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寝そべ

テーブルの片隅
タバコの灰が

あの日の指輪に
身体もたれて

息絶え絶えに天井を仰いでる


いつものように愛猫が
ベッドで眠そうに丸まって


ゆっくりとまばたきしては
何か言いたげな気持ちを手向けてる


空にため息が溶けだしていく毎日だ


部屋で立ちのぼるこの歌が
いつか誰かに届くかなんて


そんな思いを
どこかで鳴り響くあの歌声が


そっと優しくさすってくれて


いつの間かまどろんで
ソファにひとりもたれるこの夜も


寝そべって寝そべって

いつかは終わってしまうのに



未だタンスに帰れない
取り込んだままの洗濯物が


行き場所失って
床にこぼれ落ちたまま


いつものように愛猫は
ベッドで眠そうに丸まってるよ


ゆっくりまばたきしながら
気だるそうな生温い気持ちを手向けに


ままならないんだ
存在感も透けてるくせして


1寸先すら見えやしない


傷つきたくないから
誰もがどこかで道化を演じて

そんな格好でどこへ行くのか

こんな日々をぶら下げながら
それでも命からがら息をして


どうか教えてくれまいか
ボロボロになって乾きゆくこの歌が

いつかは
救われる日が来るのなら

無駄にしない様にすればいいなんて
そんな残酷な話じゃなくて


そんな思いを
いまは何も言わずにあの歌が
そっと優しくさすってくれて


そうしていつの間かまどろんで
ソファにひとりもたれるこの夜も

寝そべって寝そべって


いつかは終わってしまうから

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自由律俳句

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