要素が見え隠れしていました。

ロボボのサブゲーム「カービィの3Dチャレンジ」や拡張版の「カービィのすいこみ大作戦」の時から力が入っていたので、偶然そう見えただけではないと思います。星のカービィは長期シリーズであるがゆえマンネリとの戦いでもありますが、次回作はかなり挑戦的になる可能性もあるでしょう。

ということでレビューはここで締めたいと思います。無料アプデではキャラ追加以上に手が入っているので、第三弾も期待したいです。

ではでは。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?