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タイ国鉄の列車は遅れるのか?を科学してみる。

古い旅行記を見れば、めちゃくちゃ遅れると書いてあるのだが。自分の近年の印象だと、あまり遅れないイメージのタイ国鉄。
その辺、真面目に突っ込んだBlogを(少なくとも日本語では)見たことないので、今から突っ込んでみようと思います。

タイ国鉄はそれなりに遅延対策を講じている。

Train Tracking System(列車追跡システム)で(一部を除く)定期旅客列車の運行状況を追跡してログしています。
それと近年保線に力を入れていて、北線、東北線は対策済みで、現在南線も対策中です。
更に職員の飲酒問題に(残念なことに乗客への連帯責任になってしまったが)メスを入れたことも功を奏しているようです。

でも遅れるでしょ?の声に対して科学的に答えてみます。

列車追跡システムの旧バージョンはタイ語オンリーですが、過去ログ見えます。
先月(18年11月)一ヶ月の特急・急行列車のログを取って解析したので、そのレポートを書きます。

全列車の平均遅れは28分

全標本(1,140列車)の平均遅れ時分は27.6分でした。同時に計算した標準偏差は34.2でしたので、定刻率は2割以上はありそうです。
日本の新幹線の基準で言うと「やたら遅れる」と言えますが、諸外国の中長距離列車の中では「時間に正確」な方だと言えます(あくまでも平均の話です)。

いつも遅れない列車

いつも遅れない列車(平均遅延時分が6分未満)をランキングで紹介します。

1位 特急4列車(シラー〜バンコク) 平均遅れ0.2分
ログを見ていてびっくりしました。何と何との平均遅れ0分台。この列車だけなら日本の新在直通新幹線(秋田新幹線など)より優秀ですね。標準偏差も0.9なので2分以上の遅れは年に数回かと。タイにそんな列車があったとは。

2位 特急3列車(バンコク〜シラー) 平均遅れ2.1分
この列車は乗ったことあります。遅れ2分はマジックなんですけど(サワンカロークからシラーの間の余裕時分が異常に多い)。それでもあまり遅れないのはエラいものです。標準偏差は4.9なので、12分以上遅れることは年数回。

3位 特急31列車(バンコク〜ハジャイ) 平均遅れ3.5分
これもログでびっくりしました。南線の寝台特急が北線、東北線より遅れないって想像していませんでした。この数字なら日本の「サンライズ出雲」より優秀ですね。標準偏差は8.1なので20分以上遅れることは年数回。

4位 急行51列車(バンコク〜チェンマイ) 平均遅れ4.1分
これもちょっとビックリでした。確かに遅れないのですが、ランキングに出てこないと思っていました。標準偏差は7.1なので特急31列車よりむしろ優秀。18分以上遅れることは年数回レベル。

5位 特急9列車(バンコク〜チェンマイ) 平均遅れ4.7分
保線技術の向上、従業員禁酒の徹底、新型車両導入で荷物扱いの廃止と3つ揃うと遅延の常連だった旧1列車も遅れなくなるんですね。但し標準偏差が10.6と高めなので15分くらいの遅れは当たり前に。26分以上遅れることは年数回レベルですが。

6位 急行76列車(ノンカイ〜バンコク) 平均遅れ5.7分
この列車が不思議と遅れないのは知っていました。標準偏差も7.9とブレない列車です。22分以上遅れることは年数回。

7位 急行72列車(ウボンラチャターニー〜バンコク) 平均遅れ5.7分
平均遅れ時分は76列車と全く同じだったのですが、標準偏差が12.3と高めなので7位に。18分くらいの遅れは当たり前に。30分以上遅れることは年数回レベルですが。

これらの列車に乗っている限りは、不満に感じないと思います。

いつも遅れる列車

いつも遅れる列車(平均遅延時分が50分以上)をランキングで紹介します。

1位 特急42列車(ヤラー〜バンコク) 平均遅れ69.6分
タイ国鉄の最長距離ディーゼル特急です。予想通りの遅延ナンバーワンです。標準偏差が42.8なので30分くらい遅れて当たり前と言うタイ国鉄で1番の遅刻王です。2時間半以上遅れることも年数回。

