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読むまちづくり

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#地域活性化

「地域活性化は盆踊りのアップデート版」という仮説から、今日的な盆踊りの価値を考えた話。

盆踊り1.0と盆踊り2.0 まちづくりに詳しいお友達が「地域活性化は盆踊りのアップデート版だ」といっていて、なるほどもっともだなと思った。つまり「盆踊り2.0」だ。 この指摘で面白いなと思ったのは、「なぜアップデートが必要だったのか」つまり「なぜ盆踊り1.0ではダメだったのか」という問いに発展するからである。 この問いについて考える前に、盆踊りについて改めて概要をウィキペディアで見てみるとこう説明されている。 盆踊り2.0にあって1.0にないものまず形式としては、広場

「ボランティアは金にならないから嫌だ」けど「確実に対価が得られるクライアントワークは好き」な学生さんのお話。

 大学でまちづくりとか、ボランティアについて教えているんですけど、学生さんにまちづくりとかボランティアの話をすると、「ボランティアは金にならないから嫌だ」っていう話が返ってきがちなんですね。だから彼ら彼女らに、じゃあどうすれば地域活動に参加する?って聞くと、お金もらえるならやるよというわけです。  裏返せば「確実に対価が得られるクライアントワークは好き」ってことで。すると人は起業家になるよりサラリーマンを目指すわけです。クライアントワークとしてバイトすれば何千円かはもらえる

「やりたいことをやる」から「やりたくないことはやらない」、そして「やってみてもいいことをやる」へ、って話。

 僕はまちづくりを「まちの人なら誰でも使える公共財づくり」と定義しています。公共財は非排除性を帯びる場合があり、その場合、利用にあたって正当な対価を支払わないフリーライダーが出現しえます。その性質ゆえ、一般的なビジネスと異なり、利用者からの対価を得られないケースも多くなります。そのため、まちづくりはしばしばボランタリーな営みに依存しがちです。  そういうまちづくりを、しかしどうにかやっていこうとすると、大雑把に2つの方法がありえます。第一に、対価支払を強制する方法です。しか

ボランティアを「やりたいことをやりましょう」と呼びかける普及戦略のデメリット

 私は、まちづくりや、ボランティア活動の支援者として日頃からお仕事をしています。この仕事を通じて、人々がまちづくりやボランティアをもっと楽しみながら自由にできるようになるといいなと願っています。  翻って言うなら、そういう支援者が必要であると考えられる程度には、まちづくりやボランティア活動というのは、「ほうっておくと期待に対して人的供給が過少になってしまう」営みなのだということでもあります。  しかし、考えてみれば不思議です。例えば、何らかの「いい製品」が出たとします。そ

たにやんの「まちづくりの経済学」3〜市場に私情を交える、の巻

 ここまで、経済とは、本来偏在する自然界の富を、人の手で循環させる営みであること、富の移動手段は、贈与プレイと交換プレイという2つのプレイスタイルがあること、交換プレイを妨げる「欲望の二重一致の困難」を克服するために、返礼をツケにする「借用証明書」が貨幣の原形であることを示してきました。  この貨幣が流通する事で、僕らはより多くの人達と、より広い範囲で、よりスピーディーに、より確実に、富を取引する事ができるようになりました。  僕らは生きていく上で、日々いろんなモノを必要

たにやんの「まちづくりの経済学」2〜お金は軽いが役に立つ、の巻

前回、経済の成り立ちを、偏在するがゆえに人の必要に対して過不足を生じてしまう富を、人の手で移動して均す営みであるということを示しました。そのためのプレイスタイルは大きく二つあり、とにかくなんでもプレゼントしてしまう贈与スタイルと、等価なものを渡し合う交換スタイルがあることを見てきました。  今回は、この交換について考えていきます。 交換というと一番最初に思い浮かぶのは、物と物を交換する、いわゆる物々交換です。例えばママさんグループなどが子ども用品の物々交換会をやっ

大学生は、地域に「お客さん」としてではなく、「一緒にまちのことを考える存在」になりえるのか?

 先日、某所で依頼された「大学生が 地域や企業で連携して活動するということ」に ついてレクチャーのまとめ。  地域の学生が、ボランティア活動やゼミ活動などで、地域社会と関わる動きが広く知られるようなって久しい。しかし、今回の講座企画者は、いまだ学生は地域にとって「お客さん」にとどまっており、「一緒にまちのことを考える存在」になりえていないのではないか、という問題意識を持っていた。  そのため、この講座の主題は、地域や企業は、どのように学生を受け入れると、お互いスムーズなの