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読むまちづくり

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#コミュニティビジネス

地域自治組織の国際比較から考える、自治会の役割〜あるいは「依頼をボイコットする自由がある」という意味の自治について

地域自治組織の国際比較に関する報告から こないだ、地域自治組織の国際比較に関する研究会で、イギリスのパリッシュと中国の居民委員会に詳しいゲストの話を聞きながら、日本の自治会の特性と将来を考えた。それぞれを比較することで、それぞれの立ち位置、制度の背景にある思想みたいなものがより浮き彫りにして理解できたように思う。 研究会での議論の詳細は割愛するが、議論の中で面白かったことをメモしておきたい。 イギリスのパリッシュと中国の居民委員会比較対象として面白かったのが中国だ。中国

同じ「まちづくり」でもブルジョワジーのプレイスタイルとプロレタリアートのプレイスタイルがあるという話

私は拙著「純粋でポップな限界のまちづくり」(2017年)の中で、まちづくりで飯を食うためのメカニズムをモデル化し、「まち飯モデル」と名付けて提唱した。 まちづくりが「まちの人なら誰でも使える公共財づくり」を意味する言葉である以上、必然的にフリーライダーが出現する。商品をタダで持っていかれるわけだから、一般的な私的財を商うのと違って、儲からない。それゆえ、まちづくりで飯を食うのは難しい。

いわゆる「ボランタリーなまちづくり」と「コミュニティビジネス」は何が違うのか

ボランタリーなまちづくりもお金を儲けないといけない時代よく「コミュニティビジネス」という言葉が使われる。しかし、最近はいわゆるボランタリーなまちづくりでも補助金などに頼らず何らかの形で収益をあげる仕組みを作ることが望ましいとされる向きもある。ボランタリーなまちづくりであっても、相応にお金を得ていかないといけないとなると、いわゆるまちづくりと何が違うのか、すっきりとわかりやすい説明がいまいちしづらいと感じることがある。 一般的にはコミュニティビジネスとは、ビジネスの手法を用い

コミュニティビジネスのコアは「”近さ”と”ついで性”」じゃないかと思ったっていう話。

 昨日、お仕事で、コミュニティビジネスについて考える機会があった。  コミュニティビジネスって、例えば地域団体なんかが地域社会のために、ボランタリーに近い労働で手掛けるビジネスなんかが例示されることがしばしばあって、大阪市なんかでは、地域団体による空き家の活用とか、子ども食堂もコミュニティビジネスの一つとして例示している。  さて、本来的に専門性が薄く、ボランタリーであるがゆえに安定した労働力を確保できるわけではない、いわば市場の競争においては不利な立場にあるはずの地域団

クリエイティブクラスの緊急避難現象を考える〜藤村靖之『月3万円ビジネス 非電化・ローカル化・分かち合いで愉しく稼ぐ方法 新装版』

 藤村靖之『月3万円ビジネス 非電化・ローカル化・分かち合いで愉しく稼ぐ方法 新装版』読みました。面白かったです。  すごく大雑把にいうと、「低収益だが、関係資本と時間資本をたっぷり使うことで大企業では参入できないジャンルのビジネスを、地方の田舎暮らしで支出を減らすことと無借金経営で可能としようぜ」というお話。地域の活性化やローカルビジネス、まちづくりなんかに関心を持つ人にとっても親和性が高い話だと思う。

一連のプロセスの一部だけを抜き取って特化しようとするとバランスを欠くって話

 以前、まちづくりで飯を食う方法について記したことがある。というのも、講座とかでよくまちづくり活動をやっている人から聞かれるからだ。  まちづくりとは、まちの人なら誰でも使える公共財を供給する営みなので、必然的にフリーライダーが発生する。そのため、対価支払を約束した人だけに財を供給する活動であるビジネスと異なり、それ自体で飯を食おうとすると、一般的なビジネスとは異なる工夫を必要とする。でも、まちづくりで飯を食いたいんだけどどうしたらいいかっていう問い合わせが相次ぐっていうこ

まちづくりで飯を食う方法とは?

 どうすればまちづくりで飯を食うことができるのか。  まちづくりに関わっている人が、しばしば問うお題だ。しかし、そもそもなぜまちづくりは食えないと言われるのか、そしてどうすれば食えるのか、理論的な解説がなされることは稀だ。結論を先取るなら、まちづくりで飯を食うことは理論上可能だし、理論的にはさほど難しいことではない。実践するのは何事においてそうであるように面倒も在るのだが。今回は、その理論と方法を解説しよう。  まず「まちづくり」という現象を定義しておきたい。まちづくりと