2位 急行84列車(トラン〜バンコク) 平均遅れ67.7分
そこまで遅れる印象がなかったので、ちょっとびっくり。標準偏差が35.9なので30分くらい遅れて当たり前の遅刻王です。こちらも2時間半くらい遅れることも年数回。

3位 急行77列車(バンコク〜ノンカイ) 平均遅れ62.3分
遅れる印象はあるんですが、3位にはびっくり。標準偏差が32.8なので、やはり30分くらい遅れて当たり前の遅刻王です。こちらは2時間以上遅れが年数回レベル。

4位 特急44列車(スラーターニー〜バンコク) 平均遅れ61.0分
特急42列車のコバンザメ列車なのですが、42列車がめちゃくちゃ遅延(2時間以上が見込まれるとき)すると単独運転しますので、平均遅れ時分が約9分短くなります。上記の理由で(42列車同様)30分遅れて当たり前ですが、2時間以上の遅れは(42列車と違って)少なくなります。

5位 特急38列車(スンガイコーロク〜バンコク) 平均遅れ59.1分
タイ国鉄の最長距離列車です。遅延ランキングは5位ですが、標準偏差が27.4ですので、ブレずに30分は遅れる遅刻王です。でも意外なことに、2時間以上の遅れは皆無だったりします。

6位 特急32列車(ハジャイ〜バンコク) 平均遅れ54.8分
遅れる印象はあるんですが、この結果はびっくり。と言うのも、ペアになる特急31列車は「遅れない」ランキングで3位でしたから。標準偏差が35.3と高いので20分以内遅れの日が結構ある反面、遅れるときは38列車より遅れると。

これらの列車に乗れば、タイ国鉄は世界一ルーズな鉄道に見えるでしょう。

遅れる列車、遅れない列車のまとめ

遅れない列車は、北線の下り(2、4、5位)と東北線の上り(6位、7位)が多い。
一方、遅れる列車はほとんど南線の上り(3位以外全部)。
線区別傾向を調べます。

北線下りの傾向

平均遅れ時分が10.6分で、標準偏差が23.5なので、定刻運転の列車も多いし、遅れても1時間以内と言うことが伺えます。
実際11月1日のように全列車定刻運転という日もあります。
最大遅れは17日、平均遅れ時分53.0分、標準偏差が68.5で、3時間遅れた列車もありました。

北線上りの傾向

平均遅れ時分が19.6分で、標準偏差が22.2なので、下りよりはレベルが低いが、遅れても1時間程度で済むことがほとんどで不満にならないでしょう。
ダイヤが大幅に乱れたのは、17日、22日、30日で、特に17日は2時間遅れた列車もありました。

東北線下りの傾向

平均遅れ時分が26.0分で、標準偏差が28.5なので、定刻で着く列車も1時間以内の遅れの列車も多い傾向にあります。少し不満が残る運行状況ですね。
ダイヤが大幅に乱れたのは、3日と9日で、共に遅延の常連77列車が2時間以上遅れました。

東北線上りの傾向

平均遅れ時分が18.5分で、標準偏差が28.2なので、北線上りと東北線下りの中間的傾向にあると言えます。ぎりぎり不満が残らない感じですね。
最大遅れは16日、平均遅れ時分47.9分、標準偏差が64.0で、3時間遅れた列車もありました。

南線下りの傾向

平均遅れ時分が28.9分で、標準偏差が39.7なので、定刻で着く列車もあれば、1時間遅れる列車も当たり前と言うカオスな状態にあります。これを不満と捉えるか、味と捉えるか。
ダイヤは毎日乱れていますが、一番強烈なのは4日の85列車の4時間以上遅れ。

南線上りの傾向

平均遅れ時分が54.8分で、標準偏差が36.5なので、20分〜1時間半遅れが当たり前と言うほとんど無ダイヤ状態です。
それでも2時間以上の遅延は少なく、一番強烈なのは2日の32列車の3時間以上遅れ。

最後のまとめ タイ国鉄って遅れますか?

北線下りはほとんど遅れない。
北線上りと東北線上りはちょっと遅れる。
東北線下りと南線下りはそれなり遅れる。
南線上りは遅れないことがあり得ないくらい。

以上です。

タイ国鉄のきっぷのルールと買い方


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